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神様はアタシの胸に

ジャンル: ロー・ファンタジー 作者: 山科
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第13話

「い、いやぁぁぁぁぁああああああああ――――――――――――――――――――っ!」

 叫び声を上げながら、あたしはその場から猛ダッシュで逃げる。
 いやだって、全裸だよ?
 ゾウさんがぷらんぷらんしてたんだよ?
 変態じゃん! 犯罪者じゃん!
「ま、待ってくれ! 私のナニを見ておくれ!」
 男は、全裸のままあたしの後を追ってくる。
 帰宅部の足じゃ、逃げ切れないような速度で。
「……はぁ……はぁ……」
 とりあえず、人通りの多い道に出ればなんとかなるはず。
 この辺りで、こんな深夜にも人通りが多いのは、商店街通りしかない。
 でも、ここから商店街通りまで行くには、通常なら15分はかかる。
 多分、あたしの足じゃ15分も逃げ切れないだろう。
 となると――
「……くそっ!」
 あたしは前方に見えた、狭い裏路地に身体を滑り込ませた。
 薄暗いし、いかにも犯罪が行われますよって感じがする路地だけど、ここを通り抜けるのが商店街通りまでの近道になる。
 通りたくはないけど、今は背に腹は代えられない。
「……っ!?」
 裏路地の真ん中辺りまで進んだとき、目の前に黒ずくめの謎の集団が現れた。
 なんだ!? あの変態の仲間か!?
「あまり私を疲れさせないでくれ」
 背後から、変態が迫ってきた。
 まさに、絶体絶命ってやつだ。お、犯されるのかっ!?
「そんなに怯えなくとも、貴女の身体に触れることはないですから」
 あたしの心を読んだかのように、変態はそう言った。
 でも、全裸でそんなこと言われても信じられるわけがない。
「自己紹介しましょうか。私の名は『始まりの男(アダム)』と申します」
 軽くお辞儀をしながら、自己紹介してくる変態。
 いや、自己紹介されても困るんだけど。
 しかも、そんな明らかな偽名で。
 ジト目で変態を見るあたしを無視して、変態は言葉を続ける。
「私の目的は、貴女の身体ではない。貴女の……いや、貴女に宿る神様を殺しに来たんです。ついでに、私の裸を見てもらおうと」
「……っ!?」
 今、なんて言った?
 神様を殺す(裸を見てもらうというのは、忘れよう)?
 なんでこの変態が、神様のことを(裸を見てもらうというのはry)?
 考えられる可能性は、一つしか思い浮かばない(裸を見てry)。
『っ! 飛鳥! こやつにも、神様が宿っておるぞ』
 あたしの予想を肯定するかのように、シャルがそう言った。
「ええ、その通り。私にも、神様が宿っています。勿論、反乱軍のね。恥ずかしがり屋さんですから、私以外の人間の前には姿を現しませんが」
 ってことは、だ。
 コイツが、翔平太をあんな風にした犯人?
「あんたが、モザイク化計画の犯人なの?」
「いいえ。私は、それに協力しているにすぎない。ただの駒です」
「……共犯ってこと?」
「まあ、そうでしょうね。事実、先週とある中学校でウイルスをばら撒いたとき、私もいましたし」
「っ!」
 先週。中学校。ウイルス。
 それって、翔平太が通う学校のことじゃないのか?
 いや、多分間違いなくそうだろう。
「なんで、こんなこと……っ!」
「さあね。私には、奈々子様の考えはわかりません」
「奈々子……様?」
「……そうですね。話して差し上げましょうか」
 どうせ、貴女はここで神様を失うんだから。そう前置きして、変態は話し始めた。
「このモザイク化計画の首謀者の名は、奈々子様。美しき美貌を持つお方です」
「奈々子……」
 名前から察するに女の人か。変態も『美しき美貌』って言ってるし。
「残念ながら、奈々子様の計画全てを知るわけではないのですが。なんでも、エロマンガ島を支配するつもりだとか」
「……支配」
 エロマンガ島を支配?
 圧倒的な科学技術や、妄想力という力を持っているこの島を?
「なんで……そんなことを?」
「言ったでしょう? 私は、奈々子様の計画全てを知っているわけではないと。むしろほとんど知りません」
「なら、なんで協力してるんだよ!」
「……色々あるんですよ、私にもね。さて、お喋りはここまでです」
 言って、右手を自分のチン――陰茎へと持って行く変態。
 なにをするつもりだこの野郎は!
「私の能力は、『百の白子(ハンドレッド・ホワイトチルドレン)』というものでしてね。自分の陰毛を、人型の人形に変化させて使役するという能力です」
「……能力?」
「おや、神から聞いてないのですか? 神と合体することによって、能力を得ることができるって」
「…………」
 そう言えば、そんなこと言っていた気がする。
「シャル、あたしの能力は?」
『……すまぬ。今は、使えないんじゃ』
「なっ!?」
 肝心なところで役に立たないなこの神様は!
『じゃが、大丈夫じゃ! ここは、妾がなんとかしよう!』
 ぷるん、と揺れるおっぱい。シャルが人の姿になるときの合図みたいなものだ。
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