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321…

原作: 名探偵コナン 作者: takasu
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平蔵「それから………警察は皆もうゆりちゃんのこと、飼い猫やなんて思ってへんで。」

「…そうですか。」

平蔵「ほな、また」

「はい。お気をつけて。」


大滝「さっき平蔵はんが言うたんもほんまやで…そのこと言いたくてな…。」

「………平蔵さんがそうでも、中には私のことをよく思ってないひともいますし。身の程をわきまえておかないといけませんからね。あくまで、使い捨て…ですから。」

大滝「そないなことないで!!ゆりちゃんおらな2年前のの事件かて…」

「私はたまたま居合わせただけですよ。…それに、平蔵さんもどこかでは思ってるはずですよ。…使い捨てだと。」

大滝「そんなっ…。」

「じゃないと普通、暴走軍団の潜入捜査なんて警察内部の人間にだってたのめる。極端な話、安室透に頼んでも組織との関わりがあることに変わりはない。それをしないのは自分の直属の部下を危険な目にあわせたくないから。…私なら万が一何かあってもダメージは少ない。それは私が使い捨てで済むから。…大人なんてそんなものですよ。」

大滝「ゆりちゃん…」

「ま、このことは責任感じないでくださいね。私も使い捨てられるのは慣れてますから。」

大滝「わいはそんな風に思わんで!ゆりちゃんはかわいい後輩ちゃんみたいなもんや!…いや、能力としては上司にあたるねんけど…」

「ふふっ…大滝警部のそういう優しいところ好きですよ。…でも、気をつけたほうがいい。私がいつあなた達を裏切るかもわからないのですからね。」

大滝「そんなことない!ゆりちゃんは裏切ったりせん!わいは信じとる!だから、もっと自分大事にしてほしいねん。…今日はほんまはそのこと言いたくて呼んだんや」

「みんな。あなたみたいな大人ばかりだったらよかったのに。」

大滝「え…」

「さ、今日はとことん飲みますよ!」

大滝「お、おん!」

こうして2人は朝方まで飲み明かし、ゆりは大滝を家に送った。

平蔵「いやぁ、すまんなぁ~」

「いえ…。では私は仕事に戻ります。」


その後潜入捜査は1日で片付き、ゆりは平蔵の家に戻ろうと玄関に手をかけたところだった。

平次「使い捨ててなんやそれ!!」

大滝「その言い方はいくら平蔵はんでも許せへん!!」

静華「平蔵さん!」

ドアのすぐ近くはリビング、話は筒抜けだった。

平蔵「何で平次がおこっとんねん。あの子は警察の飼い猫や。それ以上でもそれ以下でもない。使い捨てにされる運命なんや。可哀想やけどな。せやからあんまりみんな関わらん時。いつか消えてまう子や。」

「ハハ…」『ほらね…わかってたはずなのに……大丈夫、涙は出てないもん。悲しくない。辛くない。…でも、本当は平蔵さんにも期待してしまってた…ばかだなぁ、私…』

平蔵「優秀なんは認める。せやかてあの子は組織に単独で潜入捜査しとったんや。そんな子を警察が拾ったった、それだけでもマシやろ。」

大滝「拾ったった?!ふざけんな!あれだけ頼りにしといてなんちゅう言い方や!!あの子がどんだけ辛い思いして…!!わいら警察が頼りないから1人で潜入捜査するしかなかったんやで!!平蔵はんはなんでわからんのや!!あの子は…あの子はな!!」

…ガラッ…

「捜査報告です。証拠の写真と、こちら、証拠の品です。」

平蔵「お、おおきに…」

蘭「ゆりちゃん…今の話…」

「あぁ、聞いてたよ。」

大滝「ちゃうねん、これはな…」

平蔵「事実やろ…?」『そうや、こうやってまたこの子の優しさに甘えてまうから内部の人間がこの子を…』

「ええ。事実です。何を怒ることがあるんですか?ね、言ったでしょ、大滝警部。…平蔵さんが言う通り、私は使い捨て。その時必要だったら使う。部下に怪我を負わせないための平蔵さんの優しさですよ。自分の大事な後輩を失わないための配慮です。…私みたいな小娘がいなくなったところで損害はありませんからね。」

大滝「もしそんなことあったらわいは大損害や!!飲み友達が減るやないか!!」

「ふふっ…なにそれ、そんなのまたかわりを見つければいい。平次くんだって二十歳を越えれば飲み仲間になってくれますよ、きっと。」

静華「そんなん…縁起でもないこと…」

「平蔵さん、みんなに話すつもりはありませんでしたが、こうなったらちゃんと、私が周りを不幸にしてしまう無駄な存在だったからそれを仕方なく使ってやってる、ということを説明お願いしますね。ま、隠し通しても構いませんが。」

そこまで言い切るとゆりの瞳は潤んでいた。瞬きでもすれば雫がこぼれ落ちてしまいそうなくらい。


蘭「ゆりちゃん、私と和葉ちゃんと外行ってよ?」

「ううん、ありがとう。…私東京に用事あるから先に戻るね。せっかく誘ってくれたのに、ごめんね…、お邪魔しました。また、何かあればいつでもお使いください。警察の方々…。大滝警部は、友達として、生きてるうちに飲みに行けたらいいですね。…じゃ、失礼します。」

平次「ちょおまちーや!」
コナン「まって!」

ゆりは制止の声を無視して早々に家を出た。
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