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あらん

ジャンル: その他 作者: ワーク
目次

世界の終わり

外に出かけると、家が爆発しちゃうんじゃないかな、みたいな不安が襲ってくる。

図書館の隅にある椅子に座って、出っ張りの窓から、外を見つめていると、段々と震えてきて、何もかも崩壊していくんじゃないかなと思う。

見たことも、行ったこともない真っ暗な森の中、白い丈夫な縄で首を吊って、そのまま、空へ誰かが連れて行ってくれるのではないかと想像する。

③きゅうううううううううううううう 2年生9月
朝起きても暗闇が続く。

「あーー」と掠れた声を出してみる。

生きてる。

うつ伏せで視界を覆っているタオルケットから時計を見つる。

たったったったったったったったったったと秒針。

丁度30分経った。

その時、

どんどんどんどん
と鳴った。

その後、自分の名前が呼ばれた。

「がっこー、起きてー」

明るい声色だった。

今日は九月一日。

僕は、夏休みの途中から、襖を棒でロックし部屋に引き籠っていた。

だんだんだんだん
襖を叩く音だ。だんだん強くなってる。
「今日から学校だよー起きてーー」
どんっ、どんっ、どんっ、
            父「ちょっと、、」
だんっ、だんっ、
襖を外そうとしている。
            母「新学期なんだから!」
だんっ、ばりっばりっ
母は襖を蹴った。破れた襖から足が見える。

どんっ

襖が外れ、部屋の方に倒れた。母が部屋に入ってきて僕が被ってるタオルケットを引っ張った。
「部活は休んでもいいけど!学校は高いお金払ってるんだから!」
僕は抵抗してタオルケットを引っ張った。

広がった視界に父がいた。
洗面台に立って。
こちらを見ていた。

目が合った。同じ家にいるのにものすごく遠くに感じた。近いのに遠い。吸い込まれるような宇宙を感じた。

きゅうううううううううううううう

僕は気持ち悪くなった。

呼吸がおかしくって、堅い折り畳みベッドの上で魚みたいにぴょんぴょんと横になったまま跳ねた。

はぁはあーーあーーあーー

父が洗面台の前で、「大丈夫ぅ?」と低く安定した声で聞いた。

母はびっくりしたのち、「ほっといたら直るよ」と言った。

病院で受け付けのアルバイトをしている母は、過呼吸の時にはビニール袋を口に当てる事を知らないらしい。

苦しい

苦しい

その日、僕は結局、学校に行かずお金をもらい2人が仕事に行った後、精神科の病院へ行った。


図書館の隅にある椅子から出っ張りの窓から外を見つめて私は、途方に暮れている。
後、何があるんだろう。破滅以外に。

僕は飽き飽きしている。

同じような日々に

でも、時間は流れている

いつまでも、このままじゃいけないよなって
映画のセリフみたいに頭の中で思う。


小学校の下校中に、(家と学校はまっすぐ一直線で繋がっていて)
あれは2つ目の小学校だったと思うけれど、(父は転勤族だった)
僕は老人の様に生きたいと思った。
毎日、学校が終われば習い事があった。
僕は大人になれば、母や父のように母や父のために生きていくのだと感じていた。
だから行きたくもない、塾に行かされている。

ゆったりとした歩み。しわのある顔。落ち着いた物言い。なんでも許してくれるような、穏やかさ。
僕は新学期の転校生と友達2,3人と道の真ん中をふらふらと歩きながら、歩道を歩く老人を見て羨ましがった。

④はい。 2年生8月
コントラバスを支える物と化していた、私。
大きいだけで軽いので、手を添えるだけで支えられる。
握ると手汗で気持ち悪くなる。
2つ前の学校が演奏している、
舞台の裏の裏で待機していた。
コントラバスの先輩が「2人とも初めてのコンクールだよね?緊張してる?」と聞いてくる。
チューバの同期もいて「緊張してます。」と笑いながら言った。
「そりゃそうだよね。頑張ろうね。」「はい!」
「あなたは?」僕の心は妙に落ち着いていたが、夏なのに肌寒くて少し震えている感覚があった。
「キンチョ~、してませんねぇ~。」「ホント? すご!」

僕はそのコンクール1週間前
先輩に朝練に呼び出された。
僕はほぼ毎日、自主参加である朝練に行っていたが、先輩に呼び出されるのは初めての事だった。
「1人で通しでやってみて。」「、はい。」
緊張した。
音楽準備室にて、いろんな人が楽器の準備をしていく中、僕の音が響く
「うん、もう1回。」 「、、はい。」
2度目がおわる。もう朝練の終わりの時間が迫っていた。「うん。オッケー。」とだけ先輩は言った。

演奏を聞いていたユーフォニウムの先輩が楽器を片付けながら
「1週間前でそんなで大丈夫かよ」と言い残して去っていった。

授業後、部活に行くと、先輩に暗めの廊下に呼び出された。
「ちょっと話があるから座って」「はい。」
練習部屋に行く途中のクラリネットの先輩が出くわして
「あれシビア?通っていい?」と聞いた。
コントラバスの先輩は疲れたように笑った。「いいよ。」
クラリネットの先輩が行った後に先輩は話始めた。
「まあ、朝聞いたけど、全然できてへんやんか。
まあ、頑張ってんの知ってんねんけど」
「沢山練習しても
意味がなければ仕方ないと思うんやんか。」

「いろいろ考えたんやけど、あのさ、音出さずに弾いて欲しいねん」

「ちょっ、、すいません。」
と僕は目元をぬぐった。何かが目に入ってきた気がして痛かった。涙が1粒出てきててそれを人差し指でぬぐった。
先輩はそんな僕をじっと見ていた。
「どうした?」
「あ、なんかゴミが」
「大丈夫?」
「あ、すいません。大丈夫です。」
「さっきの話オッケー?全部じゃないねんけど、難しい連符のとことか、音程が絶対あってないとダメなところとか。」
「はい。」と僕は出来るだけいつも通り言った。
「なら、話終わり。」と先輩が立って練習に行った。
僕はゆっくりと立って、音楽準備室に向かった。
歩くと身体が軽すぎた。
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