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ポケモンアドベンチャー

原作: ポケットモンスター 作者: ruru
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11話「ハクタイの森~212番道路」

 ハクタイの森を抜けてから数日が経つ。ハクタイシティでコウキと別れ、サイクリングロードを下ってヨスガシティに向かい、そこから次のジムのあるノモセシティを目指して今は212番道路にいる。

 212番道路を歩いていると、何やら大きな屋敷が見えた。すると見てる自分に気付いたのか、その屋敷の執事であろう人がこちらに向かって走ってくるではないか。

「あなた、こちらの屋敷に興味がおありか!?えぇそうだとも!さぁ屋敷にご案内いたしましょう!」執事は俺を強引に屋敷に連れていく。

屋敷の中はとても豪華で、自分には場違いな所に来てしまったと感じた。執事に連れられた部屋はさらに豪華で、床は土足で足を踏み入れることを気にしない人物が汚してしまって申し訳ないと床自身に謝ってしまうようなピカピカの大理石だった。

「おぉ?これはこれは、ようこそ我が屋敷へ!私こそがこの屋敷の主人、ウラヤマである!」

ウラヤマはここから自分の生い立ちや屋敷に関することを延々と話し、まるで独りよがりでつまらない話をずっと続けるポケモン大好きクラブの会長のようだった。

(なるほど、この人のご機嫌をとるために俺を連れてきたってわけか。それに付き合わされる執事も大変だな)

しかしウラヤマの話の中で興味深い内容が出てきた。

「それでな、私はその裏庭を一般客に開放しているわけだが君も後で行くと良い、珍しいポケモンが見られるからね。それでこの銅像だが羨ましいだろう?このフォルm」

「珍しいポケモンって何ですか?ぜひ見たいです、すぐにでも!」俺はウラヤマではなく話が通じそうな執事に声を掛けた。

「旦那様、この方を裏庭にお連れして構いませんか」

ウラヤマは話の腰を折られて少々不機嫌ながらも承諾し、俺と執事とウラヤマは裏庭に行く。

裏庭にはピッピやトゲピー、プリンなど小さくて愛玩目的に飼っているポケモンがたくさん居る。イーブイは確かどこか別地方のポケモンリーグの優勝者が決勝で使って活躍したから一時期ブームになっていたポケモン。どのポケモンも珍しくて貴重なポケモンだ。

「んほぉ!このピカチュウちゃんの可愛さと言ったらたまらんのだ!そしてこのピィちゃんこそ・・っておや?他にも客が来ていたのか」ウラヤマは奥にいる人を指さして執事に尋ねる。

「嫌、私はメイドからそのような事は聞いて・・ってあぁ!」

執事が見たもの、それはその客人が裏庭のポケモン達をモンスターボールに入れて捕獲している姿だった。というかあれは俺も見覚えがある、カンナギタウンとクロガネシティで会ったオネェだ。

「何故だぁっ!?何故私のポケモンちゃんにひどいことをしようとする!?」

「はぁ?こんな珍しくて高く売れるポケモン達、アンタごときが独り占めしてんじゃないわよ!アタシが有効活用してあげるから、おとなしくこいつら寄越しなさい!」

「お前!・・・あれ?クロガネシティで一緒にいたもう一人の男はどうした」俺はオネェに尋ねる。

「あら、何度も会うわね。この不思議な縁ついでに答えてあげる。アイツは金じゃ動いてくれないのよね~、強いポケモンしか求めてないらしいから。これで満足?じゃあここらのポケモン全部頂くわね❤」

「そんな事はさせない。いくぞ、ゴンベ!」

「ふふふ、そいつも頂くわね!」オネェはゴンベに向かって奇妙な模様のモンスターボールを投げた。

するとゴンベはそのボールの中に入り、ボールは全く動こうとしない。ゴンベはオネェにゲットされてしまったのだ。

「嫌おかしいだろ!?ボールで捕まえたポケモンを別のボールで新たに捕まえるには逃がすことが必要だ。なのに別のボールで捕まえることが出来るなんて!?」

「それこそこのボールの凄い所なのよねぇ~。人のポケモンをボールに入れ直すことが出来るから泥棒し放題ってわけよ。そうねぇ、仮に名づけるとしたらイリーガルボールってとこかしら」

オネェがゴンベの入ったボールを取りに行く。まずい、ゴンベまで捕られてしまう。

うかつにポケモンを出せないとゴンベの入ったボールを俺は自分自身で取りに行く。がしかし、オネェの方が早くそのボールを手にしてしまう。

そのボールを奪い取ろうとするその時、思わぬ奇跡が起きる。突然庭でかなりの大雨が降り注ぎ、オネェはゴンベの入ったボールを雨で手が滑って落としてしまう。だがそれは俺やオネェ含む全員が目を開けていられないほどの大雨だった。そしてオネェは逃げることを優先して裏庭のポケモン達を捕まえたイリーガルボールの入った袋を置き去りにする形となった。俺の10歳の体ではオネェを追うことは出来なかったが、被害を最小限に食い止めたのは上出来だろう。

そして大雨は突然止んで、空は再び太陽が明るく照らしている。

「はぁ、助かった。ゴンベ、出て来れるかい」

ゴンベの様子を見てみたが、いつも通り俺のいう事は聞いてくれて正常の様子だった。ただイリーガルボールには逃がす機能が付いていなかったからこのままゴンベにはイリーガルボールに入ってもらう事になりそうだ。

「それにしても奇跡だったなぁ。まさか突然雨が降り出すなんて」俺は先程の出来事に感心する。

「奇跡?はっはっはっ、あれは庭に住んでるポワルンが雨乞いをしたのだろうな。流石私のポケモンちゃん!どうだ、羨ましいだろう?」

「えっそうだったんですか?羨ましいなぁ」

「そうだろう、そうだろう!しかし君のそのゴンベ、とても可愛くて羨まし・・ってあぁ!私の庭にも入れよう!そうと決まれば早速準備をせよ!」

「はっ、ははぁ!ただいま用意いたします!」

執事はウラヤマの突然の思いつきに振り回されるのだった。そして俺はそんな屋敷を後にして、ノモセシティに向かう。

 (手持ちポケモン バリヤードLv.37 ブビィLv.34エレキッドLv.34ゴンベLv.43)
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