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アブサン

原作: 名探偵コナン 作者: takasu
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玲「別に逃げたりしないのに。」

風見「それは…」

玲「信用できないのはわかるけど、私多分方向音痴だから。逃げたら自分がどこにいるかわかんなくなって困るから。」

風見「多分って…」

玲「多分。仕事の時は大丈夫だけど、こんな一般人の多いところはじめてきたからわからない。この建物の中にどういうものがあるのかもわからないし。わかれば迷った時に破っていい壁とかわかるでしょ?」

風見「壁を破る?!」

玲「そ。迷った時は困ったら爆破させちゃえば直ぐに目的地にたどり着くから。あ、でもこっそり侵入する時は爆発できないから仕方なくセキュリティを目当てに行動してるけどね。」

風見「セキュリティを目当てというのは?」

玲「…風見にはまだ教えない。自分で考えてみなよ。私からのクイズだよ。」
そういうと椅子から立ち上がり会計を済ませて戻ってきた降谷の方に歩いて行った。
そして何やら降谷から紙袋を受け取るとまた風見の方へと駆け寄った。

玲「はい。早く着替えて、風見。…値札もとってくれてるし、スーツ直せるやつも入ってるって。試着室も貸してもらえるように安室スマイル振りまいてきたみたいだから安心して着替えてきて。」

そう言いって風見に紙袋を押し付けながら風見を試着室へとおしこんだ。

試着室のドアを閉められると試着室の外では降谷と玲が会話をしているようだった。

安室「風見もタジタジだな。」

玲「風見を連れてこられて尾行されてるって思ったけど、案外いいね。風見面白いや。」

安室「次はあなたの布団や生活に必要なものを買いに行かなければいけませんね」

玲「安室にまかせる。私よくわからないし。」

安室「興味のあるものはないのか?」

玲「今は風見かな。一番興味深い。」

安室「ホォ。どういうところに興味を惹かれているのか是非教えてもらいたいものだな。」

安室はそうは言ったものの答えが返ってくるとは思っていなかった。

玲「人に興味を持っているところ。風見のそういうところ、興味深い。」

安室「人に興味を持っているところなら俺にもあるんだがな。アブサンという人間には興味がつきないさ。」

玲はそう言った安室をちらっと横目で見るとすぐにまた違うところを見て口を開いた。

玲「安室の興味深いっていうのは仕事の上でだから。私が捜査対象、あるいは危険人物としてマークされていなかったら興味は持たなかった。でも風見は違うよ。私にはまるで興味がない。仕事上でただ私を尾行して観察してるだけ。」

安室「ならなぜ風見が?」

玲「安室に興味津々の風見が興味深いから。」

安室「変な言い方をするな。」

玲「悪い意味じゃないよ。ただ、風見は安室を尊敬して慕ってる。それはすごいこと。私にはわからないから風見は見てるだけですごく面白い。安室に振り回されてるのに嫌な顔しないんだよね、風見。それどころか尊敬の眼差しをむけてて、ほんと、何でかな。人ってそういう目ができるんだなって感心してるし、本当に面白い。あとそれに…」

安室「それに?」

玲「風見って犬みたいだし。あ、飼い犬の方ね、野良じゃない方。」

安室の問いかけに玲が答えた時、丁度風見が試着室から着替えて出てきたようだった。

風見「…い、犬…」

安室「か、風見、はやかったな。」

玲「飼い主が安室で、その飼われてる犬が風見だね。」

安室「犬…」

安室は彼女の言葉を聞いてセロリを食べて吹き出したハロと風見を思い出した。

安室「ふっ…確かに、ハロに似ているところはあるかもしれないな。」

風見「ふ、あ、安室さんまで!」

玲「風見、早く靴履かないと置いていくよ」

風見「あ、は、はい!」

こうしてブティックを出た3人は再び歩き出した。

安室「何か欲しいものはないのか。」

玲「だから私にはそういうのわからないから安室に任せるって。」

安室「はぁ。…少しは自分に関心を持ったらどうだ。」

玲「別に関心とかないし。…あ。」

安室「何だ。」

玲「じゃあ、私ここで待ってるから風見と2人で選んできてよ、私の下着。」

風見「えっ?!はっ?!そ、それは…」

安室「全く…シルバはどういう生活をさせてたんだ…」

玲「いいから。ほら、はやく。」

安室「断る。だいたいサイズとかあるだろう。自分で選んでこい。」

玲「サイズならえーと、たしか…」

風見「ちょ、ちょっと、待ってください!ふ、あ、安室さんはこういうところ慣れているかもしれませんが僕は…」

安室「風見、うろたえるんじゃない。」

玲「そうそう、その顔が見たかったんだよね。」

風見「え?は?」

安室「どうせそんなことだろうと思ってたよ。」

玲「下着はこないだシルバに買ってもらったばっかりだからいーらないっ。さ、次いこ、次」

安室「ということらしい。」

風見「か、からかわれた…だけ…」

がくっと肩を落とす風見を横目にアブサンは満足そうに歩き出した。

安室「彼女の言うことをいちいち真に受けてるともたないぞ、風見。」

風見「は、はい…」

安室「しかし、毎回この調子じゃ流石に骨が折れるな…」
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