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ペルソナ5:OXYMORON……賢明なる愚者へ。

原作: その他 (原作:ペルソナ5) 作者: よしふみ
目次

第七十六話    分析しよう


「逃げるように消えたって……どういうこと?」

「……異世界か」

『さすがだな、蓮。我が輩と同じコトを考えているみたいじゃないか』

「……んー?……どういうことなの?」

『異臭の発生源は、こちらの世界に出ようとしているんだろうよ。本体は、吉永比奈子たちと同じように、あっちの世界に在るんだと思う。それが、時々、こちらの世界に出ようとしていた。だから、臭いがしたんじゃないか?』

「で、出て来ようとしているの……?」

『そんな気がする。吉永比奈子だけじゃないのかもしれない。天使サマとやらの力に影響されているのはな……』

「……何が、起きているのかな?」

『ペルソナ使いが介入している。異世界に干渉する力を持った者など、そうはいないだろうからな……』

「……気になるのは、5人の生徒が臭いに気づいていたということだな」

『ああ。もしも、昨日の我が輩たちみたいに、『七不思議を体験・認知』することが、異世界へ誘われる条件だとしたら?』

「そ、その5人の子たちも、あっちの世界に行っちゃう……?」

「可能性はあるだろう。オレたちがあの異世界に縁を持ったとすれば、あの鐘の音を聞けたからだ」

『……他に、おかしなコトは無かったハズだぜ』

「じゃあ、その子たちにも教えてあげなきゃ?」

「言ってもムダだ」

『そうだぜ。相手にしてはもらえないだろう』

「でも?」

「安心しろ。何もしないワケじゃない」

「何か、手があるんだね、レンレン?」

「ああ。異世界ナビを使う」

 蓮はスマホの画面を城ヶ崎シャーロットに見せるのだ。そこには、あの謎のアプリ、異世界ナビが存在している……。

「これを使えば、異世界に行ける。昨日の世界に、オレたちは先回りして潜入することが可能になるんだ」

『我が輩たちに出来るのは、後出しの救助活動だけじゃないってことだぜ。攻め込んでやるんだ。七不思議の怪物どもが、こっちの世界に影響するよりも先に、ぶっ倒しておく。そうすれば、安全だろう。ヤツらも、万能じゃない』

「……そっか。戦って、倒す。そうすれば、安全……で、でも。レンレン、モルガナ。幽霊って、退治することが出来るのかな?……なんていうか、『再生』したりしない?」

『……それは、よく分からんな。だが、人死にが出る可能性もあるんだ。積極的な予防の意味も込めて、七不思議の怪物たちを倒しておくっていうのも有りだぜ』

「……うん。そうだね。ああ……レンレンたちのお手伝いを出来ないのが、残念だよ。私も、そういう魔法少女的なパワーとか、湧いて来ないかな……?」

「その気持ちだけで嬉しい」

「そ、そう?……でも、役に立たないのは、何だか辛いよ」

『役に立ってもらうさ。七不思議……いや、怪談ってのは、夜に動くモノだろ?……そういう認知が世間一般にある以上、ヤツらもおそらく夜に活動的になる』

「……難しくてよく分かんないけど、夜行性ってことだね?」

「そういうことだ」

『……ああ。ホントそうだ。ヤツらは夜行性。しかも、丑三つ時……夜中の2時あたりが活動のピークなんだろう』

「どうして、分かるの?」

「その時間に城ヶ崎のことを殺そうとしていたからだ」

「……うわ。ちょっと、背筋に冷たいの走った……っ」

『……つまり、我が輩たちが予防的にヤツらを攻撃するのは、深夜二時より手前で十分だろうということだ。城ヶ崎の傾向を踏まえれば、七不思議を認知してしまった生徒が眠ると、あっちに引きずり込まれるのかもしれないな』

「寝ちゃうと、あっちに引きずり込まれる……うん。そうかもしれない。私、あっちに引きずり込まれた記憶とかないもん。寝てたら、そうなるよね……?」

「ああ。予想の範囲を抜けないが、間違っている方針だとは思えない」

『そうだ。我が輩たちは夜中に動けばいい。そして……その時間が来るまでは、調査するための時間が取れる』

「……七不思議について、調べるんだね?」

『そういうことだ。何でもいいから、調べてみるぞ。とりあえず、今日の放課後は新聞部にも接触するぜ……そして、隈元先生っていうじいさんにもだ。新聞部の顧問なんだよな?』

「そのハズだよ」

『……昼休みもそろそろ終わっちまうから、今から隈元先生ってのに会いに行くのは難しいかな』

「……情報源は他にもある」

 蓮がつぶやいた瞬間、蓮のスマホがブブブ!と震えて、メッセージの着信を告げていた。

『……双葉からのメッセージだな?』

「ああ。そのハズだ」

 蓮はスマホを画面を操作する。やはり、双葉からのメッセージが来ている。

 『よう、蓮。情報収集は進んでいるか?……裏サイトとか、怪談系の怪しげなサイトを探りまくっていたら、信憑性の評価が難しい情報なら、幾つか見つけてやることが出来たゾ。そっちの事件の解決に役立つのかは、私には何とも言えないが、まとめておいてやったからな』

『さすがは双葉だ。頼りになる』

「……双葉さんって子は、やり手だなあ。レンレンの役に立ち回りだよう……尽くすタイプの子?」

「そうかもしれないな」

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