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ルーインド東京

ジャンル: SF 作者: SHUNJU
目次

第八章「意気込み」

総合病院の広場

震災によって、悲しみと辛さに暮れる避難民達。
低体温を防ぐために毛布を掛けて座り込む親子や
妊娠中の女性や子供を膝の上にのせて寝かせる母親や
ベンチに座り込む父子等がいた。
東京は今も尚、震災によって深刻な影響をもたらしている。

未夢のラジオで臨時報道を聴く遥達。
ニュースも東京ではなく、大阪の放送局から流れている。

キャスター「関東地方は現在も富士山の噴火によって
      重大な被害が続いています。」
遼真「今日もラジオ局はいつもと違う気がするね。」
掛「大阪からだろうな。きっと東京の放送局も放送できないんだよ。」

ポイント⑱ 放送局が巨大災害で放送できない時は     
      他の地方の放送局に切り替えられる場合がある。

そんな時、2人の女性が食糧を差し入れにやって来た。
その2人は女優の“大瀬鈴子(25)”とそのマネージャーである。

遥「あっ、あなたは女優の大瀬鈴子さんですよね?
  どうしてこの避難所に来たんですか?」
大瀬「撮影現場が被災されて収録がしばらくできないようです。
   今は食糧と水を避難所の人に届けるボランティアをしているので。」

ポイント⑲ 震災が起きると、撮影現場が被災された場合は
      収録不能となり、映画やドラマ等の制作にも
      大きな影響を与える。

遥達は大瀬が食料を差し出す様子を見に行った。

大瀬「ごめんね。食糧持ってきたけど少ないから皆で分けて食べてね。」

そのテーブルには僅かながらの食糧が置いてあった。

女性「いやぁここはもう酷いんもんだねぇ。」
遥「ええ・・・。」

遥が元の場所に戻ると

遥「ねぇ遼真、未夢さんが持ってきた食糧まだあるかな?」
遼真「ほとんど食べ切っちゃったからそんなに残ってないよ。」

未夢が持ってきた食糧はほとんど減ってしまった。
遼真が未夢の鞄を漁っていると、その中から1枚の写真を見つけた。

遼真「これは・・・未夢姉ちゃんの写真だ!!」

この写真は去年のハロウィンに撮影された未夢のコスプレ写真だった。

掛「どうしてこんなモンが入ってたんだ!?」
遥「ここって渋谷のハチ公前広場?」
遼真「それだよ!!これ去年のハロウィンの時だよ!
   忘れられないからって未夢姉ちゃんがとっておいたんだよ!」
木村「そうか、その写真は未夢の大切な思い出だったのか!!」

すると、女の子の泣き声が聞こえた。

女の子「うわあぁぁぁぁぁぁぁぁん‼あーーーーーーーーーん‼」

遥「えっ、何?」
遼真「お姉ちゃん、こっち!」

遥と遼真は泣き声の持ち主の女の子の方へ行くと、そこには大瀬もいた。

遥「大瀬さん、この子供は?」
大瀬「この子はおつかいに行った時に
   今回の大地震に遭ってしまい家に帰れなくなったらしいですが、
   ご両親に会いたくなって急に泣き出してしまいました。
   私が一生懸命慰めようとしていますが。」
女の子「うわああああん‼パパァ~‼ママァ~‼会いたいよぉ~‼」
遼真「僕だって会いたいけど、皆で頑張って生きなきゃダメだよ!」
遥「そうだよ!パパとママはどこかにいるから心配しないで!」

そして一方、掛は震災で職を失った男性に食糧を差し出した。

掛「これ、お前にやるよ。」
男性「あ・・・ありがとう・・・」
掛「どうした?そんなに避難生活が辛いのか?」
男性「いや・・・実は今回の震災で、
   勤め先の会社が潰れることになったんだ・・・。」
掛「そりゃそうだな。巨大災害で都内の会社が
  相次いで倒産してるからな。」

ポイント⑳ この様な震災が起きると被災された場合
      倒産する会社や企業が増加する恐れがある。

遥と大瀬は毛布を掛けて座り込む女子高生に話しかける。

大瀬「どちらにお住まいでしょうか?」
女子高生「八王子の方です。」
遥「八王子・・・年はいくつぐらいですか?」
女子高生「17歳で、高校3年生です。
     今年、修学旅行で奈良と京都へ行くはずでしたが・・・」

