16
少しでも目を離せば彼女が死んでしまうのではないか、そんな不安から柱達は入れ替わり立ち替わりゆりえの側を離れなかった。
最初こそゆりえの鎹烏につつかれ責められたが今となっては鎹烏は好きにしろと言わんばかりの態度をとっていた。
しかしそんな日が終わる時がきた。
あれからさらに1週間後、彼女が目を覚ましたのだ。
柱の入れ替わりの時間に丁度。
入れ替わりに部屋に入ってきたのは宇髄だった。
宇髄「!!ゆ、ゆりえっ!待ってろ、今胡蝶を呼んでくるから!」
「?」
そう言って出て行った宇髄をボーッとする頭で見送った彼女はベッドから出ようと足を地について立ち上がろうとした。
だが身体が思うように動かずその場で顔面から地面に打ち付けてしまった。
どたっという音がなってしまったからか、否か。
しのぶをつれた宇髄が慌てて部屋に駆け込んできた。
しのぶ「ゆりえさんっ!」
そう言って打ち付けた顔面を気にする素振りもなく立ち上がろうとするゆりえにしのぶと宇髄が駆け寄った。
しのぶ「何してるんですか!まだ安静にしてないといけませんよ!」
宇髄「派手に怪我してるんだ!無理すんな!」
「…」
2人の呼びかけに反応することはなくすくっと立ち上がったゆりえは2人の隙をついて一気に廊下へと走り出した。
しのぶ「ゆりえさんっ?!」
宇髄「あ、おい!待てよ!」
2人が追いかけるも後一歩で腕を掴めそうなところで交わされてしまいそのまま逃げられそうになった。
が、丁度薬が嫌で部屋から出てきた善逸とそれを追いかける炭次郎、なぜか分からないが楽しそうに一緒になって追いかける猪之助が突然出てきたのでしのぶと宇髄はかまぼこ隊に助けを求めた。
しのぶ「炭次郎くん!皆さんでゆりえさんを捕まえてください!」
宇髄「逃すなよ!」
あまりの不意打ちになったからか、かまぼこ隊の3人に捕らえられたゆりえは3人の腕から逃れようと必死に踠いていた。
しかし一言も言葉を発することはなかった。
炭次郎「お、落ち着いてください!ゆりえさん!」
善逸「ヤダヤダヤダヤダ!流したら絶対俺たち怒られるじゃん!お願いだから逃げないでよぉ~!!」
猪之助「ふはははは!」
逃すまいと3人がかりで彼女を抑え込むが流石は柱。
隙をついては逃げ出そうとしている様子にかまぼこ隊は何かを感じ取っていた。
炭次郎『すごく恐怖の匂いがする…。何に怯えてるんだ…?それに血の匂いもだんだん濃くなってる…これ以上暴れたら傷口が更に開いてしまう…』
善逸『あ、この人怖いんだ。…何に怯えてるんだろ…
恐怖の心音だ…』
猪之助「何がそんなに怖えーんだ!大人しく捕まりやがれ!!」
そう言われてふっと逃げるのをやめたゆりえに3人が安堵のため息をつこうとした時だった。
再び隙をついて逃げようとした彼女だったが。後から追いついていた宇髄によっていとも簡単に捕らえられてしまった。
宇髄「派手に逃げてくれたなぁ。何とか間に合ったか…」
しのぶ「全くです。さ、ゆりえさん、まだ傷は治っていないので部屋に戻ってもらいますよ。」
そう言われても未だに宇髄の手を離そうとするゆりえに全員が違和感を覚えていた。
炭次郎「待ってください!」
炭次郎の一声にゆりえ以外の全員が動きをぴたりと止めた。宇髄はゆりえの腕を離さないままだが。
炭次郎「ゆりえさんから怖がってる匂いがします。」
善逸「!!」
善逸が何かに気がついた瞬間、ゆりえは宇髄に腕を掴まれていない方の手で心臓を握りしめてその場にへたり込んだ。
息も荒く辛そうだ。
ゴホゴホと咳き込む度に吐血してとても苦しそうだった。
善逸「本当に怖がってる!腕を離してあげてくださいよ!」
言われた通りに宇髄が腕を離すとその場に蹲りながらもどうやら土下座しているようだった。
炭次郎達がゆりえの背中をさすってやるも彼女は土下座をやめず、小さく小刻みに震えていた。
炭次郎「ゆりえさん、大丈夫ですよ。」
善逸「柱の人達が怖いの…?」
炭次郎と善逸はそう言って背中をさすり続け
猪之助「子分のことは守ってやるぞ!」
猪之助はゆりえと柱の間に立った。
そうしてようやく少し落ち着いたのか彼女は顔は俯いたままだが頭をあげた。
そして炭次郎達にしか聞こえないほど小さな声で「ありがとう。」と言うと全員が油断している隙を突いて屋敷の庭から外へと逃げ出した。
その後彼女が蝶屋敷に戻ることはなかった。
炭次郎「何に怯えていたんだろう…」
善逸「やっぱり柱の人達かな…」
猪之助「ふん!あいつは強い!何を怖がってやがんだ?」
3人がそんな会話をしているとしのぶが3人に話しかけた。
しのぶ「炭次郎くん。…ゆりえさんがどこにいったのか匂いで辿れませんか?」
炭次郎「匂いの跡を辿れば追いつけるかもしれないけど…。あんなに怯えているゆりえさんを追いかけるのは…。」
善逸「確かに…。」
猪之助「ふん!子分を守るのは親分の仕事だ!」
宇髄「頼むっ…!あのままじゃ怪我が悪化するだけだ。せめて胡蝶だけでもゆりえのもとに連れていってくれねぇか…」
