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神様はアタシの胸に

ジャンル: ロー・ファンタジー 作者: 山科
目次

第3話

……そして、現在に至るというわけだ。
 目の前にいる全裸の銀髪碧眼幼女、シャルロット・F・K・イヴァネッタ。
 彼女は、こう言った。

『世界を、救ってほしい』

 と。
「…………」
 突然あたしの胸から現れて、神様を自称して、その上世界を救え?
 意味が分からない。
「? なんじゃ、そのうたがいのまなざしは?」
「疑ってるんだよ! いきなり現れて神様だって? 信じられるか!」
「うむ……そんなこといわれてもこまるのじゃが……」
「その上世界を救え? そんなの、あたしに言わずに警察にでも言え。この島の警察、『守護舞台(ガーディアン・フォース)』は優秀なんだから」
「けいさつにゆうても、しんじてはもらえんじゃろ。それに、いっぱんじんがかなうあいてではないのじゃ」
「なら尚更あたしに言うな! あたしもどこにでもいるような普通の女子高生なんだから!」
 妄想力が使えるからと言って、この島では一般人と変わりない。
 それどころか、レベル2のあたしは、一般以下と言ってもいいほどだ。
「それはちがうのじゃ、しいなあすか。おぬしは、たったいま、しゃるがあらわれたことによって、いっぱんじんではなくなったのじゃ」
「……は?」
「しゃるがおぬしとだったいすることによって、おぬしは『能力』をつかえることになるのじゃからな」
「…………」
「さて、なっとくしたかの? では、つぎのせつめいにうつると――」
「ちょっと待て!」
 言葉を続けようとするシャルロットを遮るように、あたしはそう言った。
「? なんじゃ?」
 首を傾げるシャルロット。
 そんな仕草が、またなんとも可愛いが、今はそんなこと思っている場合じゃない。
「能力とやらを使える? 一般人ではなくなった? そんなので納得できるか! とにかく、あたしは世界なんて救いたくない! だからあたしの前から消えてくれ!」
「……なんぎなやつじゃのう。なにがなっとくできないのじゃ?」
「全部だよ! とにかく、あたしは世界を救うつもりなんてない!」
「ちょっ、そ、それはこまるのじゃ! あすかにことわられると、しゃるは――」
「知らないよ! ほら、早くあたしの家から出て行って!」
「う、うみゅ……え、ええい! しかたがない!」
 シャルロットは、何か怪しげな呪文を唱えだす。
 すると、
「……なっ!?」
 あたしの身体が宙に浮き、身動きできなくなった。
「しょうしょうらんぼうじゃが、むりやりにでもはなしをきいてもらうことにするのじゃ」
 なんだこれ?
 妄想力のリアライズか? いやでも、『他人に直接関与する妄想』なんて、聞いたことがない。
 なら、これは……。
「どうじゃ? これでしゃるがかみさまじゃというのが、りかいできたかの?」
 ふっふーん、とどや顔でそう言うシャルロット。
「では、せつめいのつづきをするのじゃ」
 あたしが動けないのをいいことに、シャルロットは無理やりにでもその説明とやらを聞かせるつもりらしい。
 抗いたいけど、身体が動かない以上、どうしようもない。
 あたしは、諦めてその説明とやらを聞くことにする。
「まず、しゃるはこことはべつのせかい、『楽園(ヘブン)』からきたのじゃ」
 異世界って。ますます、シャルロットの言うことが信じられなくなってきた。
 そんなあたしの気持ちなどお構いなしに、シャルロットは話し続ける。
「しゃるは、ヘブンにすむじゅうまんさんぜんにんのかみさまのひとりなのじゃ。これでも、そこそこえらいのじゃぞ?」
「…………」
 10万3000人って……神様ってのは、そんなにいるのかよ。
「む。おぬし、『神様ってのは、そんなにいるのかよ』とおもっておるな?」
 心を読まれた!?
「かおにでておるわ」
 宙に浮いているあたしの顔を、ツンっと突くシャルロット。やめてくれ。
「かみさまというのは、ヘブンのなかのしょくぎょうのひとつなのじゃ。ヘブンそうじんこう、よんじゅうはちおくにんのうち、かみさまになれるのはほんのひとにぎり……いわば、かみさまはえらばれしエリートなのじゃ」
 「えっへん」、とない胸を張り、誇らしげにそう言うシャルロット。
 そんなこと言われても、よくわからない。
「ともかくじゃ。かみさまのうちのなんにんかが、われらがあるじ、『絶対神(アブソリュート・ゴッド)』にはんらんをおこしたのじゃ」
 また新しい単語が出てきたな。
 中二病患者の人が考えそうなのが。
「ちょい待て。その『絶対神』ってのは、なんだ?」
「いうたであろう? われらがあるじなのじゃ」
「いや、意味がわからん」
「へんさちのひくいやつじゃのぅ……では、せつめいしてやろう。『絶対神』とは、ヘブンとこのせかいをかんりしている、いっぱんてきにおぬしらにんげんが『神様』とよぶものじゃ」
「? お前も神様じゃないのか?」
「たしかにそうじゃ。でも、しゃるのかみさまと、『絶対神』のかみさまとでは、いみがちがうのじゃ……そうじゃの、『創造主』といったほうがわかりやすいかの?」
「……創造主?」
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