女子高生は涙ながらにこう話した。

女子高生「新幹線も大災害で運行を停止して、
     修学旅行は今年、中止になってしまったんです・・・。」

ポイント㉑ 震災が起きると修学旅行や部活動等の
      学校行事にも大きな影響を与える。

遥「私も同じ境遇なんです!
  ゴールデンウィークに家族みんなで大阪万博に行くはずでした!
  あの大地震で行けなくなったので、大変な目に遭っているんです!」

一方、木村はその親子に食糧を渡した。

木村「もしよかったらコレをどうぞ。」
女性「ありがとうございます・・・。」
木村「どちらに住まわれているんですか?」
女性「町田の方です。
   小田急電鉄も全線ストップしてダメになったので、家に帰れなくて
   この子を抱えて、ここに避難してきました。
   この子には3つ上の兄がいて、私には夫がいるのですが・・・
   避難するときにはぐれちゃったかも・・・」

すると、広場内で大きな余震が発生した。

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
ガシャーン!ガラガラガラ

子供の泣き声や避難民の悲鳴が響き、広場中に響いた。
遼真はラジオを庇った。

キャスター「只今、関東地方が激しく大きく揺れています!」

そして地震は一瞬にして収まった。

掛「収まったか?」

遥は子供達を庇い・・・

遥「怖かったね。大丈夫だった?」

そして1人の女性が涙ながらにこう言った。

女性「東京は・・・どうなってしまうのよ‼」

そして、子供達やその避難者のほとんどが
あまりの辛さや悲しみに泣き崩れてしまった。

遥はある事に思いつき、避難民の前でこう伝えた。

遥「みんな、私の話をよく聞いて!
  辛いのはみんな一緒!
  みんなで一緒に生きれば幸せになれるんだよ!」
遼真「お姉ちゃんの言う通り!皆で力を合わせて生きていけば
   東京もいつかは復興するよ!」

その後、
遥が廊下を歩き回っているとスマホから着信音が鳴った。

ピロピロピロピロ♪ピロピロピロピロ♪

遥はその着信に応答すると

遥「もしもし、遥だけど。」
幹「ハルちゃん・・・今どこにいるの・・・?」
遥「えっ、幹!?今私、総合病院の中だけど
  幹こそ、どこにいるの?」

そう、電話がかかって来た相手は
崩れかけたビルに閉じ込められた親友の幹だった。

幹「今・・・私、崩れかけた・・・ビルの中にいるんだけど・・・
  中々・・・ここから・・・出られなくなって・・・」
遥「大丈夫だよ!レスキュー隊員が幹の事を助けてくれるからね。」
幹「うん・・・ありがとう・・・ハルちゃん・・・ずっと・・・友達だから・・・」

ツーツーツー

幹との連絡は途切れた。

広場に戻った遥は仲間にこう伝えた。

遥「友達から電話があったみたいだよ。」
掛「え?ようやく着信が繋がったのか?」
遥「うん、幹が崩れかけたビルの中にいるって・・・」
遼真「幹お姉ちゃんがビルの中に閉じ込められたの⁉」
木村「これは救出するのも大変そうだな!」

すると、ラジオから新しい情報が入ってきた。

キャスター「たった今、入ってきた情報です!」
遥「何?」
キャスター「原宿のビルに複数の人が救出されました!」
遼真「お姉ちゃんが言ってたのこのビルじゃない!?」
キャスター「今救出されたのは、30代くらいの男性です!
      包帯が巻かれていますが、意識はあるようです!」
木村「なんだよ!あの子じゃないのかよ!」
掛「いや、あのビルは崩れかけた瓦礫とかがあって、
  奴を救出することはかなり難しいんだ。」
遥「え、そんな!」

ポイント㉒ 崩れかけた建物は救出が困難な場所もある。

すると、再び物凄く強い揺れを感じた。

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴガタガタガタガタガタガタガタガタガタ

そして、揺れがされに増し、その余震は病院の広場でも発生した。
遥達はそれに気づいて・・・

ドカーン‼

遥「キャッ!」

そして、机等が倒れ、備蓄品も崩れ落ち、最大の余震が発生した。

ゴオオオオオ‼
ガシャーン‼バタン‼

キャスター「今、東京都内が激しく大きく揺れています‼」

多くの避難民が身を寄せている、

キャスター「震度6強です‼震度6強です‼」

遥は幹の事を心配した。

遥「幹・・・!」

崩れていくビルを思い浮かべながら
幹の言葉を思い出した。

幹「ずっと・・・友達だから・・・」

遥「幹ィィィィィィィィィィ————ッ‼」
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