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ラブライブ!誕生!新たな生徒会長

原作: ラブライブ! 作者: プリズムの使者
目次

チャプター3:真姫ちゃん、決めるの急

 その頃、穂乃果、海未、ことりの3人は生徒会の仕事を終え、帰路についていた。
「ねぇねぇ、海未ちゃん、ことりちゃん。久しぶりにちょっとお茶していかない?」
 穂乃果は目の前のハンバーガー屋を指差して言う。ことりは「行こう」と即答し、海未は少し戸惑っていたものの、結局行く事に決めた。

「おーい! 穂乃果ー!」
 穂乃果たちがハンバーガー屋へと入ろうとしたとき、右の方から声がした。穂乃果たちが振り向くと、μ'sの仲間の絢瀬絵里と東條希が走ってきていた。
「絵里ちゃーん! 希ちゃーん!」
 穂乃果は二人を呼ぶ。結局、絵里と希を含めた5人でハンバーガー屋に入る事にした。

 久しぶりの再会でお互い興奮していたのか、穂乃果たちは絵里たちが卒業してからの音ノ木坂の事を、絵里たちは新たな大学生活の事を話した。
「そういえば、もうそろそろよね」
「何が?」
 絵里にはどうしても知りたい事があった。「次期生徒会長」の事である。かつて、音ノ木坂の生徒会長をやっていた絵里にとって、次期生徒会長の事は気になる事だった。
「次期生徒会長の事よ。もうそろそろでしょ」
「次の生徒会長かぁ、誰か候補は決めてたりするん?」
 希も絵里の話に同調するかのように話を盛り上げる。穂乃果は少し重たい雰囲気になり、数秒経った頃口を開いた。
「実はね、真姫ちゃんに次期生徒会長にならないかって相談したんだ。そしたら、すごく困った感じになってしまいに“意味わかんない”って言われちゃって……」
「真姫ちゃんが“意味わかんない”って言うなんていつもの事やろ? もうあれは口癖みたいなもんやし」
 希はツッコミを入れるが、わざわざそんな事を穂乃果が言うのは少し事情があるのではないかと感じていた。
「だから最初は生徒会長にはなりたくないんだなって思って別の人を探そうと思ったんだけど、ついさっき花陽ちゃんと凛ちゃんに会ってさ……」
 穂乃果は二人との会話を回想しながら話した。

「あのね、穂乃果ちゃん。実は真姫ちゃんが次期生徒会長になるべきかどうか悩んでるみたいで、私と凛ちゃんからも自信持ってなればいいと思うよって言ったんだけど、真姫ちゃん、まだ悩んでるみたいで……」
「良かったら、穂乃果ちゃんたちからも何か言って欲しいんだにゃ……」
 確か二人の言っていた言葉はこんな感じだった。自分達だけでは力不足だから何かしら真姫を勇気付けて欲しい、といったところだ。だが、そんな事を言われても、穂乃果が真姫を悩ませた要因であるから、真姫を勇気付ける自信などなかった。

「そういう事ね……。真姫ってもっとズバッと言う人だと思ってたけど、まさかそこまで悩むなんてかなりヤバいんじゃないの?」
「そうやね……。あの真姫ちゃんやからね……」
 二人は考え込んでしまった。
「海未ちゃんとことりちゃんは何かいいアイデアある?」
 穂乃果は生徒会組の二人にも聞いてみる。
「そうは言っても……」
「私達にもよくわからないよ……」
 二人は顔を伏せてしまう。


 一方、真姫は30分ほど待って、私服で出てきたにこと一緒にμ’sの頃よく行ってたハンバーガー屋で話をする事にした。
「真姫、これ私のおごりでいいから」
 にこはそう言うとレジで二人分のハンバーガーを受け取り、席に座った。目の前には真姫がいる。真姫の顔を見てやはり何かあったのだとにこは感じた。
「それで、何かあったんでしょ。早く話しなさい」
「分かったわ、実は……」
 それから真姫は、洗いざらい全て話した。穂乃果に生徒会長にならないかと誘われた事、それについて悩んでいる事、花陽と凛に相談して勇気付けられても何か心に引っかかってるものがあった事。
 それを全部聞いた後、にこは5分ほど考えてから、口を開いた。
「アンタが悩んでる事、大体分かったわ。じゃあ、私から話するけど、はっきり言って生徒会長になるかなんてアンタが決める事よ。でも、一つだけ言える事はあるわ」
「それは……?」
「それはね、“やりたいかどうか”よ」
 にこは言葉を続ける。
「今のアンタはなるべきかどうかに拘り過ぎてる。やるべきかどうかなんて問題じゃない。やりたいかどうかが問題なの」


