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白いヴェールを貴方に

原作: その他 (原作:あんさんぶるスターズ!) 作者: 緋
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あんずからの招待状

綺麗な涙だと誰もが思った。




その招待状が届いた日、つい「おめでとう」と、招待状に向かって思わず呟いた人が何人いただろうか。
輝かしい夢ノ咲学院の時代を作り上げた1人であるあんずの結婚式、の招待状だ。それの日程を確認しつつ、片手で携帯をいじる。
朝早くだというのにLIMEは忙しなく通知が来ていることを知らせていた。Knights、と表記されたグループが動いている。

『俺らKnightsも参列するぞ!』
と、始まり
『もちろんですとも、お姉様の結婚式我々Knightsが祝わず誰が祝うというのでしょう!』
『行く』
『もちろん行くわよ!おめかししていかなきゃ!』
と続いていた。
それに盛大に祝ってやろうかと返信する。
結婚かあ、とふと部屋を見渡すとある一点が目に止まった。
そこには使われることなく、綺麗に保存してある指輪ケースが置いてあった。
その時ぶー、と携帯が通知を知らせる。
結婚の招待状を送った本人からのLIMEだ。
夢ノ咲の頃から彼女のLIMEは淡々としたものが多かったが、今回も例に違わず簡潔なものだった。そのメッセージは『瀬名先輩に覚悟はありますか』という一文で括られている。

「覚悟はありますか、ってなにそれ。ちょ〜生意気…。」

「覚悟、決める時なのかもね」



**
『お姉ちゃん、今日会えるの楽しみにしてる』
その言葉に気持ちがさらに明るいものになった気がした。
あたしも楽しみにしてるわ!と返す。
今日はあんずの結婚式だ。
招待状をもらった時からずっとわくわくしていたのだ、夢ノ咲の時からの妹分で嵐をお姉ちゃんと慕ってくれていた。今だってたまに女子会を開いていて、彼氏、いや夫となる人の話も聞いてきたのだ。あの敏腕プロデューサーであるあんずの伴侶である。間違いなく順風満帆な結婚生活が送られることだろう。
Knightsのメンバーと合流してから式場に向かう段取りであった嵐は時計を見てびっくりする。思った以上に時間はせまってきていたのだ。

「やだ、また泉ちゃんにどやされるわ」

立ち上がり鏡をもう一度見直す。朝早くから化粧をして、準備はできている。大丈夫。
携帯がバイブ音を鳴らして揺れる。反射で取ると聞こえてきたのは慣れた声だった。

『ちょっとぉ、なるくん。家の前ついてるから早く出てきな』
「ありがと、泉ちゃん。もう出るから、待って」
『うん』

泉ちゃんと一緒に行く手筈になっているのだ。

「いってきます」

アタシの部屋に、挨拶をする。
可愛くて目に入れても痛くないような妹の幸せを祈らなければならないから。
とびきりの笑顔を。
最後に玄関の鏡に向かってニコリ、と笑って見せた。



「ねぇ、泉ちゃん」
「なぁに。」

泉ちゃんの運転は静かで安心できる。AVから流れるのは洋楽の、この前テレビにも出演していた人の曲。許されない恋こそ燃え上がる、みたいな曲だった気がする。内容も少し侮蔑の言葉が言っているのも外国だからこそ許される歌詞よねェ…とアップテンポの曲に耳を傾ける。

「あんずちゃん、結婚するわね」
「ね。あのちんちくりんがやっと誰かとくっつくのか〜ってちょっと安心したよねえ」
「あら、ちゃんと心配してたのねェ」
「そりゃあねぇ。あいつも俺のかわいいかわいい後輩だから。」

かわいい、を強調した泉ちゃんに思わず笑みがこぼれる。

「泉ちゃんは変わらないわね」
「なるくんは変わったね」

あら、と声を上げる。

「女はいつでも美しく変化するものなのよ、」

何言ってるんだか、と泉ちゃんはハンドルをきった。




アタシと泉ちゃんが式場に着いた時、もうその場は盛り上がっていた。プロデューサーとして有名なあんずちゃんの結婚式、報道陣こそいないものの業界のえらい人や見慣れた夢ノ咲のメンバーが談笑している。そんな風景が目に入った。

「お!セナ!ナル!きたな!」

いつだってこのはちゃめちゃな王さまは変わらない。アタシと泉ちゃんを見てニコニコと笑って嬉しそうに大きく手を振る。
返事をするように手を振りながら近づくと司ちゃん、凛月ちゃんもいる。

「おいっす〜、ナッちゃん、セッちゃん。セッちゃん車なら俺も送ってもらえばよかった〜」
「くまくんは方向逆じゃん。」
「まあね〜世話好きなセッちゃんなら逆でも迎えに来てくれてたかもな〜って、まあ俺にはま〜くんがいるから連れてきて貰ったけど」
「あら、真緒ちゃん車持ってるの?」
「い〜や、バイク。俺のために後ろ乗れるやつなんだよ、俺のためにね」
「めんどくさい彼女みたい」
「え〜、セッちゃんに言われたくなぁい」
「ちょ、なにそれどういう意味!?」

「ナル!お前はこっちこい!」
「鳴上先輩!お姉様には会われましたか?」
「まだよォみんなはもう会ったの?」
「いえ、まだです。今はTricksterの皆さんがご挨拶中です」
「別に決まってないんだけどな〜ユニットごとに行ってるみたい、だから俺達も揃っていこうと思ってさ!セナとナルを待ってたんだ」
「あら、それは待たせてごめんなさいねェ」
「いいよ、俺達もさっき来たところといえばそうだしさ」
「leaderの言う通りです私達もついさっきついたばかりです」

にこり、笑う司に嵐はあらそう?と返してふんわりと笑う。その横でさっきまで言い合っていた凛月と泉の二人が顔を上げて嬉しそうに声をあげる。

「あ、ま〜くんが帰ってくる」
「えっ!ゆうくんも!」

次の挨拶は俺たちが行くぞ!とレオも楽しそうに声を上げた。
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