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先輩が〇〇シリーズ

原作: その他 (原作: ペルソナ4) 作者: 雷鳴
目次

先輩と10本の媚薬(PQネタ)

よく分かる導入

ごーこんきっさのダンジョンを探索する鳴上ら一行は、途中遭遇した今まで見たことのないF.O.Eが起こした爆発に巻き込まれて散り散りになってしまう。
運良く再会した巽と共に一つの部屋へ入ると、突如扉が施錠され出ることができなくなってしまう。
目の前には"媚薬を10本飲まないと出られない部屋"と書かれた看板と、用意された怪しげなガラス瓶入りの液体10本。
彼ら2人は無事にこの部屋から脱出し、仲間と合流することが出来るのだろうか。

『やっぱり扉開きそうにないっすね』
完二はそういい、悔しげに扉を拳で小突いた。
室内には一応、扉が2つあるが、どちらも施錠されているようで開きそうにない。
鳴上も完二が片側を調べている間に、もう片側の扉に対し剣で斬りかかってみたり、ペルソナで攻撃してみたりもしたが、びくりともしない。
目の前には変わらず、長机の上に並べられたガラス瓶入りの液体があるだけだ。

『気が進まねえけど、やっぱソレ、飲むしかねえんじゃあ……』
「そうみたいだな。だがこれだけじゃ済まない気がする」
『…つーと?』
「考えてもみてくれ、前のもそうだがこのダンジョン内、やけに凝った仕掛けが色々あっただろう。
すぐさまオレたちを殺すような内容では無いものが結構あったはずだ。これもそのうちの一つだと思う。かなり悪趣味だけどな。
オレは思うに、このクスリを飲み切ると、開くのは入ってきた扉じゃなく、奥の扉の方だと思う」
鳴上がその扉に向かって顎をしゃくる。
『成る程確かに…じゃあ、もしかしたらこの次にはF.O.Eか…ボス級の何かが待ち構えてるかも知れねえってことっすか』
「その可能性が高いとオレは思う。だから完二、提案があるんだが、
このクスリは5本ずつ飲まないか」
『先輩、こいつが媚薬じゃなく、全部毒ってことは無いんすか』
「さっき触れた通り、これまでの趣向に沿うなら、それはないと思う。
オレたちが危険に晒されるなら次の部屋でだ。
だからこのクスリは、オレたちを弱体化はさせても直接殺しはしないと思う」
『けど、それならオレが全部飲んだ方が…』
「それは避けたい」

鳴上はかなり真剣な顔をして首を横に振った。
「オレたちが2人きりじゃなくパーティ全員や…せめて3人はいるんなら、誰か1人に頼むのもありだったが、次で戦闘をする可能性が高い以上、戦闘不能な人間がいると、クスリを飲まなかった方も無事では済まない。正直荷が重すぎる。2人揃って殺されてしまうかも知れない」
確かにそうだ、と完二は思った。
F.O.Eでさえ、強すぎて基本的には避けて通るものであり、パーティが揃っていても正面切って相手するものではない。
それがたった2人となると、致死率は鰻登りだろう。
「それと、このクスリの効力次第ではあるけれど、10本のうち半分で身動きが取れなくなることは無いだろう。
なぜかと言うと、それぐらいの効力のものを片側が全部飲んでしまうと、その時点で頭がどうにかなるか死んでしまう可能性があるからだ。
あくまでこの部屋に入った人間それぞれ何本飲むかを自由に選べる仕様にしている以上、10本飲み切ってやっとな効力なはずだ」
『成る程、それなら一応、2人して飲んだ方がまだ全部飲み切るよりは動けそうっすね。
けど、こいつが気になるな』
ガラス瓶の側にはご丁寧に説明書きがある。
新聞紙の切り抜きで作られた犯行予告の手紙のような様相だが、周りは折り紙の暖色をハート型にくり抜いて作ったような装飾が貼り付けられていて、僅かながらごーこんきっさ感がある。
『えぇと、これは2人の真実を試すクスリです、全て飲み切るまで扉は開きません…真実だぁ?』
「単純に考えても、得体の知れないものを飲むのを抵抗して仲間割れになるかも知れないしな…オレたちの絆を試す目的もあるんだろう。本命はこれを飲んでの効果の方だと思うが」
『た、確かに……ちっと勇気いるっすね』
「しかし、やるしかない。早くみんなと合流しないとな」
『うっす!訳わかんねえのが出てきてもやっつけちまえばいいんすよ!』
「その意気だ」
『そうと決まりゃ早速』
完二は一度に2本の瓶を手に取り、まず片方の栓を抜いて、グイッと一気飲みした。
そして間髪入れずに次の瓶も同じく飲み干した。
反応を見ると怖気付きそうだと思った鳴上は、完二が1本目を飲み終わらない内に、同じように2本取り、1本飲む……
悪趣味なショッキングピンクをしたそれは、瓶の大きさによらず思ったよりは少量だけ、喉元を通り過ぎていった。
量が量だからか、そこで息をついても、すぐさま何か変化があったようには思えない。
鳴上は2本目も躊躇なく飲み干した。

