ネット喫茶.com

オリジナル小説や二次創作、エッセイ等、自由に投稿できるサイトです。

メニュー

若様の優雅なインペルダウン生活

原作: ONE PIECE 作者: 茶木代とら
目次

ドフラミンゴの日記 その14

(×月×日の続き)
その後も上空から例の2隻とペラムが乗った1隻の船の捜索を続けた。
もうそんなに遠くないはずだと思った。すると案の定、前方の空にうっすらと煙が見えてきた。

「あれか」

やっと追いつきやがった…。さんざん手こずらされて自分で自分が情けなくなってきていたが、とうとう見つけた。今でもあの時の自分を労ってやりてえと思う。

現場に全速力で急行すると、3隻の船が密集して航行しているのが見えてきた。

アイス屋が言った通り、ボロボロの2隻はいまだに戦闘中だった。残るもう1隻は、戦闘中の2隻に付きまとうように航行していた。この船が、ペラムが画商から略奪した船だった。

空中から甲板の様子を探ろうと3隻に近づいて行ったら、先頭を走っていた船(ボロい2隻のうちの1隻)のマストが1本、目の前で折れてそのまま倒れて海に落ちた。

これで先頭の船は航行が思うようにできなくなった。状況からするに、こいつが追われている側の船だ。もう逃げることはできないから、相手の攻撃を正面から受けるしかない。

横から回りこんで、ペラムが乗っていると思われる船の、甲板付近をかすめるようにして飛ぶと、縄でグルグル巻きにされてイモ虫みてえになった人間が甲板に転がっているのが確認できた。ペラムに人質にされた画商の社長だった。

奴の人質の扱いは冷酷と言えるだろうが、乗組員全員がこの社長の部下という状況だし、それに最初にペラムと女を裏切ったのはこいつらだし、これはしょうがねえだろう。

「ドフラミンゴさんっ!」
ついにペラム発見。向こうがおれに気が付いて、大声を張り上げた。

「そ、そのカラフルな服は…」

奴の第二声に一瞬ムッとしたが、こんなことで怒ってもしょうがねえからいきなり本題に入った。
「おい、どっちの船をやりゃあいいんだ?」

「どっちも沈めてはいけませんっ!でも、早くこの2隻の間の戦闘を止めてください!」

面倒くせえことを言いやがると思いつつ、とりあえず2隻の船に搭載されている大砲や機関銃を片っ端から壊していった。
久しぶりの戦闘としてはちょっと物足りなかったが、軽い運動と発散にはなった。

「ひえええ~~」「あ~れ~~」

2隻の船の乗組員たちが悲鳴を上げた。全員ふらふらで、目の下にクマがあった。3日以上戦いっぱなしだったから無理もない。

この2隻のうち、どちらが妻でどちらが夫の船だろうかと観察しながら、武器をひとつひとつ壊し、乗組員の手から払い落としていった。

2隻はどちらも戦闘による破損がひどかったが、もとは豪華な造りの船に見えた。大きさはアイス屋のにいちゃんの言った通り、両船とも20人乗りくらい。2隻のうちの後ろに位置していた船には女の乗組員が多かった(こいつらも戦闘疲れでボロボロだった)。

その時、この後ろの船から、女と思われる人影がもう1隻の船に飛び移った。見事なスピードと跳躍力だった。この船の乗組員達が、全員両手を上げた。
この人影をペラムが追った。こっちも同じように見事なスピードと跳躍力だった。

その女は飛び移った船の船室に続くドアのノブをひっ掴むと、握力で引きちぎった。
しかし、船室に入ることはできなかった。ペラムが女に追い付いて、戦闘のせいで汚れと破れが入った服の袖にすがり付いたのだ。

「母上!もうおやめください。父上をどうなさるおつもりですか?!」

ほう、母上か。

女は振り返ってペラムを睨み付けた。ペラムを蹴り倒すんじゃねえかというくらいの形相だった。
「ええい止めるな、ペラム!あやつがお前に何をしようとしたか分かっておるのか?!」

女は若くなかった。ペラムの年齢を考えると当たり前だろう。

この女の夫がどんな男なのか興味があったので、船室の壁と屋根を糸で引きちぎってぶっ飛ばした。この規模の船なら一番良い部屋があるのはこの辺りだろうと狙いをつけてやったのだが、見事に的中したらしく、クッションを抱えて3人掛けのソファに座っている男の姿がむき出しになった。

その男は、ペラムと同じくらいの年齢に見えた。年齢が見た目の通りなら、ペラムの母は自分の息子と同じくらい年の男と結婚したことになる。
また、ペラムの母は着ていなかったが、こいつは宇宙服みたいな服を着ていた。

ソファ上で硬直したままでいる夫に、ペラムの母親が詰め寄ろうとしたが、ペラムがその前に立ちはだかった。妻のほうは強いようだが、夫のほうはそうではないらしい。
「母上、どうかお静まり下さい~~~…」

数人の夫の船の乗組員が、ペラム達のそばにわらわらと進み出て土下座した。夫の家来だろうか?

ペラムの母は、ひれ伏された頭にざっと目をやった後、夫を真っすぐに見て嘲笑と共に言い放った。
「ふん、海軍に手を回して介入しないように要請したのが裏目に出たな。まさか私の船が攻撃のさなかで自分の船を探し出すとは思わなかったのであろう」

硬直していた夫が怯えつつも反論した。
「そ、そなたこそ腹の内に何を隠しておる。息子との密会を、我らが見過ごすと思うか」

「全てはそちらの邪推だ。しかし、勘違いだからと言って大目に見ることはできないっ!」

その時、バーティが乗った船がやって来た。帆の海軍のマークの上に、例の黒い薔薇のマークを描いた布を貼り付けている。予備の帆布でゴソゴソ作っていたのがあれだろう。

「お~い」バーティがこちらに向かって手を振った。
「親父~~。み、みんな~~」人質まで手を振っていた。
目次

※会員登録するとコメントが書き込める様になります。