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勘違いパワハラ

ジャンル: その他 作者: rodann
目次

自信喪失

今日は、まさかの課長と一緒に営業へ行く事となった。
緊張どころの話じゃない…この人の前で失態など…到底許される事では無い。
僕はこの人のサポートをしっかりと行わない限りは…この人の立ち位置すらも僕が奪ってしまう可能性も…。

薫「えー…この案件なのですが…。」

取引先重役「ふむ…成る程…。 他にその…資料があれば宜しいのですが…。」

薫「あっ、はい、分かりました。 浅川君、資料。」

祐介「えっ、あっあの、あ…はい!!」

ガサガサ…

僕は課長から言われ、鞄の中の資料を取り出す。

パサッ!!

何事も無く取り出せた。
が…?

薫「あの…浅川君…。 これ違う…。」

祐介「えっ? あっ…!!」

何と良く見れば、僕の取り出した資料は全く別の資料だった!!
まさかの失態…。

祐介「あっ…あの…すいませんでした!! えーと、どの資料だったかな…?」

取引先重役「あの、そんなに焦らなくても大丈夫ですよ。」

祐介「あっ、申し訳ありません!!」

何と…取引先の重役さんから…フォローを入れられる始末…トホホ…。
目的の資料を探すにも焦りに焦って…探す物も探せなくなってしまってる…もはやどうしようも無い…。
と…。

薫「もうっ…!!」

ガバッ!!

祐介「あっ…!!」

僕がモタモタしている間に、課長は資料の入った鞄を強引に取り上げてしまう。
課長は少し苛立つ表情で資料を探してしまう…。
僕がモタモタしてたせいで…こんな事に…。

ガサガサ…

薫「あっ、こちらです。 この資料です。」

パサッ

課長はいとも簡単に目的の資料を見つけてしまう。
これで確実に僕自身が足を引っ張ってしまった事は確定だろう。
失態を犯さないと言っておきながら…やってしまった…。
しかも…こんな取引先との大事なやり取りの前で…!!

僕はもう…ダメかもしれない…。

課長の立ち位置を僕が壊してしまうのか…!!
何でこんな事になるんだ…!!

そして、その次の取引先でも…。

祐介「えーと…この資料…だっけ…? あれ…?」

薫「…。」

その次も…。

祐介「あっ、見つけました! これです!!」

ビリッ!!

祐介「あっ!!」

薫「…ちょっと…。」

祐介「…すいません!!」

と他の所でもやってしまい…散々な結果だった…。
その度に…課長は勿論の事…取引先の人にもフォローを入れられる始末…。
僕は…もう、ダメかもしれない…。
挙げ句の果てには…大事な資料を破いてしまうなんて…替えが有ったからその場は何とかやり過ごせたけど…あんなの絶対やっちゃいけない事だよ…。

とそんなこんなあって…
僕と課長は一緒に歩いても…距離を置きながら歩いている気まずい状況…。
そりゃあんな結果になりゃ、気まずくもなる…。

それよりも心配なのが取引先のその後だ。
僕の失態で、取引が無しにならなければ良いけど…もしなったら…間違いなく僕は100%解雇は免れないが、問題なのが課長。
あんな光景、誰が見ても…ダメな社員を育てることが出来ない無能の上司って画だもん…!!
下手したら…課長も連帯責任でクビって事も…!!

そうなったら…僕は完全に会社を壊したブラック社員のレッテルを貼られるな…。
あぁ…もう解雇へのカウントダウンが始まってるなこりゃ…。

こんな気まずい状況の中で僕と課長は会社へと戻り、オフィスの自分の席へと戻った。
すると…

薫「浅川君。」

祐介「ひっ!! は、はい…。(どうしよう…けど…あれは全て僕の失態!! こうなったら腹を括れ、浅川祐介!!)」

机に鞄を置いた直後、課長から突然話しかけられ、僕は説教覚悟で腹を括る。
僕が課長の元へ行くと…課長の表情はかなり険しかった…。

薫「ねぇ…あの取引先への行動は一体何だったの?」

祐介「…はい、自分がモタモタしてたからです。」

薫「…。」

僕は言い訳せず、あの時の状況の原因が自分だと潔く話した。
それを聞いた課長はさらに顔を険しくさせる…。

祐介「(どうしよう…僕はまさか間違った事を喋ってしまったのか…? だが…言い訳したら…それでこそ社会人として失格だ…。 出来ればそんな事、したくないよ…。)」

心の中で、不安と戦う僕では有ったが、それでも課長の険しい表情は一向に収まらない…。
そして…

薫「浅川君…貴方ね。 あんな行動したら、相手方何て思うのか分かる? あれじゃ、貴方がまるでダメな人間に思えてならないの、そんなだったら何もかもダメになるわよ? 分かってる、貴方、何の為に大学出たの?」

と課長からの辛辣なダメ出しを食らう。
予想はしていたが…それでも心には結構来る…だが、これも僕自身が行ってしまった行為に問題が有るからだ、受け止める事しか今の僕には無い。

祐介「…仰る通りです。 課長の尽力有ってこそ…その場を何とか出来たものの…僕だけならば…取引を破棄されても文句は言えません…。 段階を踏まなかった僕の責任です。」

僕は、課長がいなかったどうなっていたのかというのを課長に伝えた。
事実、僕だけだったら…取引が破棄されてもおかしくない状況だった。

薫「んん……分かったわ…今回はこのくらいにするわ…。 早く自分の席に戻って。」

祐介「はい。」

と、課長は何か言いたそうな顔をして僕を席に帰した。
席に戻った僕は

祐介「(僕は、この会社や仕事…向いてないのかな…。 だからなのかな…面接で沢山落ちたりしたのは…。 次、どうしよう…。)」

僕は会社を辞める事を考えてしまう。
次第に自分の自信というのが段々と薄れてきてるような気がしてきた…。
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