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Moon face

原作: 名探偵コナン 作者: takasu
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「降谷さんは確か爆弾について少し詳しいとお聞きしています。…あれがどういう爆弾か…わかりますよね。…万が一爆発でもすれば外に待機している部下やFBIにまで気概が及びます。ですから私はこの爆弾を解除してから避難します。」

降谷「一人で何て何考えているんです!こんなもの爆弾処理班を呼びつけ…」

「爆弾処理班を待っている間にドカンです。…無駄話をしている時間はありません。降谷さんは早く外に出て万が一に備えて周りを警備している人たちを避難させて下さい。」

そう言うと美弥妃は降谷に目もくれることなく爆弾の解体作業に取り掛かった。


降谷side

万が一に備えて、だと?

ならその万が一の事態になった時彼女はどうなる?

降谷「ふざけるな!…貴女一人ここに残すわけにいきません!僕も残ります。」

「それは困ります。危ないので降谷さんは…」

降谷「だったら部下が死なないように早く解除して下さい。」

「…わかりました。ですが本当に無理だと思った場合、いつでも逃げられるようにしてて下さい。降谷さんは風見さんに周囲の警備の人達を避難させるように電話して下さい。」

降谷「わかりました。」

「…暫く、話しかけられても聞いてないと思うので緊急の時は肩を叩いて下さい」

そういった矢神さんは目の前の爆弾の解体作業に入った。

彼女は焦ることも慌てることもなく、ただ何の迷いもなくコードを切っていたので見ているこっちがヒヤヒヤさせられた。

そして10分もかからぬうちに彼女は手を止めた。

「終わりです。…行きましょう。」

松田や萩原よりも手際がよかった。

しかしそれにしても早過ぎるくらいだった。

この歳でここまで上り詰めたのも納得だな。なんて思ってしまった。

降谷「急ぎましょう。建物が崩壊する前に…!」

急いで彼女の手を取り出口に向かって走り出した。


降谷side

無心で走り続けていたからか、彼女の異変に気がつくことは出来なかった。

出口まであと少し、といったところで突然腕を振り払われた。

油断して力を入れていなかったせいですぐに手を離してしまった。

降谷「やが…」

…ドンッ…

彼女の名前を呼ぼうと振り返ろうとした瞬間、彼女に思い切り突き飛ばされた。

「ごめんなさい」

降谷「えっ…」

彼女の方を振り返ろうとするもすぐに爆音と爆風が襲ってきてまともに彼女を見ることは出来なかった。

が、ちらりと見えたのは彼女の頬を伝う涙と悔しげに固く結ばれた口元だった。

爆風に飛ばされつつも僕は大きな怪我は無かった。

しかしそれは彼女が突き飛ばしてくれたおかげか。

数センチ、数メートルが生死を分ける。

爆弾とはそういうものだ。

ならば彼女はどうなった?

すぐにそんな考えがよぎり他のことなんて忘れて先程彼女に突き飛ばされた場所へと再び戻った。

降谷side

降谷「矢神さん!矢神さん!どこですか?!矢神さん!!」

瓦礫を避けて中に入っていくと崩れた足元に白い腕が見えた。

降谷「矢神さん!!」

慌ててその腕を掴み脈を測った。

まだ脈はある。

降谷「矢神さん!聞こえますか?!」

そう呼びかけるとかすかに手が動いた。

「…け…な…で…」

小さく聞こえた声に僕は意味がわからなかった。

降谷「今…なんて…」

「助けないで…下さい…」

絞り出すかのように今度ははっきりとそう言った彼女の声に僕は怒りがこみ上げた。

降谷「…ふざけるなっ!!これ以上僕の周りの人間を死なせてたまるか!!」

僕は必死に瓦礫を避けようとしたが流石に一人の力でどうこうなるものじゃない。

僕はすかさず風見に電話をかけた。

ワンコールで繋がった電話越しの風見の声を遮って僕は声を荒げた。荒げられずにいられなかった。

降谷「風見!今すぐ手の空いてる者を集めて全員最後に爆発した出入り口に来てくれ!!レスキューも必要だ!!この際FBIでもいい!誰でもいいから連れて来い!!」

そう言うだけ言って電話を切った。風見の返答は聞いていないか風見のことだ。すぐに駆けつけてくれる筈。

それまで僕ができることをするまで…!

彼女に声をかけながらいち早く救出できるように瓦礫を避ける術を探した。

降谷「矢神さん!どう言う状況ですか?怪我は?」

そう問いかけても彼女が返答しないのでまさかと思い再び手を握ったが脈はあった。

降谷「矢神さん、聞こえてるんでしょう?!」

「助けないで下さい。…もう、私に生きる意味なんてない…」

そう言った彼女の手はすぐにぐったりとして脈もだんだんと弱くなってしまった。

降谷「矢神さん!!あきらめるな!!矢神(名前)!!部下を置いて死ぬな!!」

すぐに駆けつけた風見や部下達。そしてFBIやレスキュー隊などのお陰で助け出された彼女は最悪な状態だった。

瓦礫の鉄骨が脇腹を貫通していて、その上額は深く切れていて血が止めどなく流れていた。

とてもじゃないけど見ていられるようなものではなかった。思わず後ずさりをしてしまった。

それでも彼女は朦朧とする意識の中何かを伝えている様子だった。目の焦点はあって居ないだろうが駆け寄った風見に何かを伝えようと風見の腕を掴もうとしていた。
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