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アンジュ・ヴィエルジュ ~Another Story~

原作: その他 (原作:アンジュ・ヴィエルジュ) 作者: adachi
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第3話

「風紀委員?」
「うん! どうかな、私と一緒に学園を守らない?」
「守る、か……なんで俺?」
「たまたまそこにいたから」
「空き缶か俺は」
「いやいや、そんなことないよ。君、アルドラだよね? 私が学園で初めて会ったアルドラは君だよ。だから、なんかこう、運命みたいなの感じたの。 あ、この人だ! っていう感じ」
 青蘭学園では、αドライバーのことを略して『アルドラ』と呼ぶらしい。
「俺もプログレスと会うのはお前が初めてだな」
「ほらー! そうでしょ! きっと私と君って相性いいと思うんだ! 最高のコンビになれるよ!」
「芸人への勧誘?」
「風紀委員!」
「ん~、フウキイイン~? どういう委員なんだ?」
「かっこよくて楽しい委員だよ!」
「説明雑だな! 小学生が仮面ライダー見た時と同じ感想じゃねーか! でも、かっこいいってのはありだな」
「そう思うよね! やっぱり、私の目に狂いは無い! そうと決まれば善は急げだね! ほら、行こう!」
 そうして、ゼンジは遥に引きずられるまま風紀委員となった。青蘭学園高等部に入学した、その日の出来事である。

 風紀委員の仕事は多岐に及ぶ。
 学園の風紀と秩序を守るためと銘打ち、学園内のパトロールを行ない、何らかの異常が見つかればこれに対処するし、ウロボロスと遭遇すれば、当然これと戦い、撃破する。青蘭学園には数多くのプログレスが在籍しているが、そのすべてが戦闘ができるというわけではなく、発現したエクシードの能力や、生来の性格によっては、戦いに向いていなかったりするのだ。風紀委員の重要な仕事の1つが、戦えないプログレスたちを守り、彼女らに代わってウロボロスを倒す戦闘要員としての役割がある。遥たちも同様で、いざという時には戦線に立つ責務があり、そのことに遥たちは誇りを感じていた。
 とはいえ、風紀委員になってひと月も経っていない遥たちに回ってくる仕事のほとんどが雑事であり、生徒のお悩み相談所としての仕事が業務のほとんどを占めていた。
 今日も様々なプログレスが風紀委員へと相談にやってくる。
赤の世界の女神から、
「青蘭島じゃあ狩りができないから退屈だわ。あなた、なかなか見込みがありそうね。私と森で狩るか狩られるかの勝負をしてみない?」
「何この人、怖いんですけど」
「ディアンナさんは狩りの女神ですからね」
「リアルな肉食系じゃねーか。余計怖いわ」

 青の世界のプログレスから、
「ウウッ…! 私の左目の星の記憶(アカシック・レコード)が疼くわ。この当該世界に危機が迫っている。私ではもう抑えきれない……!」
「大丈夫か、左目が痛むのか? む! よく見たら包帯だらけじゃないか! 怪我をしているのか!」
「クラリス、その人は怪我というより病気かも」
「ああ、輪廻転生しないと治らないタイプの病気だな」
「早く帰って寝るといいのだ、包帯の人」

 白の世界のアンドロイドから、
「最近私のドリルの出番がなくて困っているのです! 不可能を可能にするこのドリルの性能を発揮できる場所が欲しいです!」
「歯医者に転向したら?」
「う、歯医者、歯医者は嫌いなのだ! 口の中にドリルを入れられて……うう、思い出しただけで寒気がするのだ。ドリルなんてやめてしまうのだ!」
「なるほど! 医療行為への応用ですか! それは盲点でした! 私のドリルなら、虫歯程度容易く粉砕してみせますよ!」
「こいつテオの話全然聞いてないのだ!?」
「むむ! テオドーチェさんとゼンジさん! スキャンした結果小さな虫歯がありますね! さっそく実践です!」
「え?」
「は?」
「限っ! 界っ! 突っ! 破あああああ!」
「どこで突破してんだああああああああ!」
「うぎゃああああああああああ!」

 黒の世界の魔女からは、
「ちょっと、学園近くの森にドラゴンがいるらしいんだけど、なんとかしてくれないかしら」
「ドラゴン退治は勇者の管轄だ。風紀委員ではなく冒険者ギルドに依頼するように」
「冒険者ギルドってどこよ! そんなのないわよ!」
 また、それと重なってやって来たαドライバーからは、
「おい! ガ〇ダムの新作プラモデルの入荷はまだなのか!」
「俺が知るわけねーだろ! バン〇イに電話して聞け!」
などなど、雑多な相談事を解決していっている。
「今日の仕事も順調ですね」
「いや何1つ解決してないよアクエリア! 床に穴開けられただけだし! それにドラゴンの依頼は行かなきゃダメでしょ!」
「そうだな。放っておくと被害がでるかもしれん。現地へ調査に向かうべきだな」
「やれやれ、しかたねーな」
 情報によると、ドラゴンは森の奥で動かずにいるらしい。世界が連結してから、ドラゴンやら天使やら悪魔やら、ファンタジーが現実となってしまった。培ってきた常識が破綻するのに、この学園では7日あれば充分である。
「アクエリア、モンス〇ーボール持ったか?」
「はい、こんなこともあろうかと、準備しています」
 アクエリアの手には、3つのソフトボール大の球体が転がっている。
「それモンスター〇ールじゃなくてアクエリアが作った爆弾じゃん!」
 アクエリアのエクシードは水素を操るというもので、趣味はエクシードを使っての爆弾製作であるのだ。
「それじゃあお出かけするかい」
「おー、楽しそうなのだ!」
「緊張感がないな」
 かくして、風紀委員のドラゴン退治が始まった。
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