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ペルソナ5:OXYMORON……賢明なる愚者へ。

原作: その他 (原作:ペルソナ5) 作者: よしふみ
目次

第九十六話    『情報を求めて』


『年寄りだからな。昔のことは覚えているが、最近のことは思い出しにくい。オレそのもが、幽霊みたいな虚ろな存在なんだ。新たな情報を記憶することは、難しいんだよ』

『そうか。残念だな……だが。安心しろ。我が輩たちも、動いているんだからな!』

『……情報があるのか?』

『怪談話に詳しそうな教師と、本があるようだ。それらを放課後、我が輩のパートナーと調査してみる』

『分かっていると思うが、夜になれば呪いは深まる。その調査とやらは、夜までに済ませておくことをオススメする』

『放課後まで、待つことになるだろうがな』

『学生生活との両立を考えるわけか』

『うちのジョーカーは『引き』がいいんだ。授業や学園生活をしているだけでも、何かを見つけるかもしれない』

『……どこかで聞いたようなハナシだ』

『お前の相棒のことか、ゴウト?……ライドウって言ったな。ジョーカーと、少し似ている雰囲気を持っていたぞ』

『アイツも、お前の言うところの『引き』が強かったのは確かだな。厄介事と幸運のどちらもが勝手にやって来るようなヤツだった……』

 センザンコウが遠い目をしながら、校長室の窓から春の空を見つめていた。さみしげに?……いいや、そういうわけでもないようだ。彼の瞳は、どこか力強さが存在している。

『信じているんだな』

『……何をだ?』

『あの葛葉ライドウってヤツが、お前の期待通りの人生を送ったということをだよ』

『フフフ。そうだな、アイツには、本体のオレがついていてやったハズだからな。良い悪魔召喚師となっただろう』

『だろうな。ジョーカーに、似ているヤツだ。大成したに決まっている。さてと。それじゃあ、我が輩は行くぜ。そろそろ、放課後になっちまうからな』

『術のかけ方が悪かったな。時間をずいぶんと消費させてしまった。本来なら、現実で過ごす時間は一瞬のあいだで完結するのだが……』

『問題ない。我が輩が欲しかった情報は、手に入った。とにかく、今は、『十字架』を探し出すために、七不思議の残りを探るとする』

『頼んだ。オレは、この場で待機しておく。使える力は多く残されてはいないからな。お前たちの行動に、大して力を貸してやることも出来ないかもしれないが……状況に進展があったら、また来てくれ。それまでに、オレも情報を思い出せていたら良いのだが』

 センザンコウ―――こと、ゴウトは口に十字架の一つを咥える。そして、モルガナはペルソナを使う時のような集中力をゴウトに感じ取った。十字架が、水色の光を数秒のあいだほど帯びていた。

 ゴウトは、その作業が終わると、モルガナの足下に十字架を投げた渡した。モルガナは、鎖のついたそれを口で持ち上げると、頭をくねくねとさせて首へとかけた。

『似合っているぞ』

『やめろよ。コレ、呪われた道具なんだろ?』

『ハハハ。まあな。調査、頼んだぞ、ペルソナ使い……いや、怪盗団のモルガナよ』

『わかった。それじゃあな!』

 モルガナはそう言い残して、校長室を後にする。

『……ふむ。ちょうどいい時間になってきたな……と』

 掃除の時間なのだろう。生徒たちが掃除道具を持って、廊下を歩いていた。モルガナは、物陰から物陰へと、素早く飛び移りながら、生徒たちの視線を回避しつつ校舎から抜け出していた。

『蓮たちと、合流したいところだな……っと。タイミング良く現れやがるぜ。さすがは、蓮ってところだな!』

 モルガナは通学カバンを持っている蓮に接近していった。しかし、蓮のとなりにいた城ヶ崎シャーロットに抱き上げられた。

「モルガナだー!お帰り、収穫あった?」

『あったぞ。とっておきの情報がな』

「そかー。こっちもね、委員長のおかげで、例の怪しげな本を借りてもらえるらしいよ」

『図書館にあったわけだ』

「元暮らしナントカさんだよねー」

『灯台もと暗しのことか?』

「それそれ。合ってるよね?」

『ああ。合ってるぞ。さてと、城ヶ崎。我が輩を蓮のカバンの中に入れてくれないか?このままだと、目立って仕方がない』

「そだね。はい、レンレン、カバンをオープン」

「了解だ」

 通学カバンは開かれた。城ヶ崎シャーロットはそこに、モルガナをやさしく入れてやった。モルガナは、カバンのなかで体を動かし、ベストフィットする体勢を見つけ出す。

『よし。じゃあ、新聞部に行こうぜ。手に入れた情報を、共有しながらな』

「りょーかい!」

「行くとしよう」

 三人は放課後の校舎を移動する。新聞部の部室は、理科室などがある棟の二階にあった。

 『おいでませ、新聞部!!』

 新聞部の看板?が、廊下の一部に立っていた。

『なんだこれ?……独特のセンスだな。おいでませって、観光地じゃあるまいし』

「日本の学校の新聞部って、どこもこんなノリじゃないの?」

「そんなことはない」

『そうだ。我が輩も、そんなに学校に精通しているわけじゃないけど。これは無いわー。なんか、ダセーしな』

「うーん。言われてみると、ダサいかもしんない」

「……どうあれ。七不思議の情報を持っているかもしれないんだ」

『そ、そうだな。ドン引きしてないで、接触してみようぜ』
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