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黄色頭に恋をした。

原作: その他 (原作:鬼滅の刃) 作者: のばのば
目次

善逸の気持ち

(炭治郎side)




今回の鬼に手強くて、
俺も伊之助や善逸もずいぶんと怪我を負ってしまった為、

しのぶさん達に治療をしてもらっている最中に
今回怪我がまだ浅かった桜子は一番早く手当てが終わり、

その足で冨岡さんに、
水の呼吸について教わってくると出かけていった。



禰豆子を守ってくれてありがとうと、

鬼を一体逃してしまい、
桜子に危ない目に合わせてしまったことを謝りたくて、



「(まだかな…)」

桜子が戻ってくるまで屋敷の外で待っていた。



するとしばらくして、


『あ、炭治郎。どうしたの?』

桜子が戻ってきて、俺に気づいた。


「桜子、ごめん。今日俺のせいで危ない目に合わせてしまって…」

『炭治郎のせいじゃないよ(笑)私がもっと強くならなきゃ。…でも禰豆子が無事でよかった』


そう言って優しく微笑む桜子に、


そういえば出会った頃から桜子は、
いつも優しい匂いがしてたな。と

なんか思い出したんだ。



でも、今日は

優しい匂いと同時に悲しみの匂いもする。


「…桜子、なにかあったのか?」


そんな俺の言葉に 少し動揺しつつも当然桜子は、

『なにもないよ?それより冨岡さん相変わらず一人でいて面白かったよ!…あ。早く中に入ろうよ!お腹空いたー!』

そう言って気丈に振る舞いながらスタスタと歩いていった。



「…そっか。ならいいんだ」

そう言ってみせたけど、本当は桜子が戻ってきたときから気づいていた。


だって泣いた跡があったから。


でもなんとなく今はあまり深く聞かないほういい。

そう思って、俺もこれ以上なにも言わず

桜子の後をついて行った。













その夜、屋敷で泊まることになった俺達は、

夕食やお風呂を済ませると桜子と禰豆子も
寝るために別の部屋へと案内されていった。

残された俺達もベッドで横になり、
すぐに聞こえてきた伊之助のいびきと共に
俺も目を閉じた。

真っ暗な視界に、


なんとなく思い出すのは桜子の笑顔だった。


あいつは、出会った頃から優しい匂いがしていた。

けど、恋の匂いにも気づいていて、


誰に恋をしているかなんて桜子を見ればすぐにわかった。


善逸の一つ一つの言動に、

いつも笑顔で見守っていた桜子。


だけど、その笑顔はいつもどこか悲しげだった。




「炭治郎〜。お前、起きてるのか?」

すると暗闇の中、隣から善逸の声が聞こえた。


「善逸こそなんで起きてるんだ?」

「伊之助のいびきがうるさくてさー。」


なんとかしてくれよォ〜。そう言って嘆く善逸に、


「…善逸、お前は今好きな人がいるのか?」

そう聞いてみた瞬間、善逸のトーンが変わり、目に見えなくてもソワソワしている様子が伺えた。

「え!お前なんでそんなこと聞くんだよォ〜!そりゃ禰豆子ちゃんが、」

そこまで言いかけた善逸の言葉を遮り、


「例え、桜子がお前のことを好きだったとしても?」

俺がそう聞いた瞬間、
バタバタしていた善逸の動きが止まった。



余計なお世話だったかもしれない。

知らせなかったほうが良かったかもしれない。

間違った選択だったかもしれない。


きっと桜子は怒るだろう。


でも、

もう悲しそうに微笑む桜子をこれ以上見たくはなかった。



「まさかァ〜!俺が禰豆子ちゃんを取ろうとしてるからそんなこと言っちゃってさァ〜!」

そんな俺の言葉にさすがに信じてない様子の善逸。

その後、しばらく沈黙が続いたけどそれを破ったのは善逸からだった。

「…桜子ちゃんはいい子だよ。可愛くてさ、なんかもう!特別の可愛さで!いや、女の子はみんな可愛い!…けど、桜子ちゃんは鬼滅隊だから、」

こんな弱い俺なんかと一緒にいたら、
いざというときに足を引っ張らせてしまうだろ?


そう呟いて笑う善逸に、善逸からも少しだけ悲しい匂いがした。


「それに!俺は禰豆子ちゃんが好きなんだ!!禰豆子ちゃーーーーーん!!」

そう言ってまたもや嬉しそうにジタバタと暴れ始める善逸。



「あーもぅ。こら!善逸!伊之助が起きるだろ!?もう静かにしろよー!」

ジタバタする善逸をなだめながら、


善逸…

善逸は本当は桜子のことが気があるのに、

自分の自信のなさで無理に気持ちを抑えてるのか…?


そんなこと善逸にしかわからないけれど、
なんなくそんなことを思った。





善逸は出会った頃からいつも鬼に怯える匂いがしていた。

最終選別のときも真っ青な顔で怯えてて、

いつも怖さで泣いていた(それは今もか、)

でも、

本当は誰よりも優しくて、頑張っていて、


強いこともちゃんと知っている。

善逸は眠りながら闘うから自分では気づいてないようだけれど。



そういえば、まえに善逸は自分は捨てられて両親はいないと言っていた。

だからこそ、人一倍 家族 というものを
築いてみたいんだなと感じたことがある。

その為か、女の子を見つけるとすぐに求婚を求め
その度にこっぴどく断られ、振られていた善逸。

だけどなぜか、

桜子だけには絶対求婚など容易く求めていなかった。

それは、同じ鬼滅隊で戦友だからと
俺は勝手にそう思い込んでいたけれど、

無意識にもしかしてその時からすでに
桜子だけには

特別な なにかを持っていたのかもしれない。


スヤスヤと眠り始める善逸に、

「お前は自信をもっていいんだ。そして、自分の心に嘘をつくな」


そう呟いて微笑んだ。



…どうか、みんなが幸せになれますように。

そんなことを願って俺も目を閉じ眠りについた。




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