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Moon face

原作: 名探偵コナン 作者: takasu
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20

風見「矢神さん、そろそろやめて下さい…自分の胃がもちそうにありません…」

風見はそう言いながら胃のあたりをさすった。

降谷「勝手に風見と夫婦にしないで下さい!…それに、貴女みたいな手のかかる娘はいりません。」

何気ない一言だった。降谷の言葉に悲しげな顔をした美弥妃はそうですよね…と自嘲笑気味に俯いた。

風見「や、矢神さん…?」

「いえ。お疲れ様です。もうお母さんとかパパとか言わないようにします。すみません。」

突然壁を作るようにそう言った美弥妃は荷物を持って本部を出て言った。

残された風見と降谷は美弥妃の違和感に首を傾げていた。

そして美弥妃は帰ると言いながらも次の仕事へと向かっていた。

集中ができたのは本当だった。だが帰る予定は無かったのだ。最初から。

…pipipi…

「はい」

?「No.X、わかっているな。」

「はい。勿論です。」

?「期待しているぞ」

…pi…

No.X…これが私の本当のコードネーム。

私はこの日本から目をそらすことは許されない。

ある日の深夜、私は誰も残っていない本部の会議室にいた。

電気も付けずに会議室である人物を待った。

待ち合わせの時間まで後数秒。

そんな時にガチャリとドアの開く音がすると不意に名前を呼ばれた。

?「No.X」

振り返ると暗闇の中で静かに存在感を示す男がいた。

黒江 聡。この警察という組織の幹部の中でも上の方人間だ。

その男は静かに美弥妃の方に歩み寄った。

黒江「上手くやっているそうじゃないか。」

「えぇ。それなりには。」

黒江「降谷はどうだ。」

「問題ありません。組織の潜入によるPTSDも見られません。」

黒江「そうか。」

短い返事をした黒江との間に長いようで短い沈黙があった。

その沈黙を先に破ったのは黒江だった。

黒江「FBIから連絡があった。」

「例の件ですか。」

黒江「あぁ。どうも日本に標的がいるらしい。さぁ、答えろNo.X」

ガチャリと金属音がすると黒江は美弥妃に銃口を向けていた。

黒江「お前は、あちら側なのか」

銃口を向けられた美弥妃は少し笑って口を開いた。

「本日よりFBIとの合同捜査が行われることになりました。」

美弥妃の突然の言葉に部下達は驚いていた。

剛田「何の案件ですか?そんな急に…」

「確証が持てるまで皆さんには公開しておりませんでしたがある犯罪組織が動き出しました。以前皆さんに中途半端な情報を公開して混乱したことがあったので確実な情報が入るまで黙っていました。すみません。私は以前よりその組織に潜入しておりました。そしてその組織が大きく動き出したので皆様のお力をお借りしたいと思っております。皆さんもご存知の通り、来週末日米首脳会談が行われます。そこの警備に当たることまでは聞いているかと思いますがそこに組織が何らかの攻撃を仕掛けると予想されています。そこでFBIと提携を結んでその組織を抑えたいと思います。本日15:00よりFBIとの合同会議を行います。それまでにお手元の仕事は片付けておいてください。今後はこの捜査に集中して頂くのでそれ以外の仕事はここにまわってこないので。それだけ重要な案件だと言うことを肝に銘じて下さい。以上です」

朝礼時に言われた美弥妃からの発表に部下達は混乱する一方だった。

そんな中一人冷静な男がいた。

発言を終えて自分のデスクに戻ろうとした彼女の前に降谷は立ちはだかった。

降谷「矢神さん。」

「どうかしましたか?」

降谷「何故今まで黙っていたんです」

「先先程も申し上げましたが混乱を防ぐために黙っていました。」

降谷「それだけじゃないでしょう」

降谷は何かを感じていたのだ。

「それ以外に何か?」

降谷「あなたはまだ隠している事がありますよね」

降谷は目を細め鋭い眼差しを美弥妃に向けた。

降谷がそう言うと美弥妃は降谷から目を逸らし降谷を避けて歩き出した。

「それは私の領域(エリア)です。皆さんは指示のもとで動いてもらうまで。勝手な行動は二度とさせないだけです。」

いつもより強気な美弥妃を降谷はキッと睨みつけたがそれ以上言葉を発することはなかった。

15:00丁度に合同会議は開かれた。

FBIの方には赤井、ジョディ、キャメル、ジェイムズが来ていた。

静かに淡々と進んでいく会議の中、FBIから明らかにされる情報を前に美弥妃だけは焦った様子だった。

赤井「組織の幹部は酒口大、出雲涼、大竹壱留。その他部下数十名。末端を合わせて数百の組織だ。彼等は殺人を商売としている。殺し方は雑だが死体の処理能力に優れている者がいると考えられている。あらゆる殺し方をするところから見てそれぞれ得意分野があるのだろう。その中に爆破もある。今回は恐らく首脳会談が行われる現地で大規模な爆発を起こすと予想されている。その為人員配置をしっかりと固めておきたい。…ここまでで何か意見はあるか」

赤井がそう聞いた時だった。ガタッと音を立てて美弥妃は立ち上がった。

「ねぇ…その情報は確かなの…?確実なの…?答えて。FBI…」
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