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その場に残された柱達は愛柱を囲んでいた。
歓迎ムードに包まれる中、彼女の実力を見たいという敵意ではなく興味の発言があり、彼女は柱達と軽い手合わせをすることになっていた。
愛「皆さん強いと聞いているので、私から仕掛けさせていただいてもいいですかぁ??」
その言葉に柱達は首を縦に振った。
愛「では早速…。愛の呼吸…弍ノ型…万人受愛…!」
彼女が呼吸を発するとその場はピンクの空気に包まれ、特に何も起こらなかった。
ように見えた。
が、何故か彼女と手合わせするはずの柱達は木刀を捨て、彼女を取り囲み褒め称えた。
そう、この呼吸はなんの役にも立たない。人間にしか効かない無駄な呼吸。
しかしこのお陰で多くの人間を騙し柱まで上り詰めたのだ。
愛「これくらい普通ですよ!実は私…月柱の矢神さんに虐められてて、悔しくて強くなろうって思ったんです!今日はじめましてなんて言われて、私のことなんて覚えてないんだってちょっと悲しく…っグスッ…すみませんっ…なんか昔のこと思い出しちゃって…」
そういって演技をする彼女に誰も気づくはずもなく、柱達の中で月柱に対するイメージが塗り替えられていった。
この呼吸に侵された者達は自分達で我慢を抱かない限り解けることはない…
その翌日、任務で背中に少し大きな怪我をした私は蝶屋敷に足を運んだ。
門が開かれるとそこにはしのぶさんが険しい顔、いや、軽蔑するような顔で立っていた。
いつもと何かが違う…
「しのぶさん、手当てをして頂いても…」
‥パチン…
「っ….」
しのぶ「貴女のような最低な人を手当てする義務はありません。帰ってください。迷惑です。」
突然頬を叩かれたと思うと門前払いされてしまった。
「…すみません…」
ジンジンする頬を押さえて私は閉められた門に向かって頭を下げて屋敷に戻ることにした。
その帰り道、偶然か否か。
悲鳴嶼さんにばったり会い、頭を下げて挨拶をすると冷たい水をばしゃりとかけられた。
悲鳴嶼「嗚呼…なんと哀れな…浄化しても無駄かもしれない…嗚呼…南無阿弥陀仏…」
「すみません…」
どうも私は嫌われているらしい。
弱いから?…怪我をして帰ってきたから?…柱失格…?
私の中で不安がぐるぐると渦巻いた。
他の日も、柱の人達に会う度に私は暴言を吐かれ、酷い時は殴られた。
どうも姫野さんに、近づくなと言われる限り私は姫野さんの気に触るようなことをしてしまったらしい。
あの日簡単な挨拶でお暇してしまったからだろうか。
隠れの人達がコソコソ話しているのが聞こえて、嘘の噂を流されていることがわかった。
私に知り合いはいないはずだった。
一人で路地裏生活をする前も、親や売られた先で殴られたりすることはあれど、人を殴ったことなんてなかった。
鬼以外を切ったこともない。
私は嫌われる才能があるのだろうか。
柱になって他の柱の人達とする何気ない会話や日常があまりに幸せすぎて。私には贅沢だったのかもしれない。きっと罰が当たってしまったのだろう。
くれぐれもこれ以上他の人達の気分を害さないように強くならなければ…。
私はそう自分を奮い立たせ毎日鍛錬に励んだ。
傷が増えても自分でする手当は不器用なものだ。
人にする手当は出来てもどうも自分にはうまく出来ない。否、無意識に自分への手当てを雑にしてしまう。
嗚呼、そうだ、私は今も昔も価値のない人間だった。
鬼辻無惨と戦うその日まで、私はせめて盾になって死ぬまでは鬼殺隊を辞めるわけにはいかない。
強くならなければ。
そう思っていると愛柱様が行うはずの任務が私に回ってくるようになった。
愛柱様が入ってきて1年経った頃、鬼を連れた剣士がいるという話が柱合会議の日に問題になっていた。
竈門炭次郎
ひどく怪我をした私とさほど歳の変わらない少年は拘束されており、見ていて痛々しかった。
そこに蟲柱様が助け舟を出して彼はやっとまともに、話すことができた。
炭次郎「ねずこは人を喰ったことはありません!俺と一緒に戦えます!」
そう言う彼の真っ直ぐな瞳を見ると嘘ではないことは一目瞭然だった。
が、そこに鬼の入った、恐らくねずこさんが入っているであろう箱を抱えた風柱様が荒々しく乗り込んできた。
不死川「鬼を連れた剣士はアンタかィ?」
そう言って刀を抜く姿に私はゾッとして思わずその箱に刀が突き刺さる前に飛び込んだ。
「…っ」
その様子に柱の皆さんと竈門様は驚いた顔をしていたけれど、私は平装を保ったまま箱を奪い取った。
その様子に水柱様は一段と驚いていらっしゃいました。
「柱の皆様ほどの方々なら竈門様は嘘をついていないと言うことがわかるはずです。…もし、万が一、この箱に入っているであろうねずこ様が人を襲うような事があれば、私が全責任を負います。ですので、せめてお館様がいらっしゃるまでは彼女に勝手な対応をしないで頂きたく存じます。」
私はそう言って竈門様の側に箱を置いて土下座をした。
こんな真っ直ぐな目をした方が嘘をつくとは思えませんから。
