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ポケモンアドベンチャー

原作: ポケットモンスター 作者: ruru
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19話「ナギサシティ~トバリシティ」

「いや、フーディンに聞くって無理でしょう。そもそもイリーガルボールを作ったのはフーディンなんだし、敵が易々と情報を教えてくれるはずがない」

デンジの突拍子もない提案に俺は少しだけ半笑いで答える。デンジはフーディンについて何も知らないからそんな事が言えるのだ。

「その敵ってのだがよ、フーディンがどうしてそのボールを作ったのかお前は知ってるのか?つーかフーディンみたいなポケモンが作れるってのもあり得ねぇ話だけどな」

「いいえ知りませんけど。世界征服的な何かじゃないですか」

「あぁ、お前は行動だけを追っているからそう思うようになったんだな。確かにお前の気持ちも分かる。フーディンがそのボールを使って人のポケモンを強奪しているという行動だけ見りゃ大体がフーディンをクロだって思うだろうな。だけどよ、行動ってのには必ず理由が付いてくるもんだ。その理由を知らねぇ今、俺はフーディンをクロって決めつけんのは違うんじゃねぇかって思うんだ」

「だっ、だとしてもポケモンの強奪は立派な犯罪です。理由がどうだろうと許されるものじゃありません」

「ははっ、確かに違いねぇ!けど俺はよ、最初その事件を聞いた時にフーディンは一匹で寂しくて仲間を集めたかったからこんなことしてるんだなんて考えちまったんだ。一度そう思っちまうとよ、そいつがとても寂しがりで可愛い奴に見えてきちまうんだよ!マジであり得ねぇ」

「それこそあり得ない。人間を洗脳して操るような奴ですからね」

「まぁ俺が言いたいことはよ、フーディンもただ自分の求めた何かをしようとしてるだけだって事よ。そこに善も悪もねぇ。んなもん本質とは関係ない唯の主観だ」

「・・・おっしゃっている意味が少し分かった気がします。確かに俺はフーディンの行動ばかり追ってフーディンの気持ちを知ろうとしなかった。しかも勝手に悪者にしようとして。俺、もう一度フーディンと会って話がしたいです。そしてゴンベをイリーガルボールから解放させる」

「はっ、良い顔つきになったじゃねぇか。だったらトバリシティに向かうといい。実はあそこでシロナさんがうろついているのを見かけた奴がいるんだよ。俺はフーディンを追ってるんじゃないかとみた」

「有難うございます、行ってみます!」

「おい、最後に言っとく。この世は必ず支配が付きまとうもんだ。そう考えると俺達が平和と思ってる世界も支配があって成り立ってるのかもな。フーディンが支配する世界か今のように人間が支配してそこにポケモンが居る世界か、決めるのはお前だ。お前がフーディン側に付いても俺は止めないし、こちら側に引き入れようともしない。お互いの信じた正義を貫こうぜ」

デンジと別れた後俺は研究所の人にゴンベを連れていくと言い、研究所の人はすんなり応じてくれた。というのも、実は以前俺も現場に居合わせた212番道路のウラヤマのポケモン屋敷のポケモンがイリーガルボールの被害に遭ってからおかしいと研究所で預かっているらしい。ウラヤマは裏庭のポケモンに少しの違和感があるだけでも気付くらしく、「私のポケモンちゃん達がおかしいのだ!今すぐ病院に連れていけ!」とイリーガルボールに入ってから2日で裏庭のポケモン全てを研究所に預けたという。使用人達は全然気づかなかったというのに。そういうわけでイリーガルボールの研究は数日前から進んでいたという。ボールの解放方法が分かればすぐにお知らせすると言ったので、俺はその言葉も期待しながらナギサシティを後にする。



ナギサシティを後にしてから数時間、今は214番道路にいる。そこで一人のトレーナーから勝負を挑まれて、今まさに勝負の最中だ。

「レントラー、10万ボルト!」

「ゴンベ、躱せ!」

「なっ、ゴンベにそんなスピードがあるなんて!?」

その通り、本当のゴンベにそんなスピードがあるわけじゃない。ただイリーガルボールでフーディンになっていっているというのを利用してフーディンの素早さの高さでゴンベは躱しながら相手のレントラーに向かっていく。

「ゴンベ、10万ボルト!」

デンジと別れ際に貰った10万ボルトの技マシン。これはゴンベに覚えさせてあげた方が良い、そう思ってゴンベに使った。やはりこの技もイリーガルボールによって強化されており、確定麻痺になる追加効果になっているのだと思われる。レントラーは電気タイプなので麻痺状態にならないが。

「もっと近づけレントラー、メロメロ!」

「何っ!?」

レントラーはゴンベの10万ボルトを受けながら近づいてくる。そしてメロメロを繰り出し、ゴンベをメロメロ状態にするのだった。

「ふっ、どうだい?このレントラーの特性は闘争心!同じ性別である♀相手は強くなるが♂相手だと弱くなってね。それで考えたメロメロ戦法!これで性別♂相手のポケモンにも強く戦えるというわけさ!」

相手の作戦通り、ゴンベはメロメロ状態で動けなくなっている。しかし、

「ゴンベ、嫌な音!」ゴンベはメロメロ状態だが辺り構わず嫌な音を発して俺含む広範囲の生物の耳を五月蠅くさせる。

「ぎぃぃぃ!こ、この音を何とか止めてくれ!レントラー、10万ボルト!」

だが相手の指示はレントラーに届いておらずレントラーと相手トレーナーは苦しむばかり。もちろん俺もだが。

「ゴ、ゴンベっ!嫌な音中止!体当たり!」

ゴンベの方は俺の指示が届き、体当たりをレントラーに繰り出す。レントラーは戦闘不能となった。

「あぁ、レントラー!うーん負けちゃったかー。メロメロ戦法、良い戦法だと思ったんだけどなー」

「いえ、とても努力して先程の戦い方になったんだなって。レントラー強かったです」

「対戦有難う。じゃまたねー」相手のトレーナーは手を振りながらリッシ湖のほとりの方面へ歩いて行った。

俺はあれからゴンベをバトルに出している。フーディンの思惑通りかもしれないが、ゴンベの絆を感じたあのデンジ戦で俺はゴンベを俺のパートナーと再認識した。それはゴンベがこの先どうなろうとだ。だからゴンベが操られるとかそんなのはもう俺の中で今は関係ない。



そして更に1時間後、俺は他のトレーナーとも勝負しながら遂にトバリシティに着くのだった。一旦ポケモンセンターで休もうと思ったその時、中年の男性がポケモンセンターの入口前に立っており、俺の方に向かってくる。

「君ぃ!お願いだ、付いて来てもらいたい所がある!頼むから来てくれ!」

「えっ、ちょ!?」

俺はその男性に無理やりどこかに連れられるのだった。

 (手持ちポケモン バリヤードLv.40 ブビィLv.38エレキッドLv.39ゴンベLv.46)
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