3本目の栓を抜きながら完二が訪ねてくる。
『どう…っすか、鳴上先輩。気分は?』
「何ともないな。まだこれから効果が出るのかも知れない。
辛くなる前に全て飲み切ってしまおう。少なくとも考えていた通り、毒の類では無いような気がする」
『確かにそうっすね。よっしゃ!』
完二はその3本目を飲み干した。
ちなみに、左から順に取っていったので、
完二が1本目、2本目と、5本目を、
鳴上が3本目と4本目を飲んだことになる。
6本目を…完二にとっては4本目を飲もうとした時に、先に7本目に口をつけかけた鳴上が眉根を寄せた。
(何か…さっきまでのと匂いが違うような気がするが……)
変わらぬショッキングピンクをしたそれは、見かけこそ変わらないが、匂いの甘ったるさが増したような気がしてならない。
喉を通って胃に落ちる時の喉越しも、心なしか、ややまとわりつくような気さえする。
じわり、と背中に汗が伝った。
(まさか……まさかな……)

『微妙に甘いけど…まあ、不味いものじゃねえっすね。そこは良かったぜ。
これで物凄く苦いもんだったら、飲むのを諦めてこの部屋ん中で飢え死にしたかもしんねーなぁ』
どこか呑気に言う完二。
しかし隣から返事は返ってこず、不思議に思う。
『先輩?ーーーうわっ!?』
長机を支えに鳴上が蹲っている。
ハッ……ハッ……と、長距離走を走り終えた直後のような、やや荒い呼吸音が完二の耳にも届いた。
『ど、どうしたんすか先輩!大丈夫なんすか!?』
「は……ふ、かんじ……」
ゆるゆると上がった顔はどう見ても赤い。
頬だけでなく鼻や耳まで真っ赤にし、酒か何かに酔ってしまっている時かのような状態だ。
汗もかいているようで、完二がワタワタしている内に、ツツーー……と、輪郭から顎を伝って、汗の雫が流れていった。
『な、何でだ……オレも飲んでるのに…?』
体格の違いかとも思ったが…完二は直感から、10本目の媚薬を手に取り、栓を開けてその匂いを嗅いだ。
『うっ……!ゲホッ、ゴホッ!何だこりゃ!』
甘ったるさを通り越して香害…いやもう不快さを覚えるレベルの表現し難い匂いが鼻に迫る。
『まさか、モノによって強さ…っつか、効果の度合いが違うのか、これ!?
くそ、そうと知ってりゃ最初からちゃんと混ぜて飲んだのに……!』
しかしそうであったら、10本目をどちらが飲むかで、流石の2人も争うことになったかも知れない。
何せ媚薬の効果は置いておいても、次の扉の先で死が待っているかも知れないのだ。
鳴上は間違いなく自分を救った恩人であり、これまで彼に自身の命を預け、協力して来たが、
実際死が差し迫るとどうなっていたのか、完二にも自信が持てなかった。

