ネット喫茶.com

オリジナル小説や二次創作、エッセイ等、自由に投稿できるサイトです。

メニュー

黄色頭に恋をした。

原作: その他 (原作:鬼滅の刃) 作者: のばのば
目次

嫉妬心と強がり

.



ある日、鎹鴉が飛んできて、


「次ハ北北東ー!北北東ニ向カエー!!」

通達が伝わられた。



『はー。もう次の任務かー。もう少し休みたかったな〜』

「次の鬼は俺が全部倒すからな!お前ら邪魔すんなよ!!」

名残惜しそうに屋敷を後をする私とは裏腹に、
とてもはりきっている伊之助。


「伊之助〜!お前、絶対俺を助けろよ!」

こんな発言のくせにとても威張ってる善逸。





当然、

「うるせー!!俺に指図すんな!!」

なんてボカッと伊之助に叩かれていたけどね。



善逸は、自分の強さに気づいてない。

あんなに強いのに、

『(もったいないな〜)』

確か伊之助にもお前はずっと寝てたほうがいいって言われてたっけ?


なんて思っていると、炭治郎が急に立ち止まり
なにやら匂いで異変に気がついた様子だった。


『近くにいるのね?』

「うん。…あっちだ!!

「猪突猛進!猪突猛進ー!!」

匂い を頼りに、
炭治郎の後をついて行く私達に


「俺を置いていくなよォーー!!」

なんて泣きながら必死に私達を追いかける善逸。




本当にもったいない。笑


なんて改めて思っていると、
上からなにかの気配を感じた。

と、同時に鬼が上から二体も下りてきた。



炭治郎は背負ってた木箱を地面に下ろし、
戦闘態勢に入ってた。

『桜子!禰豆子を頼む!』

「わかった!」

木箱から出てきた禰豆子の手を引いて、

とりあえず2体の鬼から離れて安全なところへ向かった。


『(私が禰豆子を守らなきゃ、)』


そう思いながら炭治郎たちが鬼と闘っている姿に目をやると、


『…あれ?』


炭治郎たちの所には鬼が一体しかいなかった。


『(確かに二体いたはず…)』


え。じゃあ、あともう一体の鬼は…、



「桜子ーー!!」

向こうから炭治郎の私を呼ぶ声が聞こえた瞬間、


後ろからなにか素早い気配を感じた。


それと同時に鬼の攻撃に、

ぎりぎり避けることができた(、危なかった…)

『禰豆子平気!?』

コクコク と頷く禰豆子に良かったと心から安心しながら、

これ以上禰豆子が危ない目に合わないよう私の後ろに回し、

私も戦闘態勢にはいった。





今回の鬼もけっこう手強くて、
なかなか鬼の首を狙うことができなかった。




せめて、誰か一人でも来てくれたら…


…いや。炭治郎たちがもう一体の鬼を倒すまで粘るんだ!


私の攻撃に素早く避ける鬼。

すると避けた先に禰豆子がいて、
鬼はそのまま禰豆子のほうへ向かっていた。

まずい…!

『禰豆子!!逃げて…!!』


鬼が攻撃を仕掛けようとしていた。
だめだ…!間に合わない……!!


と思った瞬間、

素早いスピードで禰豆子の前に立ち、
攻撃から守る善逸の姿があった。


眠っている…。覚醒したんだ。


「…禰豆子ちゃんは俺が守る!!」



善逸の鬼に向けた何気ないその一言に、


…ズキン。


また 胸が 痛んだ。













長い闘いだったが無事二体の鬼を倒し、
今日の任務は終わった。

後から聞けばあの鬼たちは、
鬼舞辻無惨から血を分けてもらっていたらしい(それは強いはずだ)


みんな結構怪我をしていたので、
一旦治療をしてからまた任務を再開することになった。


炭治郎たちがしのぶさんに治療をしてもらっている間、私は一人で同じ水の呼吸を使う冨岡さんのもとへ訪れた。

水の呼吸をもっと自分のものにして、
使えるようになりたい。

もっともっと強くなりたい。


昨日の善逸の言葉が脳裏から離れなくて、

そんな邪念を追い払うように今は必死に呼吸のことだけを考えた。


『(あ、冨岡さんいた。今日も一人だ)』


冨岡さんは何処かに行こうとしてたが、
私に気づいたのか立ち止まってくれた。


『冨岡さん、今日も一人なんですね』

「一人は余計だ」

なんて強がっているのか本気なのかわからないのが冨岡さんだ。

なんて思いながらしばらく水の呼吸について冨岡さんに教えてもらっていた。


一通りアドバイスや訓練のことについて教えてもらっていたところ、

「…お前。今日はなんだかいつもと様子が違うな」

そうボソッと呟く冨岡さんにこの方も感が鋭いと実感した(しのぶさんといいやっぱり柱だけある)


『…そんなことないですよ?私はいつも元気です』

ニコッと笑って見せてみたけど、
冨岡さんにはやっぱりお見通しだ。


「お前は嘘をついてるときは笑顔が下手くそだ」

そんな冨岡さんの言葉に、

『ごもっともですね』

なんだか核心をつかれた気がしてグサリときた。


『…さ、炭治郎たちもきっと治療を終えたと思うから私行きますね!冨岡さん、いろいろと教えてくださってありがとうございました』

なんだかこれ以上冨岡さんといると、

このなんとも言えない気持ちが溢れだしてしまいそうで早くここから立ち去りたかった。


「…桜子」

『、なんですか?』

あ。珍しく私の名前を呼んだ。




「今だけ、つらいならつらいと言え。泣きたいなら素直に泣け。無理をするな」

じゃないと、任務に影響が出るぞ。他の奴らの邪魔になる。


なんて所々、トゲトゲしい言葉だけど冨岡さんなりの優しさで、

ついつい、涙が溢れてしまった。




"禰豆子ちゃんは 俺が 守る !!"


その言葉が本当は羨ましくて仕方なかった。


私は鬼滅隊だから、鬼狩りだから、

そんなことは言われないけれど、


でも 言ってほしかった。


出会ったときは私を助けに来てくれた善逸だったけど、

昨日は間違いなく禰豆子を守るために


来てくれたんだよね。


『…すみません。…すぐ涙、止めますから…』

とめどなく流れる涙。


「…いい。無理をするなと言ったはずだ」


冷たいながらも

そばで見守ってくれる冨岡さんに、


なんだか今日は余計に

私らしくなんていられなかった。




.
目次

※会員登録するとコメントが書き込める様になります。