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若様の優雅なインペルダウン生活

原作: ONE PIECE 作者: 茶木代とら
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長期休暇制度ができ上った翌日 その3

しばらく泣いて、気分が落ち着いた担当者2と担当者3は悪魔のようだと担当者1は思った。

「私も担当者1さんと一緒にこの件を追います。絶対に手放しません」
「捨て駒は捨て駒らしぐ、徹底的に努めを果たしてやろうじゃありまぜんか…ふふ」

心強い味方が二人も現れたことには違いないが、なんだか少々恐ろしいような気もする。この二人が暴走するようなことはないだろうとは思いながらも、担当者1はやはり少し心配だった。

「二人ともぉ、あんまり目立つことはやらないでねぇ~。そこら辺はちゃんと分かってるんだろうけどぉ~」

「長期休暇制度が出来たことは公示しないほうが良いでしょうね。単なる休暇規定なので、もともと内部にしか公示してませんが。まあそれでも、家族や親戚の知るところとなれば、身辺に危険が生じる可能性がある人が1名…もしかしたら2名いるので、やはり公示はしないほうがいいでしょう」
担当者2は、担当者1を無視して仕事のことを話し出した。理性的でいきいきとした表情に見える。

「制度が出来たごどど運用の仕方などをハンニャバル署長と本人らに説明する必要があります。対面で説明したいのはやまやまですが、やり過ぎだと思われでもいげないので、映像電伝虫のオンライン会議で行いましょう」
担当者3もテキパキした口調で続いた。

二人が言っていることは至極真っ当な内容だが、担当者1は二人の目の中にこれまでは宿っていなかったブラックな光が見えるような気がした。

(まあ、二人が何かしでかしたとしても、まさか死刑にまではならないわよね…。多分)

「そういえば、インペルダウン関連の業務は、特別室担当の増員と娯楽施設を充実する件が残ってるんですよね」
「とりあえずは、それが終わらない限り、業務上の繋がりがあるというごどですね」

その時、さっき3人の訴えを真っ向から否定して却下した彼らの直属の上司が、会議室の前を足早に通り過ぎるのが、一部がガラス張りになったドア越しに見えた。
「…上司、どっか行きましたね」
「あの人、腹の内では今回のごどをどう考えでいるんですかね」
担当者2と担当者3が剣呑な表情でつぶやいた。

「吐かせてみる?足にヒモ結んで天井からぶら下げれば何か言うんじゃない?」
「いえ…。反対という訳ではないんでずが、どうせつまらん御託しか出でごないでしょうし…」

担当者1は耳を疑った。今まで、この二人の口からこんな言葉を聞いたことなどなかった。二人の中にあった闇のスイッチを入れてしまった自分の罪は重いかもしれない。

「…二人とも、そろそろオフィスに戻らなければいけないわ。私達の仕事は元天竜人関連のものばかりじゃないわよ」
担当者1はフラフラするような感覚に耐えながら、二人に笑顔を向けた。

「はい、担当者1さん」
「そうですね、ぞろぞろ戻りましょう」

***
翌朝のインペルダウン―。
ここしばらく、ドンキホーテ・ドフラミンゴの周りは何かとバタバタしていたが、昨日あたりからやっと静かになった。
ドフラミンゴは今、改修が終わったダイニングルームでゆったりと朝食を摂っている。

ダイニングルームに家具を入れる作業は、予定よりもかなり時間がかかった。
まず、人事担当者による看守達の面談が急遽設定されたせいで日程を2日ずらされ、面談の翌日にやっと開始となったが、いざ絨毯を床の上で広げてみたところ、カスターが注文したものとは違う絨毯であることが判明した。品物が届いた時に中身を確認したはずだが、端っこの部分の色合いや模様が似ていたので、カスター自身も間違いに気が付かないで受け取ってしまったのだ。

結局、絨毯を交換するのに4日を要した。その間は天井にシャンデリアを吊るしたり、壁に風景画を飾ったりすることはできたが、テーブルやピアノ等の家具は絨毯を敷いた後でないと入れることができなかった。

できないものはしょうがないので、バーティはピアノを搬入できる日がもう何日か遅くなることを楽器店に連絡した。絨毯が届くまでの間、ペラムは時間をかけて壁に風景画を飾った。

4日後、無事に絨毯が届き、テーブル等の家具が運び込まれて、待ちに待ったダイニングルームの使用が昨日から開始された。バーティのピアノは楽器店の都合もあってまだ搬入されていないが、明日届く予定である。

改装されたばかりのダイニングルームは居心地が良かった。カスターが選んだ漆喰の壁とフローリングの床、その上に敷かれた絨毯。新しいシャンデリアと壁に掛けられた風景画。全てが見事に調和して気持ちの良い空間を作っている。

ドフラミンゴはゆったりと椅子に座って朝食を楽しんでいた。
今日のドフラミンゴの朝食は、コーヒー(スペシャルブレンド)とチーズオムレツ、カリカリに炒めたベーコン、トマトとレタスのサラダ、トースト、桃、ヨーグルトである。

全て平らげた後、ドフラミンゴは桃のお代わりを要求した。これを受けた料理人は、お代わりとしてハンニャバル署長に出すはずの桃を提供した。理由は分からないが、彼らにとってはインペルダウンという組織の長よりも、特別室の囚人のほうが食べさせがいのある人物らしい。

特別室担当の看守であるカスターも、満足そうにドフラミンゴのカップにコーヒーをもう一杯注いだ。
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