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若様の優雅なインペルダウン生活

原作: ONE PIECE 作者: 茶木代とら
目次

ドフラミンゴの日記 その4

※前回でブランとした看守の名前をカスターに変更しました。

×月×日
カスター以外の看守の名前もそれぞれ本人に訊ねた。四角い顔はバーティ、丸顔はペラムだ。
年齢はカスターが55歳、バーティは43歳、ペラムは36歳。三人とも意外と若かった。


×月×日
インペルダウンの看守ということは、やはりそれなりに強くて当たり前なのだろうかと考える。

と言うのは、今日ちょっとした出来事があった。10時にカスターとペラムが交代する時、監獄の廊下にゴキブリが出たのだ。

ペラムはゴキブリが大嫌いらしく、真っ青になって悲鳴を上げた。
「ぎゃおううう~~~っ!!」
そして、ゴキブリを踏み潰そうとして、廊下の床をやたらめったら踏みつけたら、石の床にボコボコ穴が開きやがった。

でも、ゴキブリのほうも死にたくねえからすばしこく逃げ回って、ついには壁を登って石と石の隙間に逃げ込もうとした。

ペラムが「うおおおお~~っ!!」と叫び声を上げながら、壁のゴキブリを筒形に丸めた新聞紙(昨日おれが読んでたやつだ)で叩こうとした時、カスターが後ろからペラムの手をひっつかんで制した。
そして、自分の腰の剣を抜いて、ゴキブリを真ん中からちょん切った。

「落ち着きなさい。壁を壊すつもりですか」
「す、すみません。つい…」

カスターが諫めると、ペラムはがくがくと震えながらも正気を取り戻した。
おれはつい大きな声で笑ってしまった。そして、

「安心しろ。今度ゴキブリが出たらおれが取ってやる。おれをこっから出さねえとだめかもしれねえけどな」
と言ってやった。カスターとペラムは口をへの字にしていた。


×月×日
今日もまた事件があった。今度はバーティだ。10時にカスターと交代する時、ネズミが出た。

「びゃびゃびゃ~~~っ!!」
奴の悲鳴はこう聞こえた。もしかしたら「じゃじゃじゃ~」だったかもしれない。

バーティはネズミを捕らえようとして、壁に掛けられていたサスマタ(牢獄なので、こういう道具がすぐに使えるように、近くの壁にかかっている)を手に取ってネズミを攻撃しようとしたが、手に持っているブツがサスマタなので、攻撃にならない。

バーティはサスマタではなく、一緒に壁にかかっていた槍を手に取るべきだったのだ。

しかし力が強いので、ここの床材が固い石なのにもかかわらず、バーティがサスマタで突いたところはボコボコに穴が開いた。

「びょびょびょ~~~っ!!(またはじょじょじょ~~~っ!!)」
バーティは攻撃をやめようとしない。パニックに陥っているようだ。

しかし、監獄の鉄格子の近くにネズミが逃げてきた時、カスターがサスマタの柄をつかんでバーティの動きを押さえ、剣を振るってネズミの首をはねた。

「カ、カスターさん…」バーティはへなへなとなりながらも、床に崩れるのを堪えた。
「鉄格子を壊すところでしたよ。しっかりしなさい」
「すみません…」

「鉄格子が壊れても、こいつがあるからおれは逃げられねえぜ」
おれは自分に付いている海楼石の鎖をじゃらじゃら鳴らしながら、二人に言ってやった。
「ネズミもかわいそうによ。たまたま嫌いな奴の前に出てきちまって、運が悪かったよな」

二人の看守は気まずそうな顔をしていた。ここはそんなに退屈でもないかもしれねえ。


×月×日
今日やらかしたのはカスターだった。朝、おれの寝室に蜘蛛が出た。

おれは起床時間の少し前に自分で起きて、すでに寝間着から囚人服に着替えて顔を洗い、ひげを剃りながらやつが来るのを待っていた。我ながら優秀な囚人だと思う。
寝室のドアは外から鍵がかけられているから、やつが来るまで外に出られない。

やつは時間通りに来た。そして部屋に入ってくるなり、おれのベッドの天蓋の柱にとまっていた、小さな黒い蜘蛛を見つけた。

「ぐゅ、ぐゅみょおおおお~~~っっ!!」
カスターは信じられないくらいデカい叫び声を上げた。
あの距離で柱の表面にいる小さい蜘蛛を見つけたということは、老眼のほうは大丈夫らしい。

やつは剣を抜いて、蜘蛛に襲いかかった。
おれは洗面台の前にいたので巻き込まれずに済むかと思いきや、蜘蛛が殺気を感じて、跳ねて逃げやがった。

そのせいでカスターの剣は空振りして、天蓋の柱が真っ二つに切れた。いや、天蓋が切れたのは蜘蛛のせいじゃねえ。カスターの野郎のせいだ。

カスターは蜘蛛を追って部屋中を走り回った。寝室は監獄よりは広いが、さほどではない。この中で剣なんぞ振り回されたら、おれまで怪我をする。

おれは床に伏せた。海楼石付きでもやつを取り押さえるくらいはできるかもしれないとも思ったが、部屋の外に他の看守が集まってきたからやめた。素早く動けることがバレたら面倒だ。

しかし、看守どもはオロオロするばかりで全く役に立たねえ。部屋に入ることすらできねえでいる。

その時、カスターから逃げ回ってた蜘蛛が壁の上に現れた。覇気なら目に見えないから試しに飛ばしてみたら、蜘蛛はあっけなく壁から落ちた。覇気が使えること、それに覇王色の覇気で虫が殺せることを発見する。

カスターはあの後、残業して始末書を書いたらしい。
おれは今夜もカスターがメチャクチャに破壊したはずの寝室を使っている。壁や床はもう修理されているが、ベッドは天蓋が半分なくなったままだ。
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