彼は流石に自己犠牲の精神は持ち合わせていないのである。

「はぁーー……すまない…完二」
『せ、先輩……』
「大丈夫…だ、お前はこの8本目を飲むといい、オレは…約束通り、自分の本数分飲む」
鳴上の言葉に動揺する。
つまりこの、最も威力のある10本目を飲もうと言うのだ。
完二は自分が情けなく感じた。
『先輩、言ったっすよね……どっちかが完全に動けなくなっても困るって。
お互い弱体化しちまっても、それでもお互いが足引っ張らず動いて、戦えるようにしなきゃなんねえって』
「完二……んんっ」
びくびく、と鳴上が肩を震わせる。
何かが彼の体内を掻き回しているんだと完二は察した。
同時に、これ以上の負担は与えられないと。
カン!と音を立てて、10本目の媚薬を長机の上に勢いよく置き、8本目を手にする。
鳴上は少しホッとしたような顔を浮かべた。
しかしその彼の顎に掴みかかり、強引に上向かせる。
鳴上は驚きに目を開く。
『喉、気をつけてくださいっす。むせちまわねえように』
「んんん〜〜〜!!???」
無理やりに、8本目の媚薬を飲ませる。
鳴上はしばらく苦しみ、もがいていたが、完二がどうやっても離れない事を悟ると、諦めたようにただ飲まされるだけになった。
完二が手を緩めると同時に脱力し、床に這いつくばった。
「あぁ、あぁあ……はああああ……っ!!」
溜まりに溜まった媚薬の効果がハッキリと現れ、鳴上を襲う。
脳がドロドロに溶けてしまいそうなほど、思考が鈍り、熱くなり、呼吸すればするほど口蓋や喉の敏感なところを刺激し、男性器は否応もなく反応してしまっている。
床に這う自らの手も、足も胴体も何もかも、快感を拾い訳がわからなくなった。
声を上げていないと、すぐさま腹に快感が溜まり、どうにかなってしまいそうだ。
全身が性感帯になったような感覚。
『すみません…すみません、鳴上先輩……』
「いや、嫌っ…見るな、見るなぁ……!!」
頭を振り、悶えながら快楽を逃そうとしてもどうにもならない。床に擦れば擦るほど新たに快楽を呼び、鳴上を苦しめた。
しかし、完二は。
『大丈夫…大丈夫っすから』
鳴上の痴態を目にし、いずれ自分もこうなる事を分かっているはずだろうに、やけに低く落ち着いたトーンの声に、媚薬に苦しめられながらも、鳴上は疑問を抱いた。
霞む視界に、彼の手に揃って握られている残り2本の媚薬が映る。
……まさか。
「だめ、ダメ、だめだ…それは」
『…これ以上は苦しめらんねぇ、すみません先輩。
……後頼むっす』
「ぁぁあああ!!!」
瓶を奪い取ろうとする手を避け、完二はその2本の瓶を両方とも一度に口に突っ込み、中身を流し込んだ。
キツく瞑られた目、それを飾る睫毛が耐えきれずビクビクっと跳ねる。
恐怖に耐えているのは明らかだった。
鳴上はただそれを…彼の喉仏が上下するのを見ていることしか出来なかった。


全て飲み切り、完二は勢いよく瓶を投げ捨てる。
ガラスで出来ていたのだ。瓶は床に当たった瞬間無残にも割れて飛び散った。
破片に、僅かに残っていた媚薬がこびりついている。
完二の状態を伺い知る前に、室内にあの、無機質な男性の声が響き渡った。
【おめでとう。君たちは、見事試練をクリアした。真実の愛を得た、君たちの未来に幸あらん事を】
そう言って、アナウンスはプツリと途切れた。奥の扉から、ガチャリと鍵の開く音がした。
『……ケッ、好き勝手言いやがって……先輩!!さっさとこんな部屋オサラバするっすよ!』
鳴上がどうとも言う前に、完二に肩を担がれ、一緒に立ち上がる。
まだ自分の脳は蕩けているが…自分がたまたま効能の強いモノを引いただけで、残り2本はそうではなかったのだろうか?
完二の腕や肩を伝い、自分の体を走る快感には気付かないフリをしながら、介抱されるままにこの部屋を後にする。
完二が、鳴上を支えている方と反対の腕で、扉を押し開くと、その先の景色が目に入った。
『………は』
息を呑む音が聞こえた。

次の部屋には、恐れていた強力で凶悪な怪物は待ち構えていなかった。
しかしその室内はゴテゴテと悪趣味なレベルで派手に飾り付けられた、一見して寝室のような場所であり、
中央にはキングサイズはありそうなベッドが存在している。
その上から、1枚1枚は薄く透けるような素材で出来たレースカーテンが何枚か重なるように垂れかかっており、天蓋を作っている。
両面YESと表記された枕と、バスローブが2着が用意されている。
いかにも…な部屋の内装だ。
かつ、先程みた長机が、入ってすぐ右手にあり、その上に置かれた紙にはこう書かれていた。
"セックスしないと出られない部屋"

『ふざけんな』
静かな室内に完二の声が響く。
どうした、大丈夫か。などと鳴上が声をかける間もなくヒートアップしていく。
『ふざけんな、ふざけんな、ふざけんなふざけんなふざけんなふざけんなああアアアア!!!』
鳴上を抱えたままでいながらも、彼は頭を振り乱し、全身で怒りを露わにする。
媚薬に犯されていた鳴上も流石にやや冷静さを取り戻し、「完二…?」と声をかける。
するとビクリと身体を震わせた後、完二は続けた。
『先輩、すみません……この部屋で、必死で戦うんなら、なんとかなると思った……キレながらなら、コレを忘れたままでいれるなら、耐えられるって……
でも、でも、ダメだ、こんなお誂え向きに、全部きっちり用意されちまったら、オレは…オレは……』
そこまで言うと完二は脱力する。
自分ごと倒れると気付き、慌てて脚に力を入れ支える。しかし、そうして油断した隙に、平熱よりずっとずっと高い手で顔を彼の方へ向けさせられた。
『……耐えられねぇ………今すぐアンタが欲しい。先輩……』
目から涙をボロボロ流し、呼吸を荒くしながらも、とてもとても幸せそうに笑い、呼吸するだけで快楽を拾っている、完二がそこにいた。
今までにない程欲情して、我を忘れかかっている彼が。




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以下作者コメント
長くなりましたので続きます。


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