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カロスの洞窟

原作: ポケットモンスター 作者: kokoro
目次

カロスの話

せっかく遊びに来たというのに、石磨きに夢中で会話が上の空のダイゴに痺れを切らしたハルカは、ある作戦を思いついた。

(そうだ!このまえ見たあれの話なら、少しは会話が続くかも…!)

思い立ったら即実行!それがハルカの心情のようなものだ。伊達にアクア団やゲンシカイキしたカイオーガと戦っていた訳ではないのだから。

「ねえ、ダイゴさん。私この間ね、ママがお出かけ先から持って帰ってきた旅行パンフレットを見たの。」

「うん。」

相変わらず上の空の空返事ではあるが、返事すらしなかった先ほどの状態に比べたら全然ましな方だ。

「それでそのパンフレットに載ってたのがカロス地方だったんだけど、オススメ観光スポットとしていくつか洞窟が紹介されてたの。」

「え、カロスの洞窟がかい?」

そこでようやく意識をこちらに向けたダイゴは、興味深そうにハルカのいる方へと目を向けた。するときょとんとした表情でハルカを見た。

「ハルカちゃん。…なんだってそんな端っこの方に居るんだい?」

「えっと、邪魔したら悪いと思って。」

部屋の片隅でポツンと座り込みながら答えるハルカに、ダイゴは苦笑いを浮かべた。

「そんな気を使わなくてもいいのに。」

「でもダイゴさん、結局会話が続かないし…。」

「ああ、それでカロスの話を。ごめんね、また退屈させてしまったね。」

ダイゴは手にしていた石を机の上に置き、椅子ごとハルカの方へと体を向けた。

「仕方ないですよ。私がダイゴさんの忙しいときに来ちゃったのが悪かったんです。ところで、ダイゴさんはカロス地方に行ったことはあるんですか?」

「うん。数年前にね。」

ダイゴは当時のことを思い出しているのか、微かに目を細めた。

「私はパパのお仕事の都合で、旅行には行ったことがないんです。だから、本や図鑑で読んだり見たことくらいしか知らないけど、映し身の洞窟には行ってみたいな!」

「ああ、そこにならその時に行ったよ。本当に岩が鏡のようになっていてね…。メレシーをゲットしたのもそこだったよ。」

ダイゴがそういうや否や、椅子の背もたれに掛けられている上着のポケットから、ポンっとメレシーが飛び出してきた。

「メレッシッ?」

モンスターボールから飛び出てきたメレシーは、まるで呼んだ?というかのように体を斜めに傾けた。

「はは、君をゲットした洞窟の話をしていたんだよ。」

「メレシーってカロス地方のポケモンなんですね。その洞窟には他にどんなポケモンたちがいたんですか?」

ハルカは近くに寄ってきたメレシーを撫でながら尋ねた。

「そうだね、たしか…。ダンゴロやリーシャン、ユニランやコロモリとかがいたかな。コロモリは急に天井から落ちてきて、びっくりしたよ。」

「天井からって、まるでズバットみたいですね…。」

「同じコウモリ型のポケモンだからね。似ているのも無理ないよ。」

ダイゴはポケモン図鑑を開きながら言うと、今度は自分からハルカに尋ねた。

「ハルカちゃん、君が見たっていうパンフレットには輝きの洞窟は載っていかい?」

「はい!名前と写真だけで、詳しい説明はありませんでしたけど、化石が沢山見つかることで有名とだけありました。」

数日前に見たきりのパンフレットの内容を、これほどまでに記憶しているのは、ハルカがダイゴが好きそうだと思いながら見ていたからだ。

「そう。輝きの洞窟に行く時間までは取れなくて、僕も行ったことはないけど、化石研究所にだけはその時に足を運んでね。ほら、こっちに来て見てごらん?」

「?」

手招きをされ、ハルカはメレシーと一緒にダイゴの傍へと向かう。

「これがその時に撮った写真だよ。」

ダイゴは図鑑に搭載されたカメラに保存されている写真をハルカに見せた。

「わ!化石がいっぱい並んでる…!」

「ここに並んでる物のほとんどが輝きの洞窟で見つかったものらしいんだ。」

ダイゴは画面をスライドさせて見せる写真を変えながら説明する。

「これがヒレの化石。アマルスの体の一部だよ。」

「アマルス?どんなポケモンなんですか?」

ハルカは化石の写真を興味しんしんに見つめながら尋ねる。

「とても穏やかな性格で、ガチゴラスみたいな天敵のいない寒い土地に住んでいたと言われているんだ。タイプはいわ、こおりで、進化系であるアマルルガも同じタイプだ。」

ダイゴは今度は図鑑の画面を開き、アマルスとアマルルガをハルカに見せた。

「へぇ…。ツンドラポケモン…。アマルス可愛いけど、けっこう大きいポケモンなんですね。」

図鑑の説明文に書いてある「高さ」には、アマルスが1.3m、アマルルガが2.7mと書いてある。

「昔に生息していたポケモンは大きい種類が多いよね。伝説のポケモンは別だけど、このアマルスたちと同じ時代に生きていたと言われているこのポケモン。ほら、みてごらん。」

そう言って、ダイゴは別のポケモンが表示されているページをハルカに見せた。

「チゴラス…それと、ガチゴラスですか?」

図鑑に表示されているポケモンは、頑丈そうな顎を持った屈強とも言えるポケモンだった。

「うん。チゴラスはそこまで大きくはないけど、ガチゴラスは2.5mもある。それに重さなんて270.0kgもあるんだ。このこたちはいわ、ドラゴンタイプでね。やっぱりいわタイプのポケモンは重さもヘビー級なこが多いよね。」

(………ん?)

ダイゴのすらすらした説明を聞きながら、ハルカは一つの疑問が頭をよぎった。

(あれっ、今ダイゴさんが説明してくれたポケモンて全部…いわタイプ…。)

やはりダイゴの頭の中は石(岩、鋼)のことでいっぱいのようだ。

つづく
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