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ペルソナ5:OXYMORON……賢明なる愚者へ。

原作: その他 (原作:ペルソナ5) 作者: よしふみ
目次

第三十七話    近況報告

 風呂上がりに食べるルブラン・カレーは最高だった。怪盗団のメンバーとSNSを交わしながら、ゆっくりとカレーを食べていく。行儀が悪いが、至福の時ではある。

『けっきょく、双葉はマンガ研究会……ってのに、入ったらしいぜ』

『そーだー、私は、同好の士を得たぞー!!みんな、眼鏡フレンズでもある!!』

『部活動かー、私はそういうのしてないのよね。モデルの仕事のために、鍛えてるぐらいだけど?』

『モデル……ふむ。絵のモデルを、探さなければな』

『モデル。祐介は本当にマジメというか、流れを読まないわね』

『真に言われるか』

『え?私、流れ読んでいると思うケド……?』

『真は、合気道の達人だしなー』

『合気道って、相手の流れを読んでブン投げるような武道なんだけど……』

『深読みすんなっつーの。それで、春はどんなカンジ?』

『そうだね。大学生って、自分で受ける授業とか選べるから、ワクワクというか、ちょっと混乱はする。自主性が重んじられてるカンジ、かな?』

『マジメなコメントだー……』

『竜司に杏も、進学のためにも成績を上げるようになさい』

『わかっちゃいるけど、そう簡単に上がってはくれないのよね。英語があるから、助かっているけど』

『オレは体育が……って、そんなもん受験には役立ちそうにねえなあ。ぶっちゃけ、就職も有りかもって思ってる』

『個人の選択だしね。それも悪くはないけれど、目先の目標が無いなら、とりあえず勉強しなさい』

『真がマジメ過ぎる……マザーみたいだ』

『双葉、からかわないの。私は子供いるような年じゃないわよ?』

『おけー』

『それで。双葉、学校はどうだったの?』

『まあ、シュージンは悪くないぞ。同好の士も出来たし……頑張るためのモチベーションもあるんだ』

『そうなんだね。双葉ちゃん、学校に適応しているようで、良かったよ』

『春は癒やしだなー……で。蓮は?』

 ……蓮は今日、起きたことをかいつまんで説明した。

『女の子を家に招くか……さすがは、オレたちのレンレンっていうか……』

『やるな。さすがだぞ』

『……え?褒めるところなの?ていうか、その子もちょっと迂闊というか……』

『蓮、エッチなことをしちゃダメだぞ?』

『え、えっちなことって……いきなり初日で、そんなことはしていないよね、蓮くん?』

『してない。モルガナもいるしな』

『モナがいなかったら、あんなことやこんなことに!?つ、通報だーっ!!』

『落ち着けって。まあ、いいじゃないの?オレたちのレンレンが、故郷で楽しく過ごせそうってんならさ?』

『そうだ。故郷で受け入れられないのではないかと、心配していたんだぞ?』

『まあ。それはそうよね。たしかに、そこはちょっと心配だったから、安心した』

『……でも。不純異性交遊は、元・生徒会長としては見過ごせないわね。エッチなことは、しないように』

『了解した』

『……あー。こえーよ。レンレンの恋愛が、真に遠隔管理されてる……』

『……うむ。少し、怖いな……』

『男ども、黙りなさい』

『……すみません。真サンは怖くないです』

『……ああ。真は、正論を語っている……しかし、本当に故郷で受け入れられて、良かったぞ』

『心配をかけたな、祐介』

『フッ。なあに、お前の器用さは知っている。ヒトを引きつける魅力を持っていることもな』

『そうだね。蓮くんは、私たちのリーダーだった。皆の心を惹きつけられるもの。だから、きっとそっちでも大丈夫だね』

『ああ。春も元気そうで良かった』

『うん。皆、順調なスタートってカンジかな?』

『そーみたいだー。私も、オタクな友だちが出来て、学校生活がワクワク!』

『部活動だけじゃなく、幅広い人間関係を築けるようになるのも、学校生活で学び取るべきことですからね』

『わかってるよー。でも、まあ、リハビリの一歩目じゃん。私の社会復帰の』

『そうね……でも、双葉は賢いし、趣味の合う友だちもいれば、大丈夫。問題なのは、竜司ね。バカだもの』

『ストレート過ぎるだろ!?』

『たしかにな』

『こら、蓮。同調するんじゃねーよ!?』

『あはは。竜司、勉強を見てやろうか?』

『うぐ。新入生だけど、双葉の方が絶対に賢いって分かるのが情けねえ……ッ』

『勉強あるのみだよ、竜司くん。私が使っていた参考書とか、送ってあげるね』

『ああ、春はやっぱり癒やしだな……でも、まあ……オレの学力はともかく。皆、それぞれの新生活に適応できてるようで、何よりだよな!』

『そうだよね!……離れ離れになっているのは、さみしいけれど。皆が、今日あったことを話し合えもするし……うん。なんだか、安心した』

『そうね。でも、新生活に体は慣れていないわ。夜風も冷えるし、体調管理には気をつけましょう』

『そうだよね。じゃあ、そろそろ。皆、また明日ね!』

 真と春の大学生コンビのメッセージで近況報告には終止符が打たれた。

『皆、元気そうで何よりだな』

「ああ。だけど、確かに夜は少し冷えるな……」

『そうだな。意外と、冷える……まだ、早いけれど。さっさと寝ちまうか?二日連続での遅刻は、神代殿に多大な迷惑をかけるし……信用を大きく失ってしまうぞ?』

「分かっている」

『うむ。戸締まりして、さっさと眠ってしまおう……今日は、何というかボリューム満点な一日ではあったし……それに、あの変な鐘も聞いちまったしな』

「……七不思議の鐘か」

『まあ、ただのウワサだ。気にする必要はないと思うが……何か、疲れてしまってな』

「……真の言う通り、新しい生活に、まだ体もリズムも慣れていないということだろう」

『そう思う。賢いヤツの言うことを聞いて、さっさと眠っちまおうとしようぜ』


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