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いと哀れなり

原作: その他 (原作:鬼滅の刃) 作者: takasu
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鬼殺隊に入った翌日。

彼女は柱の人達の前に連れて来られていた。

柱たちはそんな彼女を頭の天辺から足先までまじまじと見つめた。

艶のある長く黒い髪と恐ろしいほどに整った顔立ちは黒地に白の百合が描かれた羽織りがよく似合っていた。

煉獄「なるほど!君が上限の鬼を2人も狩ったのか!」

宇髄「どんなド派手な奴かと思ったが地味だな?」『澄んだ音のしやがる奴だな…』

甘露寺(えぇ?!こんな可愛らしい女の子が?!可愛いわ!仲良くなりたいわ!)

しのぶ「毒の解毒剤の調合もできると聞いたのですが」『医療の人手不足ですから、このタイミングで柱になってくれたのならありがたい限りです…』

冨岡「…」

無一郎「あの鳥…なんだっけ…」

悲鳴嶼「嗚呼…南無阿弥陀仏…」

不死川「本当にコイツがやったのかヨォ」

伊黒「本当にやったか信じられないな。」

館「今日から月柱として彼女を迎えることになったよ。皆仲良くしてあげてね。」

不死川「お館様。この者は昨日隊に入隊したばかりと聞きました。」

館「そうだね。だけど彼女の実力は申し分ない。上限の什と什壱を一人で倒したんだ。他の鬼の討伐も100以上。」

その言葉に柱たちは驚きを隠せなかった。

館「これから合同任務もあるから…ゆりえ、自己紹介をしてくれるかな。」

「はい。…八神ゆりえです。月の呼吸を使います。歳は18です。不束者ですがご指導のほど何卒宜しくお願い致します。」

そう言って彼女は頭を下げた。

館「明日の任務にはこの中の誰かと組むことになると思うよ。よろしくね、ゆりえ。」

「御意。」

親方様は親睦を深めるようにと言い残しその日の柱会議は終わった。

柱たちはそれぞれ彼女に興味を持っていたようで、柱全員は名を名乗った。

「よろしくお願いします。くれぐれも足を引っ張らないように努力します。」

しのぶ「そんなにかしこまらなくていいですよ。寧ろ薬学に精通している貴女が柱に加わって下さって助かります。」

「恐れ多いです…」

甘露寺「しのぶちゃんと一緒に甘味処行こうねっ!」

「甘味処…行ったことがないのでご一緒させて頂けるので有ればありがたい限りです。」

宇髄「そんなところも行ったことないのか?地味な奴だな!もっと派手派手にしろ!」

「善処します…」

煉獄「ちゃんと飯は食べているのか?もっとしっかり食べておけ!」

「善処します…」

不死川「まだ実力を見たわけじゃねえ。あとで手合わせしろ。」

伊黒「俺もまだ認めていない。実力を見せてもらおう。」

「認めていただけるよう全力を尽くします。」

そう言って深々と頭を下げた。


早々に彼女に与えられる屋敷の稽古場に来ていた。

勿論柱全員と一緒に。

しのぶ「いきなり手合わせなんて柱になって早々可哀想に。」

不死川「まずは俺が相手だァ」

「はい。よろしくお願いします。」

不死身「手加減すんじゃねぇぞォ」

開始の合図と共に動き出した2人だったがほんの一瞬にして不死川は取り押さえられ、木刀を首に突き付けられていた。

そしてその場にいた全員が息を呑んだ。

先程までの可憐な彼女は恐ろしい程の殺気を放っており不死川の身体は大きく震えていた。

そして終了の合図と共に彼女から殺気は消え、不死川の拘束を離すと、不死川はその場にへたり込んだ。

「ありがとうございました。」

ペコリと頭を下げた彼女は目の前の不死川がいつまで経っても立ち上がらないことに不安を覚えたようだった。

「あ、あの…すみませんっ…呆れられてしまったのでしょうか…」

先ほどまでの冷静な様子は消えて不死川の前で土下座をしていた。

「申し訳ありません。手加減して頂いた上に満足していただくことが出来ず…やはりお館様に柱にはまだ早いとお話しします。」

そう言ってばっと立ち上がると柱の一人一人に頭を下げて周り屋敷を出ようとしていた。

しかしその手を引き止めたのは冨岡だった。

「ひっ!」

冨岡に腕を引かれた瞬間小さく声を上げた彼女は何かに怯える様子で顔を俯かせた。

「申し訳ありませんっ…また何か不快な思いをさせてしまったのでしょうか…」

甘露寺(何だか怯えてるみたい…?…でもそんな姿もかわいい…!)

冨岡「…」

腕を掴んだままただ黙っている冨岡に彼女は思わず一歩身を引いた。

しのぶ「冨岡さん、怖がられているのがわからないんですか?何も仰らないのなら離してあげては如何ですか?冨岡さん。そんなだから嫌われるんですよ?」

「あの…水柱様…」

冨岡「俺は…嫌われてない。」

「へ…?」

冨岡の言葉に柱全員がポカンとした顔をした後、笑いを堪えていた。

「あ、はい。勿論水柱様はとても腕の良い剣士と存じ上げておりますし尊敬もしております。同期の竈門くんからもとてもお優しい人だと伺っております。」

冨岡「辞める必要はない。」

冨岡はそう言うと彼女の腕を離した。

「勿体ないお言葉です。…ですが…」

伊黒「実力はわかったんだからそれでいい。…そうだろう、不死川。」

不死川「…あぁ。文句はねェ。」

しのぶ「負けておいて文句は言えませんもんね?」
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