ネット喫茶.com

オリジナル小説や二次創作、エッセイ等、自由に投稿できるサイトです。

メニュー

Moon face

原作: 名探偵コナン 作者: takasu
目次

1

それは組織を取り押さえ、安室透としての潜入捜査が終わった翌週のことだった。

組織の件についてやっと全ての報告書の類なども終わりまた新たな案件が任さられるという日、予想外な出来事が起こった。

上層部「今日からココに配属されることになった矢神だ。今まで降谷が指揮をとっていたがこれからは矢神にここ全体の指揮をとらせる。全員従うように。以上だ。矢神、後は任せたぞ。」

突然やってきた上層部の言葉に公安本部の全員が唖然とした。

上層部の隣には警察官、増してや公安の人間とも思えないような美しい美少女が立っていた。

彼女はおずおずと頭を下げて上層部を見送ると全員の方をまっすぐ見据えた。

「本日から配属されることになりました矢神美弥妃です!宜しくお願いします!大きな案件がやっと終わったところでお疲れでしょうがこの後すぐに次の案件について会議を始めます。9:30から第3会議室です…えっと…何か質問はありますか?…ない…ようですね…」

全員質問どころではなかった。
あれだけの活躍をした降谷よりも上に立つ存在が突然現れ、その上彼女は明らかに20代前半くらいのか細い女だと言うことに驚きをかくせなかった。

「ではこちらから皆さんに一つ質問させていただきます。コーヒーが飲めない、或いはお嫌いな方はいらっしゃいますか?」

彼女の唐突な質問に全員がはぁ?と言わんばかりの顔をしたがそれにも動じず彼女は言葉を続けた。

「いらっしゃらないようですね。では30分後に会議室でお待ちしております。」

彼女はそれだけ言うと本部の部屋を出て行った。

彼女が部屋を出てからザワザワと本部の人間は口を開き始めた。

"何がコーヒーだっての!ふざけてんのか?!"

"降谷さんより上に立つってどういいことだよ…?!"

"あんなヒョロイ女が俺たちの上司だって…?"

"今まであんなやつ顔も見たことがないぞ…"

"降谷さんはどうなるんだ?あれ程の組織を抑えた中心人物でもあるのに…"

ヒソヒソと彼女への不信感が聞こえる中、降谷は鋭い視線で彼女が出て行った方のドアを見ていた。

会議室に入るとコーヒーのいい香りに包まれた。

全席には資料の他に淹れたてなのだろうか。まだ湯気の立っているコーヒーが置かれていた。ご丁寧にもミルクや砂糖、マドラーも全て用意されている。
そして何故か小さな包みに入った可愛らしいチョコレートが置かれていた。

「では会議の前に…皆さんコーヒーをどうぞ!長くなりますので眠気覚ましをしながら先ずは今回私達の担当する件について聞いてください」

全員徹夜続きの後だったので迷わずにコーヒーに手を伸ばした。

それを見届けた彼女は資料をめくりながら話を進めた。

「ここまでで質問はありますか?」

すると剛田という1人の男の手が上がった。

(剛田・・・ガタイが良く強面でガサツな所はあるが、仕事熱心。降谷をひどく尊敬している。年は風見の2つ上。直属ではなかったが降谷の部下に当たる。先日黒の組織の件とは別で大きな手柄を上げ、降谷の出世と同時に降谷のポジションに入ると予想されていた。)

剛田「会議の件ではなく、矢神さんについてお聞きしたいのですが。」

「ど、どうぞ。」

そう言われると剛田は険しい表情で立ち上がった。

剛田「今までどこで勤務されていましたか?経歴は?配属先はどこですか。貴女についての情報が名前以外何もないもまま貴女の下でいきなり働けと言われてもどうにも納得がいきません。」

「そうですね…自己紹介が不十分でした!申し訳ありません。…では改めて自己紹介をさせていただきます!」

彼女はそういうとばっと立ち上がり自己紹介を始めた。

「矢神美弥妃です。年齢は25歳。アメリカの某大学院を16の時に卒業して、日本に来ました。18の時に警察学校に入学。………その後の配属先についてはお答え出来かねます。以上です。」

言い終わるなり席に着いた彼女に剛田は食い気味に更なる質問を投げかけた。

剛田「配属先はなぜ言えないのですか。ここは学歴だけで入れるところではありません。コネでここに来たと?」

「それについてもお答え出来かねます…」

剛田「納得がいきませんね。」

「と言われましても…上から配属先については公開しないよう厳しく言われておりますのでお答え出来ません。」

剛田「ではあなたは今までにどれ程のご活躍を?」

「大した活躍はしていないです。」

その言葉に全員がざわついた。

剛田「なぜ降谷さんではなくあなたの指揮下で動かなければならないのか納得いきません」

剛田の言葉にほとんどの人間が顔を見合わせて同意の声を上げていた。。

「…仰ることはごもっともです…んー…。ではこうしましょう!私から皆さんになるべく指示を出さない方針にしましょう?ただし現場では混乱を招くのでなるべく指示に従っていただきます。その指示に納得いかない場合はきちんどどう動きたいかを私に報告して下さい。善処します!…これでどうにか納得していただけないでしょうか…?」
目次

※会員登録するとコメントが書き込める様になります。