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少女は小さな夢を見た

原作: その他 (原作:銀魂) 作者: 澪音(れいん)
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11話


「一応聞いておきますが、なぜお2人はケンカを?万が一ですが誤解なさる方もいそうなので」

「誤解なさるかたって誰だよ。コイツが俺の休息所に入り浸ってるってだけで腹が立つから」
「この野郎が気に食わねぇ、それだけだ。だからとっとと出ていけ二度と来るな」

「そうですか、ではお帰りはあちらで…って聞いてもいない」

結局お互いが気に入らないだけじゃないか。
何だったんだ今までの保護者同士の争いもどきは、と奥の板の間でお茶をすすりながら息を吐いた。

甘い展開なんかを期待していた方はごめんなさい、きっとここにはないですそういうの。
「私のために争わないで!」とか。そういうのないんで。あの2人がケンカしているのは単純にお互いが気に入らなくて自分の縄張り的な場所に相手を見つけて怒ってるだけなんで。

頭上を飛び交う座布団に顔すれすれを通っていく木刀と真剣。
女子と呼ばれる生き物ならここで可愛らしく悲鳴を上げればおまわりさんが助けてくれるだろうか。
「助けて~アンパ●マン~」って叫んだら顔面がパンの人が助けてくれるのだろうか。
多分この惨状を見たら後者はそのまま帰っていくと思う。「ちょっと担当外ッスね」とか言って、ちょっとだけ申し訳なさを滲ませて、目の奥では「めんどくせぇ」って感じで帰っていきそう。哀愁漂わせて、こっちが見えるか見えないか分からないくらいのとこで「ぺっ」って唾吐くだろアイツ。
何かムカついてきたぞ。想像の中のパンの人に苛立ちを覚えてきたぞ。何だアイツ。アイツのせいでアンパン食べたくなってきたぞコラ。あ、アンパンって言っちゃった。トイレに行くときマント捲り忘れて大惨事になればーかばーか。…そもそもトイレにいくか知らないけれど。パンの人達はトイレに行くのだろうか。行くとしても食事を取っているのだろうか。どこぞの地下アイドルのように「私はトイレいきません~私から出るのは花びらと宝石ですぅ~」とか言うのだろうか。いやアイツらあれか、中身の具が出るのか。その辺はっきりさせてもらってもいいかな、やな●たか●さん。

「どの道あいつらバイキン●ン以外担当外だし関係ないか」

「何の話してんの?君」

おっと心の声が。


「サラ子って名前なのかお前」

「ぷっぷーお前なに?常連だとか言ってて名前も聞いてなかったの?え?」

「てめぇ…万事屋…」

再びバチバチとし始めたお2人だけれどいい加減帰ってほしい。
そもそもが私関係なくないか。事の始まりは確かに万事屋さんと土方さんがここに来るって事でお互いが怒った?ことが原因だけれども。聞いた感じ、顔を合わせれば喧嘩するのは日常茶飯事みたいだし、何かもう私関係ないと思う。アンパンの人は助けてくれないと思うからもう、助けて未来の人~。猫のロボットの未来の人助けて~。宇●漂流記であのほら、敵に「お届け先は~?」「お届け先はブラックホールゥ~」ってやったみたいにさ。どこで●ドアだしてお2人をどっかに蹴落とすでもいい。それでもワンチャンいい。

「一応言っておきますが」

ことん、とお茶を置いて口を開くと胸倉を掴みあっていた2人分の視線がこちらに向く。
一応声は聞こえていたらしい。帰ってほしいって言っても聞こえなかったのに。聞こえないふりか。

「サラ子は本名じゃありません。万事屋さん達に勝手につけられただけですよ」

「はあ?何でわざわざそんな…ってことは何か?お前もコイツの名前知らねぇってわけか」

「知ってますぅ。けど最近の子は仲がいい子ほど本名では呼び合わない習性にあるっつーからその習性にこっちが合わせてやったんですぅ。本当は知ってるけどね。知っちゃってるけどね~?一から百まで知り尽くしちゃってるけどぉ」

「じゃあ言ってみろや。コイツの名前さっさと言ってみろや」

「はあー?何言ってんのお前。嫌に決まってんだろうが。い・や・で・すぅ~!何でお前に教えてやらなきゃならねぇんだよ。何だ?自分で聞く勇気はないからって俺に教えてほしいってか?本人前にしても聞けないってか?おこちゃまでちゅか?」

「んだとコラァ!?俺も知ってるけど一応!い・ち・お・う!お前がちゃんとした本名を知ってるかどうかの確認をしてやろうとだな」

「じゃあお前から言ってみろや。なんで俺が先に言わなきゃならねぇんだよ。俺の方が付き合いは長いんだから知らねぇわけねぇだろうが。だから俺が確認してやるから言ってみろ」

今度は私の名前でもめ始めたお2人。
こうして見るとこのお2人はそっくりな気がしてならない。
同族嫌悪だろうか。

「せーのな?せーので言えよテメェ。いいなせーのだからな」
「オイオイ待てや。せーのって言い終わったら言うのか?それとも一拍置いてから言えばいいのか?」
「せーので直ぐだろうが。もういいから言うぞ、せーの」

「花子」
「シン子」

「こちらを見ないでください、どちらも違いますから。掠りもしませんから。一ミリたりとも同じじゃありませんから。万事屋さんに至っては神楽さんが最初に決めたあだ名じゃないですかそれ。進化させないでください。」

「照れてんだよあれ。本当はシン子だけど、当てられちゃったのと銀さんに名前呼ばれたことで照れてんだ。だから俺の勝ちな。二度とここに来るんじゃねぇぞ」
「残念だったな、勝ちは俺だ。薬草を生業としている時点で察するべきだったな万事屋。アイツは間違いなく植物が大好きだ、それはきっとアイツの名前にも植物の名前が入っているということ。その中でもアイツにぴったりな名前、つまり花子。お前こそ二度と来るんじゃねぇ」

「もうなんて呼んでもいいからさっさと帰れや」

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