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ペルソナ5:OXYMORON……賢明なる愚者へ。

原作: その他 (原作:ペルソナ5) 作者: よしふみ
目次

第七十九話    モルガナの決意


「せーんざんこーう……っ。センザンコウ……っ。センザンコウ……っ」

 スマホにその名前を入力してみる城ヶ崎シャーロットがいた。そこに現れたのは、不思議な動物であった。

「ウロコがヨロイみたいに硬そうでびっしり生えているけど……えー……トカゲじゃなくてほ乳類なんだ。変な生き物って、いるんだねえ。ほら、見て、レンレン、ほんとうに変な動物だよ、センザンコウ」

 城ヶ崎シャーロットのスマホの画面には、たしかに爬虫類にも見える不思議な動物が映し出されていた。

「……そうだな。たしかに、不思議な見た目の動物だな」

「だよね。しかも、これが吸血鬼だったりするんだよー……そりゃ、怖いよね。話題になりそう。ほら、見てよ、モルガナ」

『ん。おー……ホントだ。これは、変な生き物だな……って。分かったから、双葉の情報を読もうぜ?』

「そうだな」

 『いいか。他の七不思議については、今のところ見つからない。他のアングルから追跡するのは難しいかもしれない。だから、例の学者の本が、唯一の手がかりかもしれないんだ。だが、蓮。認知が進めば、それだけ七不思議の力に迫ることになる。二人だけじゃ、戦力が足りないんじゃないか?……土日になれば、私たちもそっちに駆けつけることが出来るぞ。まあ、蓮なら分かっているとは思うが……とにかく、ムチャはするなってことだからな!』

「……レンレンってば、愛されているなー」

「まあな」

『……メッセージを送って、安心させてや』

「ああ」

 『モルガナもついている。ムチャもしないから安心しろ』

 『わかった!本当にムチャするなよ!』

 ……即レスだ。心配をかけすぎているのかもしれない。七不思議について調べていくことで、イヤな予感を感じているのだろうか?

「……レンレン。そろそろお昼休みが終わっちゃうよ?」

「そうか。モルガナ、どうする……?」

『……我が輩は、学園内を散策してみる。校長室だかにあるとかいう、センザンコウの剥製を探ってみたい…………しかし、今もあるのかな……?』

「校長室に行ったことないから分からないなー……」

『よほどのコトじゃないと、生徒が行くような場所じゃないのは確かだな。とにかく、探ってみる……じゃあ。放課後、ここに集合でいいか?』

「頼んだぞ、モルガナ」

『ああ。蓮も、委員長とやらに、例の本を借りられるかどうかを確かめろ。本の名前って……?』

「……これだな」

 蓮はスマホのメッセージを確認して、その本の名前を読み上げる。

「……『学園七不思議完全ファイル90’』……」

「うわー。うさんくさい……タイトルだね」

『まったくだが……双葉がコレしかなさそうだって言うんだから、きっと我が輩たちの調査の参考になる本ってのは、コレしかなさそうだ……』

「委員長に頼みにくいかも。かなり怪しいし……でも、まあ、聞いてくれるよね?私にセクハラめいた質問したわけだし」

『セクハラ?……委員長なのにかよ?』

「いや。元々は、私が誤解させちゃっているせいじゃあるんだと思うケド……とにかく、そっちは頼んでみる。モルガナ、さっきみたいに七不思議に遭遇するかもしれないから、注意してね?……あっちの世界に連れて行かれるたら、レンレンと離れ離れにされるよ」

『……うむ。ちゃんと引き際は心得ている。とにかく……放課後にまたここでな』

 蓮と城ヶ崎シャーロットは、モルガナを見つめながらうなずく。

 電子音仕掛けの予鈴がなったのはそのときだ。あと10分で授業が始まる……蓮と城ヶ崎シャーロットは急ぎ足でこの場所から去って行く。

 そんな二人を見送りながら、モルガナは青く晴れた空を睨んだ。

『……普通の予鈴は、鐘じゃないな……まったく、分からないことが、多すぎるな。どんな条件で、我が輩たちは七不思議に遭遇しているんだろうか……どうして、我が輩たちが狙われる……?蓮が特別な力を持つからか?……分からんな』

 だが、そういうときの対処法をモルガナは知っている。足を使って情報を手にするのだ。とりあえず今は、センザンコウだ……それを調べることで、事態解決の糸口を掴みたい。何か法則性を見出すことが出来れば、双葉や真に相談すればいい。すぐに情報を分析して、何かしらの答えを見つけてくれるはずだ。

『……よし。校長室だな……生徒たちの入る下駄箱空間とは違う場所にある玄関……そこから入れば、すぐに見つかるだろう。おそらく1階だろうな……』

 モルガナは校舎をじーっと観察する。大きな玄関がある。来賓客とかを迎え入れることに適していそうな玄関……きっと、あそこの近くに校長室がある。モルガナの勘がそう告げいていた。

 猫の脚は軽やかに動いて、その場所を目掛けてモルガナの体を走らせていく。桜の花びらが、春風に舞う、穏やかな午後の陽光を浴びながら、モルガナは校庭の際を走る道を駆け抜けていく……。

 モルガナの心は使命感に燃えていた。

『……吉永比奈子。待っていろよ。死者が苦しみながら暴れてるなんて状況は、異常なんだ。この状況を解決して……お前を、天使サマとやらから、解放してやるからな』

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