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Moon face

原作: 名探偵コナン 作者: takasu
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降谷はそれを見届けた後、風見に小さな声で指示を出した。

降谷「風見。あの医者に剛田と皇、水無月をつけて監視させてくれ。」

風見「監視…ですか?わかりました!」

降谷「それから、矢神さんには僕が暫くつく。…風見、暫く本部の指揮は任せる。」

風見「えっ?!それなら自分が矢神さんに…」

降谷「いや…。………矢神さんに風見をつけると甘やかしそうだ。僕はもう一度矢神さんの病室に戻る。風見は今すぐ本部に戻って指示をだしてくれ。」

風見「はい!」

降谷は風見を送り出すと再び病室の扉を開けた。

「あれ?忘れ物ですか?」

降谷「そうですね。…貴女には休んで頂くつもりでしたが、そうはいかないことがわかったので。」

降谷はそう言って先程美弥妃から取り上げたパソコンの画面を開いた。

「あ、気付いてもらえました?」

降谷「えぇ。…先ほどの医者には監視をつけました。」

「え?監視?護衛じゃなくてですか?」

降谷「えぇ。矢神さんの指示では護衛とありましたが、監視をするように指示を出しました。」

「流石降谷さんですね!」

降谷「あなたもわかっていたでしょう。万が一監視対象にあの医者を護衛していると言うことがバレないように僕にそう指示をしたんじゃありませんか?」

「あ、バレてました?」

降谷「それにしても何故剛田だけでなく皇と水無月をつけさせたんです?」

「そうですねぇ。先日からの動きで皇さんが適任だと感じましたので。特に剛田さんのような真っ直ぐなタイプには皇さんのような鋭い勘を持った人が適任だと思ったんです。水無月さんは…そうですねぇ。」

降谷「何かあるんですか。」

「いえ、私の思い過ごしならいいのですが。…私がPNDRの件の時、ドイツ語で喋る機会が多かったんですけど、その言葉にほぼ全員が意味がわかっていない様子でしたのに、水無月さんだけは私が指示を出した方向を見たんです。…水無月さんはドイツ語には詳しくないと言っていたのに。…なぜでしょうねぇ。…どこかで内通していた場合、皇さんが勘付いて何か新たな情報を持ってきてくれるかもしれません。そしてそれをカモフラージュするには剛田さんが必要です。それに、水無月さんは力で剛田さんには敵わないでしょうし、万が一何か飛び道具があったとしても皇さんならそれを回避する策を考えられるでしょうから。水無月さんには油断していただくためにあえて監視と言ってあのお医者さんに罪をなすりつけようとする様子をみたいので。」

降谷「水無月がクロだと確信しているような言い方ですね。」

「そうですねぇ。99.999%クロでしょうねぇ。…」

降谷「あの医者にはどう指示を出したんですか?」

「今日乗り込んでくることは予想外でしたが、降谷さん達にアレを渡すように仕向けさせて頂きました。2人の遺体から何か出てくるはずだからそれは降谷さんに渡して欲しいと。まぁ、それがペースメーカーだとあのお医者さんが気付く前に今回の黒幕に加担している人物がそれに気付いてしまったのは誤算でしたけど。」

降谷「誤算…ホォ、貴方の口からそんな言葉が出るとは。」

「誤算という名の良い誤算ですけどね。」

降谷「やはりそうでしたか。…あの医者の護衛は剛田達に任せますが、貴方の護衛は僕が担当します。」

「げっ…。」

降谷「何か文句がおありですか?」

「いえ。まぁ、普段ならそう言いそうですが、今回ばかりは降谷さんが適任だと思います。力面でも、頭の回転スピードでも。これはほかの部下の方々には少々にが重いでしょうし、指示を出せる立場の方が私と直接コンタクトが取れる状況というのはありがたいことですからね。…それに、降谷さんなら私が仕事をしないように目を光らせている、なんて言ってしまえば良い話。…非常にありがたいです。」

降谷「休んでくださいと言いたいところですが、仕事をしてもらうことになりますね。…赤井には今回の件、伝えますか?」

「大まかな内容は既に伝えてあります。細かい内容は皇さんから何かしらの報告があってからにしましょう。…はっきりしない内容を先立って伝えてしまうのは混乱を招いてしまいますから。」

降谷「同感ですね。」

「さて。ならまずは情報収集といきたいところですね。…降谷さん、名探偵のボウヤに連絡は取れますか?」

降谷「え?コナンくんですか?」

「はい。今回は彼にも力を借りないといけないようですしね。」

降谷「どういうことです?」

「まさか規律に厳しい日本人が子供に協力を要請するなんて思わないでしょうからね。」

降谷「まったく、恐ろしい人だ。」

「雪達の死を無駄にするわけにはいきませんから。絶対に頭を刈らないと。…彼らは烏よりもタチの悪い蜘蛛ですからね。…頭を潰しても胴体だけで生きながらえては困ります。足先まで全て狩りつくさないといけません。確実に…。」

降谷「…。」

「大丈夫ですよ。今回は冷静ですから。私が守るべきはこの日本ですから。何としてでも頭から足先まで捉えますよ。」
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