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ビムビムの実の能力者の冒険

原作: ONE PIECE 作者: 茶木代とら
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第十三話 出発

ゾロは目を見開いて、ロビンの話しを聞いていた。
「でも、一口にボルドール地方と言っても広いわ。この地方の中に国が2つもあるくらいなの。街道を内陸に向かって進むのはいいけど、これだけではタビーを見つけるのは難しいかもしれない」
一同は真剣に頭をひねり始めた。ナミがこの島の地図を持ってきて広げた。
「この島はこんなに広いんですね~。ヨホホ」
「タビーが“これからの道のりが長い”って言ってたのも頷けるわね」
「時間が経てば経つほど、追いかけるのは難しくなるな」
「この距離だと、乗り合い馬車か何かを使うことになるんじゃろうか」
「街道の他にも、内陸に向かって鉄道が走ってるぜ」
「ところでよ…」ここで誰かが、思い切ったように言い出した。
「トラ男もタビーを追っかけてったのかな…」
「そうかもしれないわね」ロビンを始めとする数人がこの意見に同意した。
ローのことを言い出した人物がさらに続ける。
「じゃあ、トラ男を探してあとを付けてくって手もあるよな。奴は鬼哭を持ってるから目立つ。人に聞きゃあすぐに足取りがつかめるかもしれねえ」
「でも、トラ男がタビーを追ってったってのは確かなのか?違ってたらどうするんだよ」
「そこはまあ、賭けだな」
「そうだとしたら、現状ではトラ男くんのほうが先を行ってると言えるわね。出発が早かったから、タビーに追い付くこともできたかも…。追い付けてなくても、トラ男くんには鬼哭がタビーのところに飛んで行くのを追いかけるっていう方法だってある」
鬼哭とタビーの関係性は、部外者からはこういうふうに見えるらしい。
「なるほど。鬼哭が有るか無いかの違いは大きいな。ターゲットに嫌われて逃げられても、鬼哭さえあれば居場所が分かるとは…」
まさに言いたい放題である。
「よし、そういう訳だ!ローを探し出せば、タビーちゃんに会える可能性も高くなる。わかったかクソマリモ!」
反論したいのを我慢しながら聞いていたゾロだが、仲間が知恵を出し合ってくれたお陰で当面の方針は立った。
「そうと決まれば、急いで出発しろ!」
麦わら達は急いでゾロを出発させた。コックは奇跡のような親切心で朝食と昼食を弁当にして持たせ、他の連中は懐に忍ばせておく路銀と電伝虫を用意してくれた。
「気を付けて行ってこいよ~~」全員で船着場まで降りてゾロを見送る。
「おう!お前ら、恩に着るぜ!」街のほうに走りながら、ゾロは振り返って仲間に礼を言った。
しかし、その1分後、なぜか船着場を目指して走ってくるゾロの姿が、仲間たちの前に再び現れた。
「ああゾロさん、やっぱり…。ヨホホ…」
「あいつの場合は港から出るだけでも一苦労だな」
「やっぱり誰か付いて行ってやれよ」


その頃、ローは鉄道の駅の待合室にいた。一見、ベンチに座って居眠りをしているように見えるが、実際はそうではなかった。
この日の早朝、ローはタビーを追うためにサニー号を一時離れた。そして、タビーが出発してからそんなに時間が経っていなかったことが功を奏して、タビーに追い付くことができた。
ローはタビーに「無礼なことをしたお詫び」として、同行することを申し出た。
「アンタはまだ体が完全じゃないし、女の一人旅は何かと物騒だ。先日の非礼の詫びに、目的地までボディガードを務めるが…、どうだ?」
タビーはローの申し出を断ったが、ローは食い下がった。
「それじゃあ、おれの気が済まねえ。こう見えても少しは頼りになる。おれをボディガードにしとけば、必ずアンタの役に立つはずだ」
タビーは不承不承といった感じではありながらも、ローの同行を承諾したのだったが…。
その後すぐ、ローはタビーに逃げられた。
タビーはローを連れて、たくさんの人で賑わっている市場に向かった。朝早い時間にも係わらず、道の両側にはたくさんの露店が立ち並んでいる。露店には、海産物や農産物を売る店ばかりでなく、日用品や衣料品の店もあった。
タビーはそれらの店を手早く回って、がっしりめのスポーツシューズと厚手の靴下、足首までのパンツと長袖のTシャツ、それに小さなリュックサックとニット帽も買った。そして、着替えるために衣料品屋の試着室を借り、ローにはその店の隣の、ブレンドティーを立ち飲みさせる露店で待つように言った。
しかし、ローの前にタビーの姿が再び現れることはなかった。
ローはたっぷりと30分待ってから試着室の中に向かって声を掛けてみたが、中には誰もいなかった。この店の女店主に訊ねても、「知らないね」としか答えない。
「やられた…のか?」
なんとなくではあったが、ローはタビーが自分の意志で行方をくらましたのではないかという感じを受けた。しかし、それを確定するものは何もない。
体が反射的に動いた。さっきタビーに追い付いた道の先には、鉄道の駅がある。ローが駅に到着すると、ちょうど列車に乗客が乗りこんで、出発するところだった。
そして、ローはその乗客の中に、さっき市場で買ったばかりの服に身を包んだタビーの姿を確認した。
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