23
実弥「それで、今まではどういう契約だったんだァ。」
「はい。今までの雇主様は皆様私を奴 れいとして迎え入れて頂いておりました。家の仕事だけでなくストレス発散の道具に使ったり、主に女中というよりも道具として雇われておりました。ですが、身体を使われた経験はありませんのでそちらを御所望ならば上手くできるか…。それに私は全身醜い物です…。」
そう言うと玄弥と実弥はぼっと顔を赤くして目を逸らした。
実弥「いや…それはいらねぇ。つ、つづけろォ…」
「はい。雇われた家の生活費は私が負担することになっておりました。寝床は主に外です。たまに倉庫に入れていただけることもございました。目につく場所にいられては困ると言うことでしたらどこでも閉じ込めて頂いてかまいません。湯浴みは季節関係なく水で。雇主の方は私を道具としていますから名乗って頂いたことはございませんし…ですのでそのように扱って頂いて構いません。」
玄弥「酷い…」
「そんなことは御座いません。屋敷の敷地内であれば寝ている間にすぐに鬼に奇襲されることもございませんから置いていただけるだけとてもありがたいことです。」
実弥「いつから働いてんだァ」
「初めに働いたのは恐らく3歳くらいだったかと思います。もう物心がつく前から右も左もわかるぬまま働いておりました。その時は家のことはなにも出来ませんでしたので殴る蹴るを受けるだけで敷地内に置いていただけたのでそれが仕事でした。家のことをできるようになってからは女中の仕事をしておりましたが初めて雇われたお屋敷が鬼に襲われ、そこのお嬢様を鬼から守るのがやっとで助けた後は女中としてだけではなく道具にもされました。お嬢様のご両親を守ることが出来なかったので仕方ありません。それからは道具として、そして鬼狩りもお嬢様から命じられましたのでその二つをしておりました。そして鬼殺隊のお館様の鎹烏から呼び出され私は正式に鬼殺隊として迎え入れて頂きました。その後は鬼殺隊としてのみの仕事をしておりましたが…辞めなければいけなくなり、今は一人で鬼狩りをしております。…そしてこうしてまた雇われに来ました。」
玄弥「そんなっ…」
実弥「柱のことは覚えているのかァ…?」
「柱…確か鬼殺隊で一番位の高い隊士の方と聞いておりました。しかしお恥ずかしながら私のような弱い隊士とはご縁がなく…存じ上げておりません…」
実弥「そうかィ…」
玄弥「じゃ、じゃあ炭次郎達のことは!鬼を連れた隊士のことです!」
「鬼を連れた隊士…すみません。私にはそのような報告はきておりませんでしたので…。私は鬼殺隊といえどお館様のご好意でそう名乗ることを許されているだけの身…。他の隊士の方から避けられて当然の身でしたのでそういったご報告をいただくこともありませんでした…。存じ上げておらず申し訳ありません。」
実弥「…ここで雇われるつもりなら今すぐ湯浴みをして飯を食え。」
「しかし…」
実弥「玄弥、タオルと俺の服持って案内してやってくれェ。」
玄弥「あ、うんっ…!」
そうして玄弥につれていかれたゆりえは湯浴みを済ませるなり実弥の前に土下座をした。
「汚いままお屋敷に上がってしまい申し訳ありませんっ…明日必ずお借りした服とタオルは新しく買い直させていただきますっ…。本当に申し訳ありませんっ…」
その様子は相変わらず小さくなって震えていて、平気だと話していたもののずっと辛い思いをしていたのだと実弥は自分の行いを悔いた。
実弥「飯はァ。」
「はい。問題ありません。」
実弥「食ったのかァ」
「日頃から食事はなるべくとらないようにしているのでお気になさらないでください。」
玄弥「でも…そんなの…」
「殴られるといつもその衝撃で吐いてしまいます。お屋敷を汚すわけにもいきませんし、何も胃に入っていない方が楽なので。鬼狩りに行く前にいつも食事をしております。」
実弥「食えねぇのかァ」
「はい。日頃から鬼狩りに行く前以外に食事をしていないのでなかなか…。今は藤の花を1房食べるのがやっとです。」
玄弥「えっ…食事って藤の花だけなんですか…?」
「はい。そうすれば私の身体は藤の花でできるので、いつか強い鬼を倒すのが困難な時、誰かの盾となり鬼に吸収されればその時初めてお役に立てると思い始めました。」
実弥「っ…」
「あ、そろそろ寝床につく時間ですね。お布団を敷きます。」
玄弥「そんなの俺がやりますよ!」
「私の仕事ですのでお気になさらず…」
そう言うとゆりえは一歩を踏み出したが実弥の服を借りていたためか浴衣の裾を踏んでしまいその場に顔からこけてしまった。
実弥・玄弥「「………;」」
「…………失礼しました。」
玄弥「だ、大丈夫ですかっ」
実弥「動き辛れェだろォ。大人しく座っとけェ。」
「いえ。問題ありません。すぐに準備いたします。」
そうして敷かれた布団は2組だった。
「では、何かありましたらお申し付けください。」
そう言うなり廊下に出て正座をしている影が見えていた。
