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ペルソナ5:OXYMORON……賢明なる愚者へ。

原作: その他 (原作:ペルソナ5) 作者: よしふみ
目次

第六十話    バス通トーク


『……時間的に、アレが乗るべきバスだろうな。蓮、城ヶ崎、バスが来ている。さっさとバス停に行こうぜ』

「うん。遅れると大変だもんね。そして、今、私、ちょっとだけ走りたい気持ちがあるんだよ、仮免・怪盗として、脚力ぐらい鍛えておきたいよーな気持ちになってる!」

『前向きでいいコトだけど、転けちゃ危ないから止めておけ』

「そう?そうだよね、二日連続でケガするのも、バカ過ぎるもんね」

「……捻挫は?」

「ん。大丈夫。痛みは完全に無い」

「そうか」

『応急処置が早かったおかげだな。だが、ケガしたばかりの脚で走り回るもんじゃない』

「だよねー」

『幸い、バスに乗るヤツが何人もいる。ちょっと急ぎ足で行けば問題はないさ』

 モルガナの言う通りだった。少しばかりの早歩きで、バスに乗り遅れることはなかった。車内は聖心ミカエル学園の生徒と年寄りでいっぱいだ。狭苦しいが、城ヶ崎シャーロットのための座席は確保することが出来た。

「悪いねー、私ばっかり。レンレンはモルガナも背負っているのになー」

「いいんだ」

「紳士。レンレンってば、本当に紳士だね。下心とか、ある?」

「あるかもな」

「うわ。ハッキリと言われちゃった。ど、どんなお返しを要求されちゃうのか、シャーさん、ドキドキするよう……っ」

『……はあ。そういうの自分の口で言わない方が良いと思うぜ』

「そうかな?」

『照れた顔してうつむいてるぐらいが丁度いい』

「モルガナ恋愛講座だっ。男の子目線だから、勉強になりそうっ。男の欲望は、乙女にはイマイチ分からないからね!」

「それは良かったな」

「うわ。レンレン、興味低くない?もっと、シャーさんの乙女心に興味津々モードでもいいと思うんですけれど?」

『どこか残念な雰囲気を持っているんだよな、城ヶ崎は』

「残念……っ。むう、ときどき、お耳に入って来る単語だなぁ……」

 バスの窓から晴れた朝の空を見つめながら、城ヶ崎シャーロットは憂いの表情を浮かべていた。残念、美少女に生まれてしまった城ヶ崎シャーロットには、どうしてだかその評価が付きまとう。オタクだからだろうか?

 ……いや、オタクが売りのアイドルだっているわけだし、どうなのかしら。

「……そもそも世界で一番のアニメや漫画オタクの国だし、そこら中にオタクとかいるわけだし……」

『何をブツブツ言っているんだよ?』

「え?……クールジャパンについて考察しているの」

『もう今年は受験生なんだから、アホなこと考えているなよ?単語帳でもチェックしていたら良いんじゃないのか?勉強用のアプリとかもあるんだろ?』

「マジメだ」

『悪いか?せっかく、勉強することが出来る機会を与えられているんだ。しっかりとこなせよ。蓮なんて、かなり勉強が出来るぞ』

「レンレン、眼鏡っ子だもんね。知性の象徴、眼鏡をかけているもんね!」

「まあな」

『まあな、じゃねーし!眼鏡どうこうじゃなくて、ちゃんと集中して勉強しているかどうかだ』

「大丈夫。英語だけは得意だから、大丈夫」

「さすがは帰国子女だな」

『……杏殿と同じパターンか。帰国子女って、基本的に賢そうなイメージなんだがな……』

「ヒトはヒト、自分は自分だよ」

『前向きに己の不甲斐なさを肯定するもんじゃねーぞ……』

「モルガナはマジメだよね。でも、分かってる。シャーさんも勉強しなくちゃね!……レンレン、勉強とか教えて」

「いいぞ」

「やった。あ。ちゃんと、私も報酬を支払うからね!」

「エッチなヤツか」

「うひゃあ!ま、真顔で言わないで!?ち、ちがうからね!?」

「そうか」

「冷静だな、もう。ホント、シャーさんの乙女心、弄ばれている……っ。ほ、報酬っていうのはね、そうじゃなくて、喫茶レンレンの出来をレポートするバイト!」

「どういうことだ?」

「レンレンの淹れてくれるコーヒーとか、レンレンの接客態度に対して、私が受けた印象を逐一報告するんだよ。そしたら、レンレンの喫茶店スキルに磨きがかかるじゃない」

『……つまり、城ヶ崎は蓮に接待されるだけじゃないのか?』

「ち、ちがいます。ちゃんと、レンレンに還元することになりますから?き、貴重じゃありませんか?私みたいな現役女子高生による、生の意見をfeedbackすることにより、素敵なskill upが可能となっちゃうんですよ!」

『うう。会話に混じる英単語の発音が良いと、一瞬、賢そうに聞こえるなぁ……』

「そうだな」

「ダメ?」

「構わない。だが、勉強もしっかりするぞ」

「は、はい。お手柔らかにお願いします。ワタクシ、不得意科目多イデアリマース……」

『いきなり片言になるなよ?』

「いえ、ハーフですもの。そんなことになっちゃうことだってありますよね?」

「普段のしゃべり方のほうが可愛い」

「ぐはっ!?……レンレン、真顔で見つめながら言うから、ズルい、照れちゃう……さすが、そこそこモテモテのレンレンだぜ……ッ」

『もっと可愛く照れることが出来たら、城ヶ崎はモテモテなんだろうに。不憫な子だぜ』

「ふ、不憫って言われた……っ。うー、いいもん。本当の私を好きになってくれる子を選ぶもん!」

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