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　王国には流浪の民が暮らしていた。彼らは不思議な力をもち、竜さえも意のままに操る者がいるが、人数は少ない。そのため細々と暮らしているかにみえた。だが、流浪の民は突如、王国を火の海に変えたのだった――。

対岸の見えないほど広い川を走る電車の中で、記憶喪失となった六人は目覚めた。彼らは誰一人としてこの「川」がなんなのかわからない。そのうえなぜか彼らは、謎の「黒い怪物」に襲われ始めるのだった……。

　地球が巨大隕石の衝突によって滅亡するまで残り十六日。青年・波佐間真一は、死ぬまでに特にやりたいこともなく、日々を無為に過ごしていた。そんな折、幼い少女・相澤マナに出会い、護衛の依頼を受けるのだった。

　天井にはさまざまな形をしたオモチャの雪の結晶が、壁には色とりどりの折り紙の鎖が、窓には霜のように白い絵のシールが、食堂を飾っている。
　ふだんは椅子やテーブルが主だが、今は片隅に追いやられ、一本のもみの木が、年に一度の晴れ舞台、とその玉座に返り咲いている。
　そのもみの木の両脇にはかしずくように、ふたりの女がいた。

場所は聖王国フィラーン郊外に無数にある村のひとつ、パルス。

羊の鳴き声がいつ止むともなく響き、羊飼いたちが緑豊かな野を歩いている牧歌的な村。

村は粗末な柵で囲まれ、中央に井戸があった。その柵の外側に一軒だけ、一目で急ごしらえとわかる少々古びた小屋があった。

その小屋から少女が現れた・・・