「はい。今までの雇主様は皆様私を奴 れいとして迎え入れて頂いておりました。家の仕事だけでなくストレス発散の道具に使ったり、主に女中というよりも道具として雇われておりました。ですが、身体を使われた経験はありませんのでそちらを御所望ならば上手くできるか…。それに私は全身醜い物です…。」
そう言うと玄弥と実弥はぼっと顔を赤くして目を逸らした。
実弥「いや…それはいらねぇ。つ、つづけろォ…」
「はい。雇われた家の生活費は私が負担することになっておりました。寝床は主に外です。たまに倉庫に入れていただけることもございました。目につく場所にいられては困ると言うことでしたらどこでも閉じ込めて頂いてかまいません。湯浴みは季節関係なく水で。雇主の方は私を道具としていますから名乗って頂いたことはございませんし…ですのでそのように扱って頂いて構いません。」
玄弥「酷い…」
「そんなことは御座いません。屋敷の敷地内であれば寝ている間にすぐに鬼に奇襲されることもございませんから置いていただけるだけとてもありがたいことです。」
実弥「いつから働いてんだァ」
「初めに働いたのは恐らく3歳くらいだったかと思います。もう物心がつく前から右も左もわかるぬまま働いておりました。その時は家のことはなにも出来ませんでしたので殴る蹴るを受けるだけで敷地内に置いていただけたのでそれが仕事でした。家のことをできるようになってからは女中の仕事をしておりましたが初めて雇われたお屋敷が鬼に襲われ、そこのお嬢様を鬼から守るのがやっとで助けた後は女中としてだけではなく道具にもされました。お嬢様のご両親を守ることが出来なかったので仕方ありません。それからは道具として、そして鬼狩りもお嬢様から命じられましたのでその二つをしておりました。そして鬼殺隊のお館様の鎹烏から呼び出され私は正式に鬼殺隊として迎え入れて頂きました。その後は鬼殺隊としてのみの仕事をしておりましたが…辞めなければいけなくなり、今は一人で鬼狩りをしております。…そしてこうしてまた雇われに来ました。」
玄弥「そんなっ…」
実弥「柱のことは覚えているのかァ…?」
「柱…確か鬼殺隊で一番位の高い隊士の方と聞いておりました。しかしお恥ずかしながら私のような弱い隊士とはご縁がなく…存じ上げておりません…」
実弥「そうかィ…」
玄弥「じゃ、じゃあ炭次郎達のことは!鬼を連れた隊士のことです!」
「鬼を連れた隊士…すみません。私にはそのような報告はきておりませんでしたので…。私は鬼殺隊といえどお館様のご好意でそう名乗ることを許されているだけの身…。他の隊士の方から避けられて当然の身でしたのでそういったご報告をいただくこともありませんでした…。存じ上げておらず申し訳ありません。」
実弥「…ここで雇われるつもりなら今すぐ湯浴みをして飯を食え。」
「しかし…」
実弥「玄弥、タオルと俺の服持って案内してやってくれェ。」
玄弥「あ、うんっ…!」
そうして玄弥につれていかれたゆりえは湯浴みを済ませるなり実弥の前に土下座をした。
「汚いままお屋敷に上がってしまい申し訳ありませんっ…明日必ずお借りした服とタオルは新しく買い直させていただきますっ…。本当に申し訳ありませんっ…」
その様子は相変わらず小さくなって震えていて、平気だと話していたもののずっと辛い思いをしていたのだと実弥は自分の行いを悔いた。
実弥「飯はァ。」
「はい。問題ありません。」
実弥「食ったのかァ」
「日頃から食事はなるべくとらないようにしているのでお気になさらないでください。」
玄弥「でも…そんなの…」
「殴られるといつもその衝撃で吐いてしまいます。お屋敷を汚すわけにもいきませんし、何も胃に入っていない方が楽なので。鬼狩りに行く前にいつも食事をしております。」
実弥「食えねぇのかァ」
「はい。日頃から鬼狩りに行く前以外に食事をしていないのでなかなか…。今は藤の花を1房食べるのがやっとです。」
玄弥「えっ…食事って藤の花だけなんですか…?」
「はい。そうすれば私の身体は藤の花でできるので、いつか強い鬼を倒すのが困難な時、誰かの盾となり鬼に吸収されればその時初めてお役に立てると思い始めました。」
実弥「っ…」
「あ、そろそろ寝床につく時間ですね。お布団を敷きます。」
玄弥「そんなの俺がやりますよ!」
「私の仕事ですのでお気になさらず…」
そう言うとゆりえは一歩を踏み出したが実弥の服を借りていたためか浴衣の裾を踏んでしまいその場に顔からこけてしまった。
実弥・玄弥「「………;」」
「…………失礼しました。」
玄弥「だ、大丈夫ですかっ」
実弥「動き辛れェだろォ。大人しく座っとけェ。」
「いえ。問題ありません。すぐに準備いたします。」
そうして敷かれた布団は2組だった。
「では、何かありましたらお申し付けください。」
そう言うなり廊下に出て正座をしている影が見えていた。
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