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いと哀れなり

原作: その他 (原作:鬼滅の刃) 作者: takasu
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柱達は彼女が村の人達から歓迎され、頼りにされ、慕われている姿を見て、自分達がしてきたことを心底後悔した。

鬼を狩るだけでなくその後、残された人々達の面倒まで見る隊士は彼女以外にいない。自分の給料のほとんどをこの街に費やし、自分は贅沢もせずにここまで復興させたのだ。

そして周りの人たちにこんなにも慕われているはずの彼女が人を虐めるなどということをするはずがないというのに。

働きぶりにも非のうちどころがなくテキパキと動くもので柱達は手伝うことも簡単だった。

そして柱達は何より困った事があった。

彼女は男にたのめばいいような力仕事まで一人でこなそうとするのでそれはもうヒヤヒヤものだった。

「よい…しょっ………わっ…」

重いものを持ち上げようとしたが滑ってしまった。

宇髄「っぶねーっ!」

間一髪のところで宇髄が片手でかるがると彼女もろとも支えた。

不死川「ったく、一人でできねェ事は頼めェ…」

かそして彼女が持っている荷物を不死川が取り上げた。

無一郎「傷口、開くよ。」

すぐに無一郎と煉獄も駆け寄った。

煉獄「こちらの力仕事は俺たちが引き受けよう!」

「すみません…」

申し訳なさそうに柱達に一礼した。

そして彼女に意外な一面もあった。

「…」

村人達「「「…;;;」」」

ひどく不器用だったのだ。本人は至って真面目だがとてもまともにできたとは言い難い出来栄えだ。

しのぶ「…;ここは任せてください。私がやりますよ。」

「すみません…;」

しのぶは細かい作業を手伝い、

甘露寺「私も………あ、あっち手伝ってくるわね!!」

甘露寺は男達と一緒に力仕事を手伝った。

そして建物の修復はあれよあれよと完了していき、1日にしてほとんどの修復が終わった。

「本当にありがとうございました。」

深々と頭を下げる彼女に柱達は礼はいらないと言い、全員で宿に向かった。


山中「おや、おかえり!…皆さん泥だらけじゃないかい!さぁ、湯あみの準備ができてますからどうぞ!」

柱達は礼を言うとすぐに風呂場へと向かった。

山中「あ…。ゆりえちゃんはあとで入るかい?」

「そうします。ですが汚れているので外で待っ…」

甘露寺「一緒に入りましょ!せっかくだわ!」

しのぶ「よければ一緒にどうでしょう?」

山中「あ…ゆりえちゃんは…」

甘露寺・しのぶ「?」

「…山中さん、お気遣いありがとうございます。ですがお二人がいいと仰っているので私も湯浴みさせて頂きます。」

山中「そうかい、それならよかった。」

不思議な会話を二人で済ませると彼女もしのぶ達の後を追った。

そしてこのあと二人は先ほど一緒に入るのをためらった真相を知ることになる。

脱衣所に来たもののなかなか服を脱ごうとしない彼女にしのぶが声をかけた。

しのぶ「入らないんですか?」

「あ、いえ…」

甘露寺「恥ずかしいことなんてないわよ!さぁ脱いじゃって!」

そう言って甘露寺がゆりえの帯に手をかけ、着物が落ちた。

長襦袢からわずかに見える手足にひどい傷跡があり、思わず甘露寺は目を背けた。

「あの、すみません。気持ち悪いかと思って脱がなかったんですけど…。お二人が湯に浸かったら入ろうと思ってたんです…。すみません。汚いものを見せてしまって。」

そういって俯く彼女に甘露寺は涙を堪えていった。

甘露寺「汚くなんてないわよ!あとでしのぶちゃんにちゃんと見てもらいましょ!…ほら!一緒に入りましょう!」

しのぶ「まだ治っていない傷もあるようですから、後で必ず見せてくださいね。」

そして3人揃って湯あみをすることになった。

そしてまた体を流しているときに彼女の背中に見えた大きな傷と、自分達がつけた覚えのある傷が見えてしのぶと甘露寺は自分達の行動に悔い、胸を痛めていた。


傷口から血が出るのを気遣ってか先に風呂を上がったゆりえは傷口に包帯を巻いていた。

しかし相変わらず不器用でこんもりと包帯が巻いてある身体に着物を着ようとしているところでしのぶ達があがってきた。

甘露寺「ゆ、ゆりえちゃん…?」

「あ、お先です。」

しのぶ「もしかしてですが、手当てをしたんですか?ご自分で。」

「あ…はい…」

しのぶ「…そんなのじゃ着物を着れませんよ。そこに座ってて下さい。包帯を巻きなおします。」

「いえ、そんなお手を煩わせるような…」

しのぶ「良いから座ってて下さい。」

甘露寺『しのぶちゃん相変わらずすごいわ…!』

その後しのぶに手当てをされることになった彼女。しかしなぜか腹や太腿の傷だけはなかなか見せようとしなかった。

「あとは、自分でできるので大丈夫です。ありがとうございました。」

しのぶ「だめです。早く見せて下さい。」

甘露寺「大丈夫よ!しのぶちゃんなら!みんなの手当てをして見慣れてるも…の…」

そう言いながら甘露寺が彼女の着物に手を伸ばすとはらりとめくれた着物からは今日彼女が普通に生活できていたのが不思議なくらいのひどい傷と、古傷だろうか大きな火傷の跡があった。

しのぶ「ゆりえさん。この傷は…」

そう言いかけてしのぶははっとした。

しかしすぐに彼女は着物を掛け直し立ち上がった。
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