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いと哀れなり

原作: その他 (原作:鬼滅の刃) 作者: takasu
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ゆりえside

「…ハァッハァッ…」

まだまだ…

これくらいでへばっていたら他の柱の方達に手合わせさえして頂けない…

せめて手合わせする価値のある人にならないと…
価値がなければ人の時間を奪う権利さえないのだから…

呼吸を使いすぎて咳をすれば血が出るし

目も霞む…

食事を取るのも億劫で胡蝶さんや甘露寺さんと甘味処というところに行って以来何も口にしていない。

しかし疲労のせいで食欲よりも睡眠欲が先立ってしまう。

お陰ですっかり痩せ細ってしまったがその分軽々と動けるからよしとしている。

本当に身体中痛くて辛くてしんどいけど…

それでも皆さんの足手まといにならないように少しでも強くならなきゃ…!

ちゃんと、認めてもらって…

皆さんの輪に馴染めるようになりたい…

そう思って私はもう一度刀を握った。

強くなって…自分の居場所を見つける…そう強く思って。

柱の方達は初日の力試し以来私に対して笑いかけてくれるようになった。

たまに会えば話しかけてもくれる。

私にとって初めての経験だった。

いつも居ないものとして、或いはストレス発散の道具として暴行され、そして捨てられて…

あの頃は多くを望まなかったのに

柱の方達と関わることで私は今の状況を失いたくなかった。

そして、私にそんな喜びを与えてくださった皆さんに恩返しがしたい…

勿論迷惑をかけないためでもあるけど…

その為に私は血反吐を吐こうがどんなに辛かろうが傷が増えようが痛かろうが

誰かのために頑張れることさえ嬉しい。

月柱として恥じぬような強さを

私のようなものに優しく話しかけてくださった皆さんの手足となれるよう

その為なら私はどんなことだって耐えてみせる…!

そして私は一人鍛錬を重ねに重ねた。

☆大正コソコソ話☆

鍛錬で作った傷をしのぶさんに見せると毎回青筋を立てて怒られてしまうとかなんとか…

しのぶ「どういう動きをしたらこんなことになるんですか?もっと自分を大事にしてください。それにしばらく安静と言ったのにまた動きましたね?もう今度こそ逃しませんよ??」

「………スミマセン…;」


今日は半年に一度の柱会議だった。

一人の女の子が柱として迎え入れられた。

愛「姫野愛です!愛柱になります!よろしくお願いします!」

人工的に染められたピンクの髪の毛。

薄く見える厚化粧。

餅のような少し肉付きのいい身体。

鬼からすれば美味しそうなんじゃないかと心配になる。

そして猫撫で声という言葉がぴったりな甘ったるい声。

この時既に嫌な予感はしていた。

だが鬼が増える一方で鬼殺隊の力不足が問題視されていた今、柱達はは歓迎していたようだった。

宇髄「こりゃあ派手でいいじゃねえかぁ!」

煉獄「うむ!実に健康的で期待する!」

悲鳴嶼「嗚呼…健康優良…南無…」

不死川「100体の鬼を倒したってのはあんたかィ」

甘露寺(髪色ピンクだわ…!それに肉付きがよくて桜餅みたい!キュンキュンしちゃう!)

しのぶ「隊士達の手当もしたんですよね?凄いですね。」

無一郎「あの鳥…なんだっけ…」

愛「あれは鷹ですよ!」

無一郎「鷹…」

冨岡「(柱以外の戦力が落ちている今)強いのはいいことだ。」

伊黒(甘露寺が嬉しそうだ…)

私は皆さんの反応ににっこりと微笑んだ。

なぜかその様子に姫野さんはこちらを睨みつけていた。

『何かしたのかな…』

やっぱり私の嫌な予感は当たったようだ。

彼女の紹介が終わると真っ先に私に声をかけてくれる柱の皆。

甘露寺「新入りが入ってよかったわぁ♪」

しのぶ「慣れてきたら蝶屋敷の手伝いもお願いしたいところですね。」

2人「「ゆりえちゃん/さんはどう思う?/いますか?」」

「お可愛らしい方で強くてなんでもできる方だとお聞きしました。私が足を引っ張ってしまわないように気をつけます」」

宇髄「んなわけねえだろ!お前は派手に強い!そりゃぁもう派手派手だ!」

煉獄「うむ!ゆりえ少女は実に強い!心配には及ばない!」

不死川「俺から一本とっただろォ」

伊黒「お前は強い。なのにマイナス思考だ。だいたい…ネチネチ…」

悲鳴嶼「ゆりえは強い…嗚呼…なんと…」

冨岡「お前は…(足を引っ張るどころか)強い。」

無一郎「強いでしょ。あ…あの雲なんだっけ…」

「積乱雲だと思いますよ。」

無一郎「…そう…」

「恐れ多いです…。すみません、新しい方も入ってきたことですし私は修行しなければなりませんので…姫野さんにご挨拶をしたら今日はお先に失礼します。」

私はそう言って頭を下げた後彼女の元に歩み寄った。


「姫野さん。」

そう言って彼女を呼ぶと彼女は少し嫌な顔をしたがすぐに笑顔を作った。

姫野「はぁい?」

「あの、これからよろしくお願いします。私は月柱の矢神ゆりえです。」

姫野「こちらこそぉ~♪」

「本日はお先に失礼します。今後ともよろしくお願いします。」

姫野「はぁ~い♪」

その後少しの殺気を向けられたように感じたが気のせいだと言い聞かせた。

姫野『いい踏み台みーつけた♪』

そしてこの日、私は先に帰ったことを後悔することになる。
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