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おとぎの国へようこそ!

原作: その他 (原作:薄桜鬼) 作者: 澪音(れいん)
目次

狼と七匹の子ヤギ①


※山崎さん以外原作の年齢を参考にしています。
都合上、ここでは土方さんが長男という事でご了承ください。

父親→近藤
長男→土方
次男→山崎
三男→永倉
四男→原田
五男→沖田
六男→斎藤
七男→藤堂

むかしむかしあるところに、7人の子ヤギとお父さんヤギがいました。
ある日、お父さんヤギは森へ食べ物を取りに行くために、子ヤギ達にを呼んで言いました。

近藤「お前たち、俺は少し森へ行って食べ物を取ってくるからな。狼には気を付けるんだぞ。
誰が来ても、お父さん以外が着たらこの扉を開けずに留守番をするんだ、いいな」

土方「ああ、わかった。俺たちは気を付けるから心配しないで行ってきてくれ」

子ヤギの中で一番のしっかりものの長男にそう言われると、お父さんは安心したように頷きます。きっとこの子が一緒ならば他の子達は大丈夫でしょう。
先程までは子供たちだけ残していくことが不安で仕方なかったお父さんも力強く言う長男にほっとして他の子ヤギ達に見送られながら家を後にしました。

沖田「お父さん大丈夫かな、僕が一緒に着いて行った方がよかったんじゃないかな。今からでも追いかけて行こうかな」

土方「バカヤロウ、お前が一緒に行ったらワガママ言って困らせるだろうが。さっき烝が後を追っていったから大丈夫だ。」

沖田「なんだ、歳三お兄ちゃんだって心配なんじゃない。でも自分じゃなくて烝お兄ちゃんに行かせるところがねぇ」

土方「何が言いてぇんだ総司ィ…俺は父さんにお前らの面倒を頼まれてだな…」

沖田「へぇ?実はオオカミが怖かったから引きこもっていたかっただけじゃなくて?」

土方「総司ィ!!」

五男、総司を追いかけて行った長男、歳三に他の兄弟たちはまた始まったと言いたげだ。
いつもの事ながら小さな小屋の家具を巧みに使いながら繰り広げられる追いかけっこにお父さんヤギを見送ったまま玄関先に居た他の5匹のヤギは2人をそれぞれ落ち着かせて止めると部屋の奥にある椅子に腰かける事にしました。

土方「とにかくだ、父さんに心配をかけるわけにはいかねぇ。父さんと烝が帰ってくるまで大人しく待ってるぞ」

沖田「はーい。歳三お兄ちゃんの言う事を聞くのは癪だけどお父さんが困ったら仕方ないしね」

原田「総司、歳三兄さんにいちいち突っかかるんじゃねぇよ。兄さんは俺たちが無事に過ごせるように言ってくれてんだからよ」

沖田「左之お兄ちゃんはいっつも、歳三お兄ちゃんの肩ばっかり持つよねー」

原田「んな事ねぇだろう?」

四男である左之助は兄弟の一言にざわついていた部屋も落ち着きを取り戻します。
何はともあれ、お父さんヤギが帰ってくるまではこの7匹でこの家を守らなければならないのです。

永倉「まぁ大丈夫だろう、近藤さんには烝兄さんが着いてるんだから後は俺らがむやみに玄関を開けなきゃすぐに2人も帰ってくるさ」

藤堂「そうだな、新八兄ちゃん」

斎藤「うむ、大人しく待つとしよう」

三男、六男、七男の言葉にそれぞれ頷き、大人しく待っていようと決めたときでした。
玄関のドアの向こうからノック音がして、7匹の視線がそちらに向きます。
お父さんヤギが家を出てからまだそう時間も経っていません。ここから森までの距離を考えたら、まだ家に帰ってくるような時間でもありません。

「お前たち、ドアを開けてくれないか。お父さんだ。お前たちに良い物を持ってきたんだ」

子供たちは扉の方を向きましたが、その声からそれがお父さんのものではないと気づきます。
弟たちを後ろに下がらせた歳三は扉の方を睨みつけながら口を開きました。

土方「扉は開けねぇよ、あんたは父さんじゃない。父さんはもっと柔らかく話すからな。お前みてぇな変な声じゃねぇ。狼なら帰んな」

すると扉の前にいた狼は「俺は変な声じゃねぇ!」と言いながら咳払いをしてもう一度扉をノックします。

「子供たち、開けてくれ。お父さんだよ。お前たちに良い物を見せたくてきたんだ」

狼はめげずに近くの窓に持っていたリンゴをちらつかせました。
けれど子供たちは扉に近付こうともしません。

沖田「しつこいな、開けないって言ってるだろう?あんまりしつこいと斬っちゃうよ」

血気盛んな五男は近くにあった木刀を片手に言いますが、長男に止められてしまい拗ねながらも大人しく下がりました。

「子供たちや、さっき森で足をケガしてしまったんだ。手当をしてくれないか?」

狼は窓の方へ自身の足を出します。
けれどその足は褐色のよい肌でとてもとてもお父さんのものとは違うものでした。

藤堂「やだよ、なんで狼の手当てをしなきゃならないんだ。その黒い足引っ込めてどっか行けよ、そんで塩でも塗っとけよ。」

?「貴様がそんな日焼け後のような肌をしてるからだ」

?「ならお前が行けばいいだろうが!」

沖田「何かもめてるしほっとこうよ」

斎藤「そのようだな。このご時世だ、きっとよい職が見つからずに困っているのだろう。通報するのはよしておこう」

藤堂「一君どこに通報するつもりだったんだよ」

六男の手にあった紙を覗き込んだ七男は青ざめた顔で口を紡ぎました。
六男はどうやら「猟師」に通報するつもりだったようです。
一向に開ける気配のない子ヤギ達に狼たちは痺れをきらし、いったん引くことにしました。



つづく


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