最初こそゆりえの鎹烏につつかれ責められたが今となっては鎹烏は好きにしろと言わんばかりの態度をとっていた。
しかしそんな日が終わる時がきた。
あれからさらに1週間後、彼女が目を覚ましたのだ。
柱の入れ替わりの時間に丁度。
入れ替わりに部屋に入ってきたのは宇髄だった。
宇髄「!!ゆ、ゆりえっ!待ってろ、今胡蝶を呼んでくるから!」
「?」
そう言って出て行った宇髄をボーッとする頭で見送った彼女はベッドから出ようと足を地について立ち上がろうとした。
だが身体が思うように動かずその場で顔面から地面に打ち付けてしまった。
どたっという音がなってしまったからか、否か。
しのぶをつれた宇髄が慌てて部屋に駆け込んできた。
しのぶ「ゆりえさんっ!」
そう言って打ち付けた顔面を気にする素振りもなく立ち上がろうとするゆりえにしのぶと宇髄が駆け寄った。
しのぶ「何してるんですか!まだ安静にしてないといけませんよ!」
宇髄「派手に怪我してるんだ!無理すんな!」
「…」
2人の呼びかけに反応することはなくすくっと立ち上がったゆりえは2人の隙をついて一気に廊下へと走り出した。
しのぶ「ゆりえさんっ?!」
宇髄「あ、おい!待てよ!」
2人が追いかけるも後一歩で腕を掴めそうなところで交わされてしまいそのまま逃げられそうになった。
が、丁度薬が嫌で部屋から出てきた善逸とそれを追いかける炭次郎、なぜか分からないが楽しそうに一緒になって追いかける猪之助が突然出てきたのでしのぶと宇髄はかまぼこ隊に助けを求めた。
しのぶ「炭次郎くん!皆さんでゆりえさんを捕まえてください!」
宇髄「逃すなよ!」
あまりの不意打ちになったからか、かまぼこ隊の3人に捕らえられたゆりえは3人の腕から逃れようと必死に踠いていた。
しかし一言も言葉を発することはなかった。
炭次郎「お、落ち着いてください!ゆりえさん!」
善逸「ヤダヤダヤダヤダ!流したら絶対俺たち怒られるじゃん!お願いだから逃げないでよぉ~!!」
猪之助「ふはははは!」
逃すまいと3人がかりで彼女を抑え込むが流石は柱。
隙をついては逃げ出そうとしている様子にかまぼこ隊は何かを感じ取っていた。
炭次郎『すごく恐怖の匂いがする…。何に怯えてるんだ…?それに血の匂いもだんだん濃くなってる…これ以上暴れたら傷口が更に開いてしまう…』
善逸『あ、この人怖いんだ。…何に怯えてるんだろ…
恐怖の心音だ…』
猪之助「何がそんなに怖えーんだ!大人しく捕まりやがれ!!」
そう言われてふっと逃げるのをやめたゆりえに3人が安堵のため息をつこうとした時だった。
再び隙をついて逃げようとした彼女だったが。後から追いついていた宇髄によっていとも簡単に捕らえられてしまった。
宇髄「派手に逃げてくれたなぁ。何とか間に合ったか…」
しのぶ「全くです。さ、ゆりえさん、まだ傷は治っていないので部屋に戻ってもらいますよ。」
そう言われても未だに宇髄の手を離そうとするゆりえに全員が違和感を覚えていた。
炭次郎「待ってください!」
炭次郎の一声にゆりえ以外の全員が動きをぴたりと止めた。宇髄はゆりえの腕を離さないままだが。
炭次郎「ゆりえさんから怖がってる匂いがします。」
善逸「!!」
善逸が何かに気がついた瞬間、ゆりえは宇髄に腕を掴まれていない方の手で心臓を握りしめてその場にへたり込んだ。
息も荒く辛そうだ。
ゴホゴホと咳き込む度に吐血してとても苦しそうだった。
善逸「本当に怖がってる!腕を離してあげてくださいよ!」
言われた通りに宇髄が腕を離すとその場に蹲りながらもどうやら土下座しているようだった。
炭次郎達がゆりえの背中をさすってやるも彼女は土下座をやめず、小さく小刻みに震えていた。
炭次郎「ゆりえさん、大丈夫ですよ。」
善逸「柱の人達が怖いの…?」
炭次郎と善逸はそう言って背中をさすり続け
猪之助「子分のことは守ってやるぞ!」
猪之助はゆりえと柱の間に立った。
そうしてようやく少し落ち着いたのか彼女は顔は俯いたままだが頭をあげた。
そして炭次郎達にしか聞こえないほど小さな声で「ありがとう。」と言うと全員が油断している隙を突いて屋敷の庭から外へと逃げ出した。
その後彼女が蝶屋敷に戻ることはなかった。
炭次郎「何に怯えていたんだろう…」
善逸「やっぱり柱の人達かな…」
猪之助「ふん!あいつは強い!何を怖がってやがんだ?」
3人がそんな会話をしているとしのぶが3人に話しかけた。
しのぶ「炭次郎くん。…ゆりえさんがどこにいったのか匂いで辿れませんか?」
炭次郎「匂いの跡を辿れば追いつけるかもしれないけど…。あんなに怯えているゆりえさんを追いかけるのは…。」
善逸「確かに…。」
猪之助「ふん!子分を守るのは親分の仕事だ!」
宇髄「頼むっ…!あのままじゃ怪我が悪化するだけだ。せめて胡蝶だけでもゆりえのもとに連れていってくれねぇか…」
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