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神様はアタシの胸に

ジャンル: ロー・ファンタジー 作者: 山科
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第26話

 この人、タダものじゃない。
「……興味本位で聞きますけど、なんで、そこまでしてくれるんですか? 生徒と言っても、赤の他人でしょう?」
「教師にとって生徒っていうのはな、自分の子供のような存在なんだ。子供を守るのが親の役目だろう」
 それに、と言葉を続ける先生。
「愚妹を教育するのは、姉の役目だからな」
「? それって、どういう……」
「いいから早く行け! 私は、他の場所へ向かう」
 気づくと、その場にいたゾンビは、全員気絶していた。
 ○国無双か!
「そうだ。椎名、これを持って行け」
「え? っとと……これは……」
「警棒だ。またの名を、ただの伸縮機能付きの鉄の棒だな。護身用に持って行け」
「あ、ありがとうございます」
 とにかく、あたしも早く向かわないと。
 助けてくれた先生をしり目に、あたしは綾瀬川奈々子の元へと向かった。



 それから先は、なんとかゾンビを回避しつつ、捕まることなく無事目的地へと辿り着いた。
「ここ、か……」
 目の前には研究所らしき建物。
 シャルが言うには、ここが綾瀬川奈々子のいる場所らしい。
 ゆっくり中に入っていくと、中は想像以上に狭く、あるのは地下への階段だけ。それ以外は、何もない。
 一歩一歩慎重に階段を下りると、そこは永遠に続くのではないかと思えるような、長い廊下だった。
「なんだよ、コレ」
 先が見えないっていうのは、こういうことを言うんだろう。
 いくらなんでも、長すぎないか?
 こんなものを地下に造れるなんて、綾瀬川奈々子は何者なんだよ?
「…はぁ」
 あたしは、ため息をつきながらも、それを進んでいく。
 30分ほど歩くと、ようやく広けた場所に出た。
「待っていたぞ」
 前から声。
 現れたのは、漆黒の仮面とマントをつけた、騎士としか形容できない、一人の人間。
「悪いが、ここは通せない」
「…………」
 〝股間から〟抜いた剣を、ゆったりと構える騎士。
 ……なんか、カッコいいんだかカッコ悪いんだか、わからないやつだな。
『こやつ……手強いな』
 騎士の放つ気や戦闘力でも感じとったのか、シャルはそう言った。
 おいおい、手強い相手にあたしが勝てるわけがないだろう?
『仕方あるまい』
 言って、シャルは幼女の姿になる。
 もちろん、服は着てない。
 すっぽんぽーん、だ。
「しゃるがあいてじゃ!」
「…………」
 対峙する二人。
 先に仕掛けたのはシャルだった。
 シャルの手に、光が集まり、それが形を成していく。
「おっぱい・ボム!」
 光は、おっぱいの形をした何か、(多分、爆弾だろう)を形成した。
「ふんっ!」
 それを、思いっきり投げつける。
 だが、騎士はそれを楽々と剣で弾き飛ばす。
 弾き飛ばされたおっぱいボムとやらは、天井にぶつかって爆発した。
 この建物、崩れたりしないよな?
 あたしがそんな心配をしていると、騎士は一気にシャルに肉薄する。
「くっ……!?」
 シャルは、もう一度形成した爆弾を、今度は騎士の眼前の床に投げつける。
 爆発するおっぱいボム。それが煙幕になったのか、騎士は一瞬シャルを見失ったようだ。
 その隙に、シャルは距離を取り、再度おっぱいボムを投げる。
「……あー」
 なに? このマジバトル。
 あたしの出番ないじゃん。
「……フッ! はっ! 魔○剣!」
「うみゃ! にょわ! 三○華!」
 そんな戦いを幾分か続けた後。
 ついにシャルが騎士の剣を受けて吹っ飛び、倒れた。
「終わりだ……」
 剣を構える騎士。
 マズい! このままじゃ!
「……っ!」
 シャルが、目を閉じた。
 ヤバいヤバいヤバいって! このままじゃシャルが死んじゃうって!
 助けに行かないといけない。
 でも、身体が動かなかった。
「これまで、か……」
 シャルが、諦めたようにそう呟く。
 おいやめろよ! マジで死ぬみたいになってるじゃないか!
 騎士の剣が、振り上げられ、そして、一気に振り下ろされ――

「ぬっ!? くそ、時間が!」

 騎士の身体が、突然光りだした。
 鎧が、徐々に外れていく。
「……なっ!?」
「お、おぬしは……」
 あたしとシャルは、目を疑った。
 だって、

 そこにいたのは、全裸の涼太だったのだから。




 武器を失った涼太を、シャルが形成したロープで縛って、捕まえた。
「はぁ、はぁ……あ、あぁ……」
 と、息遣いが危ない涼太。
 あの変態を見ているみたいだ。
「き、気持ちいいよぉー」
「…………」
 あたしとシャルは、言葉が出なかった。
 気持ち悪い。
「どうしたんだ? この馬鹿は?」
「うむ……わからんが……。そうじゃ、あすか。おぬしののうりょくをつかってみてはどうじゃ?」
「能力?」
 『性思読込』のことか。たしか、エロい思考限定で人の心が読めるんだよな。
 この状況には、うってつけの能力、というわけか。
「……いく、ぞ」
 あたしは、ゆっくりと涼太に触れる。
「っ!?」
 刹那、あたしの頭の中で、あるビジョンが再生されていく。
 奈々子とSMプレイをされるところ。
 奈々子に、全裸で犬のように尻を振るところ。
 etc、etc、etc……。
「…………」
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