「ねぇ、絵里ちゃん、あれって真姫ちゃんとにこちゃんだよね?」
 考えるのを諦めかけていた穂乃果は少し遠くの席に座っている真姫とにこを見つけた。
「そうね……何か話してるみたい」
「少し聞いてみいへん?」
 希はニヤリと笑って穂乃果に告げる。
「そうだね……」
 5人は真姫とにこの会話に耳を傾けた。

 真姫はにこの言葉に心を揺さぶられる。
「やりたいかどうか……?」
「確かに生徒会長は責任重大な仕事よ。でも、やる気があればあとはどうにでもなるものよ。やる気があればね」
「私は……生徒会長をやりたい。自信ないけど、やってみたいの!」
 真姫ははっきりとした意見をにこに言う。
「やればできるじゃない。でも、その言葉は私に言うべき言葉じゃないわ。じゃあ、またね。私、これから別のバイトが入ってるから。また悩む事があったら言いなさいよね!」
 にこはにっこりと微笑むと、急ぐように席を外し、店から出て行った。
「ありがとう……にこちゃん」
 真姫は、にこの言葉に勇気付けられた。明日言わなきゃ。そんな気持ちでいっぱいだった。真姫も、にこの後を追うように席を外した。

「にこっち、良い事言うやん……」
「結局私達の出る幕なかったわね……」
 希と絵里は少しがっかりしたような表情をした後、ホッとした表情に変わった。
「良かった……真姫ちゃん。明日、真姫ちゃんの気持ちしっかり聞かせてもらうよ!」
 穂乃果は真姫が店を出て行く姿を見つめていた。


 翌日、生徒会室前。真姫は花陽と凛と一緒にいた。
「なんであなた達まで着いて来るのよ……」
「いいじゃん! この方が落ち着くでしょ?」
 凛は真姫の肩に手を乗せ、微笑む。
「それじゃあ行くわよ!」
 真姫は生徒会室の扉を開いた。
「あ、真姫ちゃん! やっと来たね!」
 生徒会室には昨日と同じく、穂乃果と海未とことりが居た。真姫は、3人の姿を見た瞬間、昨日の出来事を思い出して、固まってしまった。
 額から汗が流れ、目の焦点が合ってない。そのことに気付いた花陽は凛に小声で囁く。
「ねぇ、凛ちゃん。真姫ちゃんに」
「そうだね」
 二人はお互いに頷き合い、真姫の背中を押す。真姫は、急に背中を押され、声が出るくらいに驚いた。そして、それが前に花陽と凛にやった事と同じ事だと気付いた真姫は二人に対して感謝の念を抱き、勇気が出た。
 そして、真姫は穂乃果をしっかりと見つめ、口を開く。
「あの、穂乃果! 私……生徒会長やりたい! いい……?」
 恥じらいが感じられる告白は穂乃果の心に響いた。
「ちゃんと言ってくれてありがとう、真姫ちゃん」
 穂乃果は笑顔で真姫に話しかける。

「良かったね……真姫ちゃん」
「良かったにゃあ……」
 花陽と凛はしっかりと言えた真姫に対して感動していた。
「あなた達のおかげで、私はちゃんと言う事ができた。勇気が出せた。ありがとう、花陽、凛」
 真姫は花陽と凛に感謝の気持ちを述べた。


 それから、穂乃果は生徒会長を引退し、新たな生徒会長に真姫が選ばれ、副会長は凛になった。そして、新たなメンバーと共に新生生徒会が誕生した。

「皆さん、初めまして。私が音ノ木坂学院の新生徒会長、西木野真姫です! これからよろしくお願いします!」
 敬語を使う真姫の姿は違和感がありすぎて、少し可笑しかったがそれもまた真姫が生徒会長として一人前になったら慣れるはずだ。
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