歓迎ムードに包まれる中、彼女の実力を見たいという敵意ではなく興味の発言があり、彼女は柱達と軽い手合わせをすることになっていた。
愛「皆さん強いと聞いているので、私から仕掛けさせていただいてもいいですかぁ??」
その言葉に柱達は首を縦に振った。
愛「では早速…。愛の呼吸…弍ノ型…万人受愛…!」
彼女が呼吸を発するとその場はピンクの空気に包まれ、特に何も起こらなかった。
ように見えた。
が、何故か彼女と手合わせするはずの柱達は木刀を捨て、彼女を取り囲み褒め称えた。
そう、この呼吸はなんの役にも立たない。人間にしか効かない無駄な呼吸。
しかしこのお陰で多くの人間を騙し柱まで上り詰めたのだ。
愛「これくらい普通ですよ!実は私…月柱の矢神さんに虐められてて、悔しくて強くなろうって思ったんです!今日はじめましてなんて言われて、私のことなんて覚えてないんだってちょっと悲しく…っグスッ…すみませんっ…なんか昔のこと思い出しちゃって…」
そういって演技をする彼女に誰も気づくはずもなく、柱達の中で月柱に対するイメージが塗り替えられていった。
この呼吸に侵された者達は自分達で我慢を抱かない限り解けることはない…
その翌日、任務で背中に少し大きな怪我をした私は蝶屋敷に足を運んだ。
門が開かれるとそこにはしのぶさんが険しい顔、いや、軽蔑するような顔で立っていた。
いつもと何かが違う…
「しのぶさん、手当てをして頂いても…」
‥パチン…
「っ….」
しのぶ「貴女のような最低な人を手当てする義務はありません。帰ってください。迷惑です。」
突然頬を叩かれたと思うと門前払いされてしまった。
「…すみません…」
ジンジンする頬を押さえて私は閉められた門に向かって頭を下げて屋敷に戻ることにした。
その帰り道、偶然か否か。
悲鳴嶼さんにばったり会い、頭を下げて挨拶をすると冷たい水をばしゃりとかけられた。
悲鳴嶼「嗚呼…なんと哀れな…浄化しても無駄かもしれない…嗚呼…南無阿弥陀仏…」
「すみません…」
どうも私は嫌われているらしい。
弱いから?…怪我をして帰ってきたから?…柱失格…?
私の中で不安がぐるぐると渦巻いた。
他の日も、柱の人達に会う度に私は暴言を吐かれ、酷い時は殴られた。
どうも姫野さんに、近づくなと言われる限り私は姫野さんの気に触るようなことをしてしまったらしい。
あの日簡単な挨拶でお暇してしまったからだろうか。
隠れの人達がコソコソ話しているのが聞こえて、嘘の噂を流されていることがわかった。
私に知り合いはいないはずだった。
一人で路地裏生活をする前も、親や売られた先で殴られたりすることはあれど、人を殴ったことなんてなかった。
鬼以外を切ったこともない。
私は嫌われる才能があるのだろうか。
柱になって他の柱の人達とする何気ない会話や日常があまりに幸せすぎて。私には贅沢だったのかもしれない。きっと罰が当たってしまったのだろう。
くれぐれもこれ以上他の人達の気分を害さないように強くならなければ…。
私はそう自分を奮い立たせ毎日鍛錬に励んだ。
傷が増えても自分でする手当は不器用なものだ。
人にする手当は出来てもどうも自分にはうまく出来ない。否、無意識に自分への手当てを雑にしてしまう。
嗚呼、そうだ、私は今も昔も価値のない人間だった。
鬼辻無惨と戦うその日まで、私はせめて盾になって死ぬまでは鬼殺隊を辞めるわけにはいかない。
強くならなければ。
そう思っていると愛柱様が行うはずの任務が私に回ってくるようになった。
愛柱様が入ってきて1年経った頃、鬼を連れた剣士がいるという話が柱合会議の日に問題になっていた。
竈門炭次郎
ひどく怪我をした私とさほど歳の変わらない少年は拘束されており、見ていて痛々しかった。
そこに蟲柱様が助け舟を出して彼はやっとまともに、話すことができた。
炭次郎「ねずこは人を喰ったことはありません!俺と一緒に戦えます!」
そう言う彼の真っ直ぐな瞳を見ると嘘ではないことは一目瞭然だった。
が、そこに鬼の入った、恐らくねずこさんが入っているであろう箱を抱えた風柱様が荒々しく乗り込んできた。
不死川「鬼を連れた剣士はアンタかィ?」
そう言って刀を抜く姿に私はゾッとして思わずその箱に刀が突き刺さる前に飛び込んだ。
「…っ」
その様子に柱の皆さんと竈門様は驚いた顔をしていたけれど、私は平装を保ったまま箱を奪い取った。
その様子に水柱様は一段と驚いていらっしゃいました。
「柱の皆様ほどの方々なら竈門様は嘘をついていないと言うことがわかるはずです。…もし、万が一、この箱に入っているであろうねずこ様が人を襲うような事があれば、私が全責任を負います。ですので、せめてお館様がいらっしゃるまでは彼女に勝手な対応をしないで頂きたく存じます。」
私はそう言って竈門様の側に箱を置いて土下座をした。
こんな真っ直ぐな目をした方が嘘をつくとは思えませんから。
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