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ラブライブ!〜俺がμ'sのプロデューサー!?〜

原作: ラブライブ! 作者: プリズムの使者
目次

第10話「にこ、アイドルに足りないものってなにかしらね」

にこは1年生の時、スクールアイドルの存在を見つけた。

 昔からアイドルを夢見たにこにとって、これほどやりたいものはなかった。

 誰でもなれるその手軽さから、にこはすぐに行動したわ。

 クラスメートを集めてアイドル研究部を設立。

 スクールアイドルグループを結成したの。

 でも、悲劇はすぐに起きたわ。

 皆、スクールアイドルを遊びのように思っていたの。

 私の求めるアイドル像は皆には厳しかったのよ。

 そして、1人辞め、また1人辞め、そうしてにこは心を砕かれたわ。

 1人でやる選択肢もあった。でも、出来なかった。

 かつて辞めていったメンバーが悪い噂を流して、もう二度とアイドル活動できないくらいのダメージを与えられたのよ。

 そして、私はここでずっと苦しい生活を送っていた。先の見えない真っ暗闇の中漂っていた。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


 そこまで話すと、にこは諦めたような表情を見せた。

「これでにこの昔話は終わり。どう? 私がスクールアイドルをやらない理由、分かったでしょ?」

「いや、全然」

 確かに、にこが辛いのは分かる。でも、μ'sに取り込むためには同情しちゃダメだ。同情したら逃げられるだけなんだ。

「は、はぁ? アンタバカなの!?」

「俺にはスクールアイドルを"やりたくてもやれない"、自分の意志とは別の要因で阻まれたかわいそうな話にしか聞こえなかったんですよ」

 にこの過去を全否定して吹っ切れさせなきゃいけない。それがマネージャーとしての俺の務めだ。

「何を言って……」

「今まで辛かったんですよね? 矢澤先輩」

「……」

 にこは黙りこくる。そして涙を流し始めた。感極まったのか、ただ悲しいだけなのか。

 分かりかねるが前者だと信じたい。

「もう苦しまなくていいんですよ。あなたはもう一度スクールアイドルとして活動できる。中傷なんて気にしなくていいんです」

「アンタに私の何が……!!」

 にこは俺の胸に飛びかかった。そして大泣きし始めたのだ。

「俺が守りますよ。μ'sのマネージャーの俺が。それにあなたはもう一人じゃない。μ'sが側にいます」

「……」

「μ'sはあなたの理想を受け入れられるだけのタフさもあります。着いてきてください、証拠をお見せします」

 俺はにこを屋上へと連れて行った。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


 一方、穂乃果たちは腹筋をしていた。

「ほらほら、どうですか!? 後252回!!」

「キツイよ海未ちゃんっ!!」

 海未のあまりのスパルタさに穂乃果が悶絶している。

 そんな様子を偶然俺とにこは目の当たりにしたのだ。

「ほら、どうです? タフでしょ? μ'sも」

 俺はこれでμ'sのことを分かってくれたかな?なんて思っていた。

 にこは分かっていたどころかさらに意見したくなったようだ。

「……ちょっといいかしら」

 にこは穂乃果たちに駆け寄る。

「アンタ達、今は腹筋をするべきじゃないわよ」

 その言葉に穂乃果たちは唖然とする。

「……?」

「アンタ達に足りないもの……それは客を楽しませる心遣いよ!」

 にこはそう堂々と言い放った。その言葉に穂乃果たちの心が突き動かされる。

「アイドルは自己満足じゃないのよ! それはスクールアイドルだって同じ。アイドルを名乗るからには皆に笑顔を届けなければならない!」

 にこは持論を展開していく。皆がそれを食い入る様に聞く。

「今から私がアンタ達を叩き直してやるわ。この矢澤にこが……μ'sの新メンバー矢澤にこがね!」

「は……はいっ!!」

 穂乃果たちはにこからアイドルの心得を学ぶこととなった。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


 にこが最初に論じたこと。それは……。

「まず、キャラ作りからよ!」

「キャラ?」

 穂乃果たちは首をかしげる。それも無理はない。

 今までありのままの姿を晒し続けてきたのだから。

 人によってはウケるためにキャラを作る必要もあるのだ。それはもっともな話だ。

 ただ、穂乃果たちに必要かと聞かれれば必ずしもそうとは言えないのだがな。

「これはアイドルに大事なことよ。自分に相応しいキャラをチョイスしてお客さんを喜ばせるの! 例えば……」

「例えば……?」

 にこはふいに後ろを向いた。そして次の瞬間、満面の作り笑いを見せこっちに向かって振りを見せた。

「にっこにっこにー! あなたのハートににこにこにー。笑顔届ける矢澤にこにこー。にこにーって覚えてラブにこっ」

 か、かわいい……!!だがしかし、さっきとのギャップがものすごい。

「どうよっ! これがキャラ作りよ」

 にこは達成感のあるドヤ顔でそう言った。

 これに皆も感極まったかと思いきや、皆が皆明後日方向を向いて無反応を装っていた。

 どういうことだ。めちゃくちゃ可愛かったじゃないか。

 これに焦ったにこは無理に話を続ける。

「ま、まだまだねアンタ達も! いい? これくらいできてようやく一人前のアイドルなのよ! ほら、そこのつり目のアンタ! やってみなさい!」

 つり目の人――真姫ちゃんは突然そう言われ思わず文句を飛ばす。

「い、嫌よ! なんでそんなこと!」

 仮にも先輩だぞ、真姫ちゃん。

「つべこべ言わずに……!」

 そうにこが強面で真姫ちゃんに近寄る。怖いっての。

「に……にっこにっこにー?」

 真姫ちゃんは顔を赤くしながらそう言った。あまりの恥ずかしさに今にも倒れてしまいそうだ。

 かわいい。
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