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ビムビムの実の能力者の冒険

原作: ONE PIECE 作者: 茶木代とら
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第四十一話 襲撃(四)

「お、お客様っ、ここから出ては危険ですっ」
「火矢が…、危ないっ!」
2発の爆弾が屋上に投げ込まれた時、4人は下に降りる階段の扉の中に飛び込んで避難した。
しかし、その爆弾が破裂した時、激しい炎は燃え上がったが、爆風の威力は思ったよりも弱かった。前の爆弾が爆発した時は、爆風で屋敷の内部が崩れ落ちたが、今度の爆弾は大きな火が出ただけだ。この屋上のどこも壊れてはいない。ならば、近くに落ちてこなければ恐るるに足らず。
タビーは怒りで半分キレていたのかもしれない。隠れていた扉の裏から、一人で屋上の真ん中に飛び出した。
「ここから出るな!危ないぞ!!」
マリウスが大きな声で制止したが、タビーは聞いていなかった。
爆弾の中に可燃物が仕込んであったらしく、爆発で出火した炎は黒い煙を上げていつまでも燃え続けていた。消火しようにも、火の勢いが強くて近付くことができない。
初めに爆弾が落ちてきたのは、屋上の角の辺りだった。ふたつめは屋上の中央付近の、屋上のへりにある塀を越えてすぐのところに落ちた。
タビーがこの時に放出したビームは、おそらく今までで一番強力だっただろう。まず手始めに、タビーはひとつめの爆弾のせいで燃えている角の部分を、大きく斜めに切り取って、下に落とした。

地上では、タビー達に向けての攻撃が、統制が取られないまま無茶苦茶に続けられていた。その傍らでは、上から落ちてきた屋上の残骸がいまだにボウボウと黒い煙を上げて燃え続けている。
男の一人が屋上を見上げて叫んだ。
「また来るぞ!」
2発目の爆弾を投げ込んだ辺りが、今度はU字型にビームで切り取られているのが見えていた。
「逃げろ!!」
建物からU字にえぐり取られた屋上と外壁の一部は、落下する時にその下の外壁を破壊した。そして全てが一緒になって、激しい音を立てて地上に崩れ落ちた。

ガラガラ…ドドーンッ!ダーン!!

大量の土煙が上がり、激しい地響きが鳴りわたった。これには男達もさすがにひるんだ。
しかし、外壁が崩れて空いた穴から、大きな炎が噴き出した。これを見て、男達は勝ち誇った声をあげた。
「はははっ!中はあんなに火が回っていやがったんだ!」
もはや当初の目的を果たすことは出来ないのではないかと思われる状態だったが、喜びの声を上げている男達はそんなことは考えていなかった。

屋上では4人がなす術もなくうろたえていた。下の階で激しく燃え上がる炎が、屋上にまで届いてきていた。
「火が回ってきたな…」タビーを階段の中に連れ帰りながら、マリウスが呟いた。
「どうすればいいの…」
タビーが炎を見ながら、悔しそうに呟いた。ビムビムの実の能力は火を吐くことはできるが、鎮火することはできないのだろうか。
フロリモンとカントーは窮地の中でも気丈だった。二人は階段の前に付いていた扉を蹴飛ばして外し、盾にして飛んでくる火の粉を防ぐのに使った。
階段を降りたところにあるドアの隙間からも、煙が漏れ出てきていた。4人には助けを待つことしかできなかった。
半ば覚悟を決めた時、遠くの空で何かが月明かりに当たってきらりと光った。それはこちらに向かって真っ直ぐに飛んできているようだった。
「あれは…?」
タビーには一目でそれが何だか分かった。
(鬼哭だ!!)

時間は少しさかのぼる。
ローとゾロは、ヴァレリーの首に道案内をさせながら先を急いでいた。
ヴァレリー邸に近づくにつれて、二人は不穏な気配が次第に強くなるのを感じていた。確実に、近くで何かが起こっている。これがタビーと関係のないものであればいいと祈ったが、胸騒ぎは収まらなかった。
すると、前方の空にいくつかの光の玉が上がった。
「あれは…」
光の玉が上がった地点は、そんなに遠くないと思われた。おおよそだが1キロないくらいだろうか。
二人は馬を走らせたまま、大声でお互いの意見を確認した。
「おいっ、あれはアイツ…だよな?」
「そうかもなっ」
その時、ローは肩の上にある鬼哭の重さがすっと軽くなるのを敏感に感じ取って、条件反射的に鬼哭をがっちりと握った。
鬼哭はまたもや飛び出そうとしていたのだった。だが、がっちり捕まえられたせいで、ローの肩の上で前方に勢いよく半回転した。ブンブンと暴れる鬼哭を片手で持った状態で、ローは馬を止めた。
「トラ男っ?何だ…鬼哭か?!」
ゾロも馬を止めた。驚いているゾロに向かって、ローが叫んだ。
「馬は捨てて、シャンブルズで行くぞ!」
これと同時に、光の玉が上がった辺りで大きな炎が上がった。
鬼哭が矢のように飛んで行った。ローが手を離したのだ。
ローはまず、左手に持っていたヴァレリーの首とゾロをシャンブルズで交換した。これによって、ヴァレリーの首はゾロが乗っていた馬の背の上にちょこんと鎮座して収まり、ゾロは地面の上のローの手が届く位置に瞬間移動した。
ローは鬼哭に対して、してやったりという心境だった。何度目かの正直で、飛び去ろうとする鬼哭に反応して制止することに成功したのだ。これで自分達の瞬間移動に鬼哭を利用することができる。
(何回同じことをされてると思うんだ!お前だけに好きなことをさせとくつもりはねえぜ!!)
ローは自分とゾロの位置を、空中を飛んでいく鬼哭と交換した。
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