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若様の優雅なインペルダウン生活

原作: ONE PIECE 作者: 茶木代とら
目次

看守たちの長期休暇(出発編)その1

3人の看守は話し合った。
まず日程についてだが、囚人を同行させて良いなら、3人がばらばらに休暇を取るよりも、全員同時に取ったほうがいいだろう。もちろん、日程が合えばだが。これは全員一致ですぐに決まった。

そして一番の重要事項は、誰が囚人を同行させるかということだが…。この点について、副署長のマゼランが、3人と話しをする機会があるたびに、自分の考えをほのめかしてきた。

最近のドフラミンゴは反抗的な態度を示し続けている。ドフラミンゴの精神状態を考えると、誰か1人がドフラミンゴを自分の休暇に同行させるより、3人もしくは2人の看守が、同じ場所か、でなければごく近いところで休暇を過ごし、協力してドフラミンゴを監視するのが望ましいのではないか。

「1人で監視するよりも、複数の人数で監視したほうが安全なのは理解できるのですが…、申し訳ありませんが、私はこれには…」
3人だけの時に、バーティは眉をしかめた。

「休暇というものは、各人が自由に滞在先や過ごし方を決められるはずです。副署長が言ったことを気にする必要はありません」
カスターが最もなことを言った。

「その通りです。マゼラン副署長が言っていることはちょっと横暴です」
ペラムも同意した。
「それにドフラミンゴさんのことは何とかなりますよ。休暇の計画を話せば機嫌も治るでしょうし」

ペラムは、今ドフラミンゴがひん曲げている機嫌など、インペルダウンの外に出ればすぐ直ると思っている。自分自身が少し前までインペルダウンから出ることを切望していたからそう思うのだろう。

3人はため息をついた。
「いきなりあんなことを言い出すなんて…」
「署長と副署長は神経質になっているようですね。困ったものです…」
実際には、神経質になっているのは副署長だけなのだが。

バーティは辺境に隠れ住んでいる自分の家族に会いに行く予定なので、滞在先を変更するつもりはさらさらない。しかし、マゼランがあのようなことを言ってくる気持ちも分からないではなかった。

カスターはマリージョアにいる両親に会いに行くことが決まっている。
ペラムは母上と休暇を過ごすために、マリージョアから遠くて静かな場所にあるホテルか別荘を探しているが、まだ決まっていない。

バーティはちらりと考えた。マゼランの案を実行するには、ペラムとペラムの母上を、自分の家に招待すれば可能かもしれない…。

だが、バーティはできればそれをしたくなかった。
ペラムとペラムの母上が自分の家にやって来るということは、お付きの召使いや護衛も一緒に来るということだ。疑う訳ではないが、自分の家族の存在を知る人数が増える程、情報が漏れ出る危険性も増える。バーティの家族は、かつての敵から逃れるために、いまだに隠遁生活を続けているのだ。

カスターがおもむろに口を開いた。
「私がドフラミンゴさんを同行させます」

「休暇中のドフラミンゴさんのことは私に任せてください。両親の家は普段から警備体制も万全ですので、ドフラミンゴさんを休暇に同行させるのが私一人だけであっても、署長と副署長は文句を言わないでしょう。私なら滞在場所を申告することだって可能です」

ペラムがカスターの意見を聞いて、ちょっと残念そうに言った。
「私も母上にドフラミンゴさんを見張るための警備隊を手配するように頼むことはできるのですが…、ただ、私が休暇中に母上と会うことは、お二人以外には誰にも知らせるつもりはありませんし、滞在先もできれば内密にしたいと思っています。そうなると、やはりここはカスターさんにお任せしたほうが良さそうですね」

ペラムが休暇を母上と一緒に過ごすことは、家族も含めて周囲には知られないようにする必要があった。家族との間に深刻な事情があるからだ。

カスターが、二人にきっぱり言い渡した。
「私達の休暇は今回が初めてですし、署長たちも神経質になっています。来年の休暇の時には、今とは事情も変わっているでしょうから、二人とも、今回は私にお任せなさい」

カスターの言う通りだ。滞在先がマリージョアで、しかも普段から警備体制が万全な環境だから、署長と副署長も納得せざるを得ないだろう。バーティとペラムは素直に従うことにした。

「では、せめてドフラミンゴさんの休暇中の服の準備は私がいたします!」
バーティが勢い込んで言った。

「えっ?!」
「ふ、服ですか?ドフラミンゴさんには囚人服をずっと着せておけばいいと…」

「基本的にはそれでいいでしょうが、ちょっとしたものが必要になる可能性も否定できません。それに、自分が連れている囚人がいつも同じ服だと、カスターさんが恥ずかしい思いをするシチュエーションだって考えられます」
「え、え~っと…」
「そのような考え方もあるのですか…」

「備えよ常にと言うではありませんか。出発までもうしばらくありますが、急いで準備します!」
「は、はい…」
「最小限で大丈夫です…」


看守達の休暇の準備は、他の職員に知られることのないよう、秘密裏に進められた。
そしてある日の午後、署長のハンニャバルがしかめっ面で告げた。

「ドフラミンゴにマリージョアへの出頭命令が出た。特別室担当の看守は速やかに準備するように」
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