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ポケモンアドベンチャー

原作: ポケットモンスター 作者: ruru
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10話「タタラ製鉄所~ハクタイの森」

コウキとタタラ製鉄所を離れてから1時間、ようやくハクタイの森に着いた。

本来なら半分以下の時間で着くぐらいの距離だが、途中の民宿で休憩が出来るとの情報を受け、そこで食事をしたりして休憩してこのぐらいの時間になってしまったわけだ。

その民宿はハクタイの森の洋館のオカルトで危ない噂が広まって以降、最近はめっきり利用者も減っているらしい。更に今はハクタイの森の主と呼ばれているリーダー格のポケモンが暴れているとの噂で、現在危険だから入ってはいけないよう立札を各入口に置いていると言う。だが民宿の人はこうも話した。

「だけどあの主様が乱暴な事をするなんて信じられないんだよ。あたしも子供の頃から何度も遭遇したことがあるんだけど、何も理由なく暴れるようなポケモンじゃないんだ。頼むよアンタ達。主様が怖いってんなら断っていい、主様が何故そんなことをするのか調べてきてくんないかねぇ?」

俺達はそれを引き受けた。コウキは森の主に興味があるようだが。

森を進むにつれ、たくさんのポケモンの群れが無数に存在していることに気付いた。ミミロルとミミロップの群れ、ロゼリアとスボミー、ロズレイドの群れなど、他にもたくさんある。

ただその群れに対して違和感に思うのは、俺達人間を凝視していることだ。警戒されていることが嫌でも伝わってくる。

すると突然、コロトックの群れが俺達に襲い掛かってくる。ここはコウキでなく俺が前に出た。

「エレキッド、放電!バリヤード、俺達をバリアーで守れ!全方位からの攻撃に集中しろ!」

エレキッドの放電でコロトックの群れは大体倒したかのように見られたが、流石ハクタイの森の精鋭といったところか、傷ついたコロトックは一旦下がって体制を立て直し、すぐに新たなコロトックの群れがやってくる。このコロトック達は森の戦闘要員といったところか、皆集団での戦闘に長けている。

「だったらブビィ、炎の渦で攻撃だ!」

ブビィの炎の渦にはコロトック達も慌てて後ろに下がっていく。すると上空で複数のムクバードが鳴いている。周囲に俺達の居場所を教えようと合図しているようだ。

(まずい、更に援軍を呼ばれるか!?ムクバードめ、空に逃げるのも無理じゃないか)

万事休すだと思われたその時現れたのは、絶望。標準サイズとは明らかに違う大きさのモジャンボ、このハクタイの森の主だと一目で分かった。

モジャンボは土を払って砂煙を起こす。砂煙で周りが見えない中、バリヤードのバリアーの中でどこからモジャンボ達が襲ってくるか警戒する。しかし一向に襲ってくる気配がない。そしてもうすぐ砂煙も消えようとしたその時、目を疑った。

「!?一体何をして・・?」

モジャンボは自身の腕を使って土を払いあげ、ブビィの炎の渦で火がついた木や植物たちの火を消そうとしていたのだ。コロトック精鋭隊は周囲のポケモンの避難を誘導しており、他のポケモン達は砂をかけたり水をかけたりして消火活動に協力している。

「へぇ、そういう事か。モジャンボの暴れていたとされる理由が分かったよ」コウキは周りを見て関心の表情で言う。

「えっ?急に、何で?」

「ちょっとここをご覧。もう大分経って跡もほぼ消えているけど、恐らく以前もここら一体で火事があったんだよ。それも君のブビィの火よりも大きい火事が。モジャンボはその火事を止めるために今と同じように土を払いあげた。それが勘違いで且つ物事を確かめもせずすぐに決めつける軽薄な人間に見られて、下らない噂に発展していったというわけだろうね」

「そうだったのか。ごめんな、苦労をかけて」俺はモジャンボや近くのポケモン達に今回のブビィの起こした小さな火事について謝る。

「そして以前に起こったとされる大きな火事、この犯人はひょっとしたら近くにいるかもしれないねぇ。それもとても近くに」コウキは遠くにチラッと見える洋館の方を向く。

だがモジャンボは洋館に行こうとするコウキを制した。言葉が分からなくても伝わってくる、「その洋館にいる犯人とはすでに話をつけてある」とモジャンボは言っているようだ。

「へぇ、あの電子レンジポケモンがまた何かやらないように見張っておいてよ。・・・とはいえ、君はこのハクタイの森から出ることになりそうだけど」コウキはルカリオを繰り出し、モジャンボに勝負を挑む。モジャンボは周りのポケモンに下がるよう命じ、勝負に応じる。

「ルカリオ、波動弾!・・・ラスターカノン!・・・波動弾!」

ルカリオのスピードにモジャンボは付いていけず、攻撃を喰らい続けとうとう倒れてしまう。周りのポケモン達は心配そうに見守っている。

「ふぅ、良い耐久をしているね。これでゲットだ」

コウキはモンスターボールを投げ、モジャンボをゲットした。



先程の民宿に戻る道中、ハクタイの森の出口が見えたところで俺はコウキに話しかける。

「モジャンボがいなくなって、この森はどうなっていくんだろう」

「そんな事を考えていたのかい?やれやれ、君はどうでもいいことで悩むんだね」

「そう言われても、俺には!っ」俺が話そうとすると、コウキが俺の話を遮る。

「君は数の強さっていうものの凄さを覚えていた方が良い。リーダーがいなくなったから森が廃れるなんて、そんなのは数の強さを理解していないから言えるんだ。見てごらん」

コウキがそう言い指した先には、さっきのポケモン達が懸命に食料を運んだり木や草を運んでいる姿、ロズレイドやミミロップが周りをまとめようと指示を出している姿、食料を争ってポケモン同士が争いながらも、コロトックがその喧嘩を諫める姿。リーダーがいないながらも各自で今までやってきたことを思い出して懸命に生きていこうと頑張っているのだ。

「なぁコウキ。俺・・・こんな森も悪くないと思えたよ。皆絶対にやっていけるって感じが伝わってくる」

「ふふっ、それは良かったね」

(皆が力を合わせれば大丈夫、これは綺麗事じゃなくて本当にそうなんだな)

コウキと俺は森にいるポケモンを見守りながら、その場を後にする。

 (手持ちポケモン バリヤードLv.35 ブビィLv.32エレキッドLv.33ゴンベLv.42)
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