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Gray

原作: 名探偵コナン 作者: takasu
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風見「降谷さんと現場に向かう前、俺と別件で一緒にいたんですけど…その時俺を庇って…」

「あ、ちがいますよ?たまたま私がそこに立ってて気付かなかったので私の不注意ですよ!2度も不注意で刺されるなんてほんっと私ったらトロくて!」

狩生「矢神、お前別件でって…他の奴らの仕事を…」


「勉強ですよ!勉強!ほら!私狩生さんのお陰でここに入れたようなものですし!実力もないから少しでも多くの案件に同行させていただいて仕事を覚えていかないとじゃないですか!トロくて2度も刺されてしまうくらい実力ないですもん!だから早く溜まった書類に目を通して、現場へ向かう時にこれ以上足を引っ張らないようにしないといけないので!…ハハ…私、ほんと…頑張らないと付いていけないから…」

狩生「矢神、嫌がらせまだ続いてるのか…?今回の件だって…」

「や、やだなぁ!狩生さんまで!全然そんなんじゃないですよ!ほらあ、もうこの通り元気なので!私退院手続きしてきますねっ!」

狩生「無理だろう!まだそんな…」

「いった………くないっ!大丈夫です!」

風見・降谷・狩生『今絶対痛かったんだろうな…;』

「荷物もこれだけなので!このまま着替えてから行きます!ほら、はやく皆さん出ていってくださいよ!私の生着替えなんか見たって得しないですからね!」

無理やりグイグイと3人を早の外へ出すとゆりはいたむ傷口を庇いながら素早く着替え荷物を持つと部屋を出た。

降谷「本気か?」

「本気ですよ!さーて!今日も勉強勉強!」

そう言ってそそくさと受付まで向かうと病院側の反対を押し切ってゆりは退院手続きをした。

「ではすぐに署に戻りますので!お疲れ様です!」

狩生「署に向かうなら車で一緒に…」

「大丈夫です!歩いて行きます!下っ端の私が上司の方の車に私用で乗るわけにいきませんから!では!」

頑なに世話になることを拒んだゆりは上司達が駐車場に向かうのを見届けるとその場にしゃがみ込んだ。

「仕事、仕事…全部勉強…大丈夫、こんなの全然痛くない…」『どうしよ…怖い…痛い…辛い…もう逃げ出したい…でもダメ…!』

1人でブツブツと言っていると背後から声をかけられた。

沖矢「ゆりか?」

「あ、あかっ…昴さんっ!」

昴「どうした?泣きそうな顔してるぞ」

姿と声は沖矢昴そのものだが口調は赤井秀一だった。

「あか…いさっ…!」

ゆりは静かに泣きながら赤井の胸に顔を埋めた。

昴「何かあったのか?…怪我をしているようだが…」

「もう、やだっ…!…いつまで…っ!いつまで私はっ…イヤな目でっみられってっ!…嫌がらせっ…!誰にもっ…必要とっ…されてっないのにっ!

もう生きたくないよぉ…」


車のキーを先ほどまでゆりがいた病室に忘れた狩生達はそれを取りに行くために病院の玄関に戻ろうとした時だった。

「………もう生きたくないよぉ…」

聞き覚えのある彼女の声に3人は足を止めてその場に立ち尽くした。

昴『あそこに隠れているのは降谷くんと…?…まぁいい、少し彼等にも気を使ってもらいたいものだな。』
「ゆり。…黒を追う組織は他にもある。FBIはいつでも歓迎だ。
わざわざ今の職場にすがらなくてもゆりさんならきっと他でもうまくやっていけますよ」

「え…?」『なんで急に沖矢さん口調…?………あ、なるほど…って、私ったらこんな目立つところで赤井さんに!!』「あ!ありがとうございます!す、すみません!こんなところで急に私ったら…!」

沖矢「構いませんよ、またお食事でも^^…話ならいつでも聞きますよ^^」

「ありがとうございますっ!…すみませんっ!ご迷惑おかけしてっ、私職場に戻ります!では!」


『大丈夫、大丈夫、仕事は勉強、よしっ…』
「おはようございますっ!休暇を頂いて大変ご迷惑をおかけしてすみません!」

上司「おー!矢神!久しぶりだな?って2日ぶりか!笑 入院してたって割には元気そうだな!」

「はい!今日から休んでいたぶんもお仕事頑張らせて頂きます!ご指導、よろしくおねがいします!」『これでいい。…まだ、頑張れる。…こんな傷、大丈夫っ!』

そう言い聞かせて上司に与えられた大量の仕事はいつまでたっても終わることはなかった。

上司「お疲れ!あとよろしくな!矢神!」

仕事も終わりかけて帰れると思った矢先、すぐに仕事を追加されて帰ることはできなくなってしまった。

「お、疲れ様です…」

怪我のせいか熱まででてきたようで体力も限界に近づき、朦朧とする意識の中、目の前の資料に目を向けた。

「ハハッ…終わるわけないじゃん…」

全員が帰ってしまったあと、1人ただデスクで仕事をする自分がたまらなく惨めで、涙が止まらなくなってしまった。

膝の上で拳を握り締めて俯きなんとか涙をとめようと思うのにそれは全くとまってくれなかった。

そんな時、ガチャリと扉の開く音がした。

狩生「矢神…?」

泣き顔を見せるわけにもいかず俯いたままお疲れ様ですとなるべく明るい声で言った。

風見「まだ仕事してたのか?病み上がりだぞ?!」
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