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ペルソナ5:OXYMORON……賢明なる愚者へ。

原作: その他 (原作:ペルソナ5) 作者: よしふみ
目次

第三十五話    また明日


『サムライみたいな言葉話しているのに、包丁が怖いっていうのもな……刃物が怖いという発想は分からなくはないけど、女子として料理ぐらい出来た方が良いと思うんだけどな……って、アレかな?』

「……ん。城ヶ崎のマンションは、アレか?」

「うん。そーだよ。駅から微妙な距離にあるし、ペットは禁止という、ちょっと残念な物件。それが、マイ・ホーム!!」

『自慢にならねえ要素だな……城ヶ崎の家らしい。ちょくちょく、残念が顔を出して来やがるんだよな……』

 7階建てほどのマンションだろうか。新しくもなければ古くもない。

 昔からあるような気もするが、ハッキリとした記憶はない。自分の友人が住んでいたことは無さそうだった。

 少なくとも、あのマンションに行ったことはなかった。

「……せめて、ペットがオッケーだったらなー……私も猫さん飼いたかったー」

 その発言を聞いて、紳士のモルガナが行動する。カゴからぴょんと飛び出して、サドルを踏み台にして城ヶ崎シャーロットに抱きついていた。

「あはは。慰めてくれてる。スゴいね、モルガナ。私の心も、私の言葉も分かってくれているんだね」

『まあな』

「モルガナは、スゴいなー……男前な猫さんだ」

『そ、そうだな。我が輩は、そういうタイプの猫さん……いや、猫じゃないし。猫っぽいケド、そこは違うんだからな?……まあ、別にいいけど』

 美少女の胸に抱きしめられていることを、猫っぽい生物は喜んでいるらしい。

 モルガナを抱っこしたまま、城ヶ崎シャーロットは再び猫さん成分のチャージ時間に入ったようだった。

 やがて、二つほど信号を通り過ぎると、城ヶ崎シャーロットのマンションの手前にたどり着いていた。

 ……駐輪場を見つけた蓮は、赤い彗星号をその場に運んで、鍵をかけると、城ヶ崎シャーロットに自転車の鍵を手渡した。

「これで任務完了だ」

「うん。ありがとうね、レンレン」

「それじゃあ、オレたちはこれで帰る」

「え。おもてなしをしようかと……?」

「それは嬉しいが、もう日が暮れかけているからな」

「あー。そうだねー」

「おもてなしてもらうのは、後日にしてもらおう」

「うん。そうだね。レンレン、今日は、本当にありがとね。あとでさ、ライン送るね!」

「ああ。送ってこい。オレも送るよ。それじゃあな、城ヶ崎」

「うん。バイバイ、レンレン。また明日ねー。はい、モルガナを返却しまーす」

『……返却て』

 蓮はモルガナを受け取る。モルガナは蓮が下げている買い物バッグの中へと潜り込んだ。通学バッグに比べると、慣れていない。なんというか、ごわごわするが……文句は言えなかった。

 買い物バッグから大根のように頭を突き出して、モルガナは前脚を振り上げて、バイバイの仕草を送る。

「うおおおおおおおっ!!モルガナ、超絶に可愛いッ!!写メ撮るねッ!!」

 カシャパシャカシャパシャ!!

 足首を捻挫していた人物とは思えないほどに素早く、城ヶ崎シャーロットはよく動き、よく撮影した。

 猫好きの執念を蓮は感じて、少しだけ……ドン引きしていた。

「はっ!!……し、しまったぁ。ちょっと暴走しちゃった。大丈夫?」

「ああ。大丈夫だ」

 やさしさを使って、蓮はニッコリと微笑んだ。

「うー。レンレンがちょっと気を使ってくれているタイプの笑顔だよー……なんだか、失態を見せてしまったよーな気がするでござーる」

「城ヶ崎らしくていい」

「そ、それ、フォローになっているのかなあ?」

「なっている」

「そう?」

「ああ。気にするな。猫が好きなんだろ、城ヶ崎は」

「うん!」

「オレも猫は好きだ。気持ちは分からなくもない」

「レンレン。さすが、猫好きのそこそこモテモテな紳士サムライ……っ。ええ子やで」

『なんで、いきなり関西弁なんだろうな……』

「そろそろ寒くなってくる。部屋に入れ」

「分かった。レンレンも、モルガナも、気をつけてね?信号は、点滅したら、止めとけ!だよ?……変なチャレンジ・シップを発揮しないようにね?」

「了解だ」

『……さてと。なんだか、一日中、騒がしかったな』

「ああ」

『でも、楽しい子だ。美少女だし。残念な要素が、そこらに転がってはいるが。ああいう子、蓮はタイプか?』

「美少女は好きだぞ」

『うお。なんて、素直な言葉なんだ。でも……あまり世間一般には公開するなよ?我が輩とか竜司あたりに、一対一の時に話すようにしろ。あんまり素直過ぎても、世の中は厳しいもんだ。とくに、女性陣には言わないようしておけ』

「……そうするとしよう」

 ブブブブ。

 スマホが振動する。蓮は、スマホを確認した。城ヶ崎からだ。さっき撮られたモルガナの写真も添付されていた。

 『今日は楽しかったよー!また、明日!!』

『城ヶ崎はマメな子だなぁ……しかし、我が輩、写真映りがいいな』

「ああ。『モルガナが、気に入ってドヤ顔している』……と」

『え。あ、送信しやがったし。ドヤ顔しているって言うなよ。なんか、恥ずかしくなるだろ』

「……わかった。さてと。カレーの材料を買いに行くとしようか」

『おう。たっぷりと食べて、明日からの学校生活に備えようぜ!!』


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